実際的ないくつかの勧め － スカプラリオを理解するために

男子跣足カルメル会『カルメル山の聖母　－　スカプラリオを理解するために』ドン・ボスコ社

◆１３、実際的ないくつかの勧め

　一、マリアを敬うにはスカプラリオを着けただけでは足りません。その価値と意義とをわきまえて、生活にとりいれなければなりません。スカブラリオを着けるに先立って適切な説明が必要で、聖母の霊的母性にたいする私たちの信仰の表現であることを理解し、謙遜で愛にみちた奉仕のうちに、聖母に一生を捧げる意向をもたなければなりません。

　司祭ならだれでも、十字架のしるしでスカプラリオを祝別したのち、それを与えることができますが、求める信者が多数いたり、カルメル山の聖母の祝日のような荘厳な祝日の場合は、儀式書にある式文を用いることが望ましいのです。

　二、人がはじめて身につけるスカプラリオは司祭が祝別して授けますが、のちにそれを別のスカプラリオに替える時には、改めて祝別する必要はなく、新しいものを入手して着ければよいのです。スカラプリオの敬度な使用には部分免償が付されており、それによって、教会の功徳のおかげで、その人の善業の価値は増大するのです。

　三、信者の信心業を、現代生活の要求と調和させるために、聖ピオ十世教皇は、一面にイエズスの聖心、他面に聖母の像を刻印したメダルでスカプラリオに替える許可を与えました。とは言いながら、元来マリアの衣としての意味を有していたのですから、事情が許すかぎり.スカプラリオを用いるほうが望ましいのです。

　勧めてよいと思われる一つの用い方は、労働や社会生活の必要を考えて、日中はメダイを用い、夜やすむ間はスカプラリオを着けるという仕方です。毎晩床のそばにスカプラリオを見出し、ふたたびそれを身につけるという単純なしぐさは、聖母への奉献を思い出し、信頼を新たに、そのご保護を願うきっかけとなるでしょう。


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土曜特典（２）

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◆１２、土曜特典（２）

　この浄めの場からの解放の日とされている、土曜という曜日は、どうしても動かせない日を指示する性質のものではなく、ただ、この恵みの性質を理解させる鍵であり、他の曜日にくらべれば特別の意味をもつ日である、というのにすぎまぜん。マリアはできるだけ早く、ただし神の御計らいに従って、お援けになるでしょう。諸教皇の権威によって支持された、信者たちのあの信頼は、聖母がキリストと緊密な絆に結ばれているがために、聖母の使命は全教会におよぶものであるという事実に基づいているのです。その母としての役目は、私たちの死とともに停止することなく、マリアの子らが「幸せな祖国に導かれるまで」(教会憲章62)続くのです。浄めの場にいる霊魂たちを援けるマリアの働きかけにたいする教会の信仰は、典礼の次のような祈りにも表われています。「私たちの親族、友人、恩人が、おとめマリアの取り次ぎによって、すべての聖人と永遠の幸福をわかち合うことができますように。」

　スカプラリオの信心を有する人は、愛にみちた奉仕のうちに自分の一生をすべて捧げることによって、マリアに身をゆだねたうえで、マリアが特別のすみやかな援助の手をさしのべて下さるであろうと信頼するのです。生活のうちに完全に生かされたスカプラリオの信心は、マリアに倣い、マリアに守られて生きたキリスト教的生活、を具現していて、人の心から罪への愛着を除き、神のおん憐れみと浄めの場からの解放とをうけるために、ひじょうに適した準備をととのえさせるのです。


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土曜特典

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◆１１、土曜特典

　スカプラリオの信心が教全内に広がったことについては、この世においてだけでなく、死後も聖母から援けていただけるとの信者たちの信頼も与って力があったのです。人々は.死後できるだけ早く、とくに土曜日にこの援けが与えられると希望したので、「土曜特典」ということばが生まれたのです。

