こねーるおばさんの粘土なつぶやき

粘土をこねるのが好きな大阪のおばちゃん「こねーる」による、
粘土作品を中心としたブログです。

「教える」ってむずかしい

2007-04-08 22:19:54 | 色々なこと
“自称粘土職人”のこねーるは、
粗忽者ながら、ときどき、粘土を「教える」ということをしております。

・・・といっても、
教室を経営したりとかそんな大したもんでは全然なくて、

ただ、ボランティア(有料)で、月に数回、
大阪市の某所と某所で講習をさせて頂いているだけのことなのです。

それでも、受講者の方からは、
一応「先生」と呼んでいただいている立場におります。



講習を行うにあたっては、
少しでもわかりやすく説明するよう心がけているつもりなのですが、

事前にいくら、少しでも作りやすくと考えて、工夫してはみても、
いざ講習会本番となると、
思いもよらなかったところでつまづくことが、よくあります。

その原因の多くは、

自分では常識として頭に入っていることが、
相手にとっては常識でも何でもないことにあります。


一例をあげます
(写真が撮れないため下手なイラストですみません)←写真も下手だろ・・・


お人形の顔や手に使う「肌色」、
粘土のセットの中に入った肌色のままでは、
少しばかり顔色が悪く見えるので、
こねーるは、ここに赤少々を混ぜます。

で、説明書に「赤少々を混ぜる」と書いておきます。


ところがこの、「赤少々」のイメージが、
往々にして、食い違うのであります。



こねーるのイメージする赤少々


これだけの粘土を混ぜて、健康的な肌色が出来ます。

ちなみに「透明粘土」とは、透明な粘土ではなくて、
透明感のある無色の粘土をこう呼んでいます。
教室で使う粘土セットに入っているカラー粘土は色が濃いので、
この透明粘土で薄めて使います。


そして、


受講者Aさんのイメージされた赤少々

こんなに違っちゃいました。


これだけ違うと、出来上がりがどう変わるか。



こうなります。




いやぁ、「意思の疎通」ってむずかしい。


・・・・・




もう一例あげます。

「ここは、マーブルにしてください」
という言い方を、私は普通にします。

でも、粘土をやらない方で、(いや、やってる方でも)
この「マーブル」という技法を、
パッと思い浮かべられる方は少ないと思います。


粘土の技法で「マーブル」とは、
何色か色の違う粘土を混ぜるとき、
完全に混ぜないで縞模様を残すことを言います。


こんなふうに。

これは、お絵かきソフトで描いた絵ですが、大体こんな感じです。


粘土にどっぷり浸かっているこねーるには、
「マーブルにする」という言い方は、ごく普通です。

しかし、はじめて粘土に触れる方にとっては、
決して普通ではありません。

「先生、マーブルってなんですか?」
こう聞ける方ばかりなら良いのですが、

内気で、人前で質問することの出来ない方だと、
「マーブル」が分からないばかりに、
そこから先に進むことが出来ないのです。


     *     *     *


新年度を迎え、
新入学生や新入社員の方々が新たなスタートを切られる中、
「人を教える」という立場になられる方も多いと思います。

もし「何度教えても分かってもらえない」という時があれば、

自分にとって、ほんの些細な「常識」が、
相手にとっては「常識ではない」のではないか、

と、疑ってみることも必要ではないかなと、
自戒を込めて思うこねーるなのであります。