Stelo☆ panero

変態ですがよろしくお願いします。更新は気分次第、気の向くままに。新題名は、エスペラント語で、星屑という意味だったり。

【風船魔導士 クオラ】 三時限目 召喚?

2015-11-02 03:09:22 | 妄想小説
1)
 「 ふ~せん…だよね?」

 そのとき、クオラは、懐から出てきたその物体を、顔の前で摘んでみて、寄り目がちに眺めてみているのだが、どこをどう見ても、何の変哲もない、しぼみきった飴色の風船だった。ためつすがめつ、クオラは、その風船をもてあそんでいたが、そのうちに、うずうずとフェチの虫が騒いでくる。

 「 この色合いだと、きっと、透明なふ~せんさんね。」

 そう口に出すと、クオラは、もう我慢できなくなって、薔薇色の健康そうなくちびるを、ふ~せんの吹き口に口づけて、ふぅ~ふぅ~っと甘い吐息を吹き込みはじめた。

すぅ、ぷぅぅぅぅ~~~~っ!
すぅ、ぷぅぅぅぅ~~~~っ!
すぅ、ぷぅぅぅぅ~~~~っ!



クオラの予想通り、彼女が吐息を吹き込むと、生命を得たように、徐々に大きくふくらんでいく風船は、その透明度も増していく。

すぅ、ぷぅぅぅぅ~~~~っ!
すぅ、ぷぅぅぅぅ~~~~っ!
すぅ、ぷぅぅぅぅ~~~~っ!



 やがて、風船は、クオラの顔の大きさを越えて、半径がつんと尖らせたくちびるを中心として、半径が腰の高さまで達そうとしていたが、不思議なことに割れる気配を見せない。

すぅ、ぷぅぅぅぅ~~~~っ!
すぅ、ぷぅぅぅぅ~~~~っ!
すぅ、ぷぅぅぅぅ~~~~っ!





 巨大にふくらんでいる透明な風船越しに、クオラがクリア風船に息を吹き込んでいる様子が見えていたが、その半径が膝まで達したときに、異変がおこる。





 クオラの顔から対面に、赤紫の五芒星を刻んだ魔方陣が走り、今度こそ明確な意思が宿ったかのように、どくんとゴム膜が脈打った。
 それから、魔法陣と同じ赤紫に、透明だった風船が、急速に染まっていく。

 「 ひぇっ!」

 クオラは、驚いてくちびるを風船から放してしまうが、風船に込められたクオラの吐息が抜けることはなかった。
 逆に、吐息が抜けることを防ぐかのように、どこからか生まれた紐で、するするっと、風船の吹き口が縛られていく。

  「 えっ???!!!何?何???」

 そうして、刹那の間に、吹き口を縛り終えた赤紫の巨大風船から、

  「 ふわぁぁぁぁ~~~~っ。」

 と、盛大なあくびの後で、アニメ声で、確かにこう言った。

   「 こんにちは。よい子のみんなぁ、タフィお姉さんだよ♪」

 微妙な空気が、風船とクオラの間に走ったのだった。

【つづく】


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