こねーるおばさんの粘土なつぶやき

粘土をこねるのが好きな大阪のおばちゃん「こねーる」による、
粘土作品を中心としたブログです。

カンナの思い出

2010-08-31 21:00:47 | 色々なこと
小学生の頃、図画工作の時間が嫌いでした。

空想した物語の世界を描くんやったら、
下手くそなりに何ぼでも描いてたんやけど、
写生など、現実世界の物を見たまんま描くということは苦手でした。
見たまんまなんて、絶対おんなじに描けなかったから。
理科の「朝顔の観察絵日記」なんてのも嫌でした。

そんなだから、図工の成績もあまり良くなかったです。

特に嫌だったのは、
毎年夏になると「カンナ」の花を描かされることでした。

大体、カンナの花自体もあんまり好きじゃなかったんです。
やたら大きいし、派手派手しいし、
おまけに、形が花っぽくないし。

「花」っていえば、

こんなのとか、


こんなのとか、

ステレオタイプのイメージしかなかった当時の私には、
カンナの花は全然花らしく思えませんでした。

だから、形を捉えるのもすんごい難しかった。

筆を使うのも苦手でした。
鉛筆やサインペンのように、しっかりと紙に筆圧を掛けられる筆記具と違い、
紙から浮かせて描く「筆」は、手が震えて思うように描けなかったのです。

おまけに、図工の先生ときたら、
「絵具は必ず混ぜて使いなさい。絵具会社の色じゃダメ」
って言わはるんです。
絵具を混ぜると、必ず濁ってしまうのも嫌でした。


カンナ好きちゃうねん。
うまいこと形描かれへんねん。
筆使うのも嫌いやねん。
絵具会社の色やったらなんであかんねん、めんどいなぁ。


なんてことを思っていても口には出されへんかった内気で小太りな小学生女子は、
同級生たちが上手に描き上げていくのを横目で見つつ、
汗だくになりながら、黙々と苦手なカンナを描いていました。




さて、それから何十年かが過ぎて、
図工が嫌いだった小太りの女の子は、
粘土の好きな大太りのオバハンになりました(笑)

当時、カンナを描かせた図工の先生の狙い、
今ならよ~くわかります。

ステレオタイプでない形の花を描き、
ステレオタイプでない色を施させることによって、
ステレオタイプでない感性を掘り起こす。

私は大変良い先生に出会えたのだと思います。
ただ、先生の教えを理解し、自分の糧とするには、
当時の私はあまりにも幼すぎました。


苦手だったカンナの花も、
いつしか美しいと感じるようになり、



こんなのや、


こんなのを作るようになりました。

粘土は混ぜて使います。粘土会社の色はそのままでは使いません(笑)


カンナももうそろそろ咲き終わり。
夏休みも今日で終わります。

残暑厳しい中、健気に咲き残るカンナを見るにつけ、
小学校の、あの図工室の絵具の匂いがよみがえるこの頃なのです。