　十字架の聖ヨハネは、死の数日前に兄弟たちをなぐさめて言いました。

「神の御母は土曜日に浄めの場の霊魂たちを助けにおいでになり、カルメル会士やスカプラリオをつけていた人々を皆解放してくださる。」

　ヨハネニ十二世教皇から発したと言われるこの特典は、そののち多数の教皇によって認められ、賢明な解釈を加えられました。一五三〇年、クレメンス七世教皇は、スカプラリオをつけている人は浄めの場において聖母から「その不断の取り次善と祈りと特別の保護によって」助けられると書いています。一六一三年には当時の異端審問所は、聖母が、スカプラリオの.信心をもっていた人を、浄めの場において「その取り次ぎと祈りと功徳と特別の保護とによって、とくに教会において聖母に捧げられている土曜日に」援けられるであろうと信じ、そのように説教することは許されることである、と宣言しました。

　ヨハネ二十三世教皇は「カルメル山の聖母が大切にし、感謝している土曜特典」に言及し、ピオ十二世教皇はそうした人にたいして、「やさしい御母は、その祈りによって神にお願いして、浄めの場で罪を償う子らが、できるだけ早く天の故国に入れるよう働きかけるのをなおざりにはなさらないでしょう。これは土曜特典という伝承が教えていることです」と保証されました。


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永遠の救い（２）

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◆１０、永遠の救い（２）

　スカプラリオの七百周年を記念した一九五一年の談話の中で、ピオ十二世教皇は、次のようなすぱらしい証言をされました。

　「人間的にみて、希望の見えないような時にさえ、どれほど多くの霊魂がスカプラリオのおかげで、最後の時になって回心し、永遠の救いに入ったことでしょう。また身体と魂の危険の中で、どれほど大勢の人が、マリアの母性的な守護を体験したことでしょう。スカプラリオの信心は、全世界の上に霊的、物質的な恵みを大河のようにひきよせたのです。」

　スカプラリオは、自分の救いのために喜んで努力する義務を決して免じたりはしませんが、マリアの母らしい助けのおかげで、自分の努力が実を結んで報いられるに違いないとの確信を与えてくれるのです。


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永遠の救いースカプラリオを理解するために

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◆９、永遠の救い

　スカプラリオを用いる人が、聖竃の保護によって得られると希望する最大の恵みは、永遠の救いです。リジューの聖テレジアは、ポティエ夫人宛ての手紙の中でこう言っています。

「あなたが整いスカプラリオを身につけられたとは、なんてうれしいことでしょう。己れは選ばれた者の確かなしるしです。」（手紙一四五）

　またピオ十二世教皇は言っています。

「これはどうでもいいことではありません。聖母の御約束によって得られると、ここで言われているものは、永遠の生命、つまりもっとも大切な目的なのであり、またそれを達成する確かな手段が問題となっているのです。」

　教会の教えるところによれば、永遠の救いは、神のことばへの人間の忠実、神の恵みへの自発的協力が結ぶ実であります。だからスカプラリオさえ着けていれば、信仰と愛に生きることを少しも意に介さなくても、救われるのに十分だと思うなら、それは危険な誤りでしょう。そうした考え方は、キリストの教えに反しているし、宗教をまったく外面的ないくつかのしきたりに堕落させてしまいます。

　スカプラリオを身につける人は、聖母をお喜ばせしたいなら、自分の義務をしっかり果たし、教会に奉仕して、熱心な、模範とされるような生活を送らねばなりません。こうした善い業があってはじめて、人は永遠の救いをいただくのです。聖母はご自分に身を捧げた人々を、その時々にふさわしい恵みで助け、彼らの努力に実を結ばせ、彼らが死に到るまで神の恵みにとどまりおわせて、永遠の生命を得るように計らわれます。スカプラリオは故意に罪に執着している人をも、聖母が奇跡的に救うことを保証はしません。しかし、罪から回心し、誘惑にうち克って、善い生活を続けようと努力する人々への絶えることのない助けを保証します。


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