2024年夏の波(第11波)は確実に押し寄せて来ています。奈良県中部の我が坂根医院では毎日5人±5人程度の陽性者を診断し続けています。
コロナと診断した方の3人に一人程度の方が、抗コロナ薬の処方を希望されます。抗コロナ経口薬、ゾコーバ、ラゲブリオ、パキロビッドパックと3種類あるのですが。最近処方する経口抗コロナ薬、9割がゾコーバです。
何度も申しあげておりますが、抗コロナ薬高いのですよ。
3割負担なら、一番安いゾコーバで、薬剤費だけで1万5千5百円ほどです。
これが、ラゲブリオ、パキロビッドパックになると、薬剤費だけで2万8200円、2万9700円です。
処方の前には診察、抗原かPCR検査をされています。
坂根医院は院内処方です。抗原検査で陽性を確認し、ゾコーバ5日分とカロナール500㎎を頓用で10回分処方したとすると、Totalで1万7930円でした。PCR検査だと1万8100円になります。院外処方だと、もう少しだけ高くなります。
これが、ラゲブリオ、パキロビッドパックだと、自己負担額は軽く3万円を超えてしまいます。効き目、副作用に多少の差はあるのかもしれませんが、表現が難しくて分かりにくいです。値段の差はハッキリしています。3種の中ではゾコーバが選ばれるは作用、副作用の差がはっきりしなくて、確実に安価だからです。
ラゲブリオ、パキロビッドパックは、重症化因子となる65歳以上の方に処方することが多いので、自己負担率が2割or1割だったりすることも多いのですが、それでも2割で2万円、1割で1万円コースです。
ゾコーバだと2割で1万2千円ほど、1割負担だと6千円ほどになります。
2割1割の方でもゾコーバを選ばれる方が多いです。坂根医院では、ゾコーバに次いで処方が多いのはパキロビッドパックです。他院では処方の多いラゲブリオ、当院では非常に少ないです。
9割がゾコーバといいましたが、残りの1割は「最も効くのはどれですか。」と聞かれ、「やはり、パキロビッドパックでしょう。」と私が答え、ならばそれを下さいと言われた方です。パキロビッドパックを選択されても(ゾコーバでも)普段飲まれている薬との相性が悪い場合、腎機能が悪くて飲めない場合があり、そんな場合に飲み合わせや腎機能の問題が無いラゲブリオを仕方なく選択しているのが坂根医院の現況です。
我が医院では、ラゲブリオはパキロビッドパックが使えない場合に仕方なく選択する薬という立ち位置ですが、先に言ったパキロビッドパックの使いにくさを嫌う医師も多く、ゾコーバとラゲブリオしか使わないという方も多くおられます。奈良県の医師会長もほぼそんな事を言われていました。
中には、抗コロナ薬は(面倒だから)どれも使わないという医師もおられるようで、それはあかんやろと思うのですが・・・人それぞれですね。私は、使用法や説明が面倒だとは言え、選択肢があることは伝え、希望があれば処方するべきだと考えています。
いろいろ長々と述べました。要するに本来ならラゲブリオ、パキロビッドパックを処方すべきであろう重症化因子をお持ちの方でも、値段が高すぎるので、まだ手を出しやすいゾコーバを処方することが非常に多くなった今日この頃です。
ゾコーバを飲むなら、出来るだけ早い方が良いです。発症後3日以内に服用開始すれば、翌日には相当に症状が改善することが多いです。
本日、一昨日に新型コロナと診断した72歳女性、その日は症状が軽いので、抗コロナ薬は不要ですと、アセトアミノフェンの屯用のみの処方で帰宅されました。しかし、のどが痛くて、何も食べられないと今日になってゾコーバの処方を希望して来院されました。症状出現後4日目に当たる日なので、症状改善あまり見込めませんよと言いましたが、少しでも改善するならと、アセトアミノフェンの追加処方と共にゾコーバを持って帰られました。「先生の言われる事を聞けばよかったです。」と、言われながら。症状悪化で再来院される方は珍しいですから、多くの方は大きな問題なく治癒されるのでしょう。でも、中には症状が悪化する方もおられる。(他医を受診したり、中には入院したりされている方もおられるのかもしれません)受診された時点では、重症化因子の有無と軽傷、中等症、重症の判断(これは、動脈の酸素飽和度だけに依存した分類で、酸素飽和度が96%以上あれば、体温が40℃でも、のどが痛くて飲食できなくても軽症に分類されます)は、できますが、その方がその後どのような経過をとるかは分からないです。
重症化因子を沢山お持ちであったり、80歳以上、90歳以上と年を重ねるにつれアブナイとは感じますが、重症化因子を重ねてお持ちの90歳が、抗コロナ薬の服用もなしで問題なく回復されることもあれば、経口抗コロナ薬の投与対象者ですらない12歳未満の元気な小学生が突然心筋症で亡くなったりすることもあるのです。医者でも分からない事だらけなのです。
脅している様に思われるかもしれません。でも、本当に分からないのです。ですから、出来るだけ感染の可能性を下げる様に普段から行動してください。それでも感染することはあります。通常の社会生活を営んでいる限り、時折はコロナに感染してしまいます。私は、出来るだけ感染する可能性を引き下げるよう努力しましょう。感染してしまった場合、感染してしまった可能性が高いと思われる場合は、周囲に感染を広げない様に努力しましょう。感染後5日または症状消失後24時間の自宅待機というのは「甘い基準」であって、最初は14日、その後10日そして7日、5日と人間の都合で短縮した歴史はありますが、10日程度は感染させる可能性大です。しっかりそのことを頭に入れたうえで出社してくださいという事です。
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(55)が新型コロナウイルスに感染されました。 感染時の症状については「熱はやっぱり出ました。39度超くらいになって、のどの痛みも激しかったんですけれども、僕の場合には薬を処方していただいたので、1日で一気に体調は普通に戻って、今は、あとはのどと声という状況です」
橋下弁護士は、ゾコーバを服用されました。多分、65歳以下ですし、生活習慣病、喫煙等の重症化因子をお持ちではないのでしょう。ラゲブリオ、パキロビッドパックは重症化因子を持っている方に対して投与する薬です。橋下弁護士なら、重症化因子をお持ちであったら、3万円コースのいずれかの薬を選択されたのではないかと想像します。
ゾコーバは、12歳以上の小児及び成人に処方されます。 妊婦又は妊娠している可能性のある女性は服用することができません。そして、 一緒に飲むことができない医薬品が多くあります。 発症から72時間以内に服用を開始することが推奨されています。
ゾコーバ併用禁忌薬
パキロビッドパックも似た作用の薬ですから、同じような併用禁忌薬があります。(妊娠中期以降には使用可能です)そして、腎機能の悪い方には薬の量を減らしたり、とても悪い方には使えないなどの制限もあります。
ラゲブリオは全く違った作用機序の薬で、併用禁忌の薬はありません。妊娠中の方には使えません。色々と面倒でしょ。なので、どれも使わないとか、これは使わないとかいう医師、結構おられます。
ゾコーバは服用初日に3錠、翌日から4日間連続で毎日1錠 計5日服用します。初日の3錠服用で翌日には症状が改善する方が多いです。橋下弁護士も服用翌日に体長は普通に戻ったとのことです。
新型コロナに対するいろいろな補助金がなくなり、普通の病気と同じ扱いになった結果、患者さんの負担金が増えました。経口抗コロナ薬3種はゾコーバの薬価が1回5日分約5万円、ラゲブリオとパキロビッドパックでは1回5日分約10万円と相当高価なので、その中ではまだ安いゾコーバの存在価値が上がっています。
それで、今回、ゾコーバについて少し詳しく説明してみました。めんどくさい話を長々としてしまいました。何度も言いますが、掛からない様にするのが一番ですよ!!出来るだけ逃げ回ってください!!注意をすれば、見えないはずの新型コロナウィルス、見えてくるような錯覚に陥ります。学習してください。ある程度は、避けることが可能ですから!!(といっても、私も1度罹患してしまいましたがね!!!)
ブラック・マジック・ウーマン/サンタナ Black Magic Woman/Santana