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アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)

2016-07-09 07:57:51 | ファティマの聖母
アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)

◆ 出版によせて

(長崎教区長 島本要大司教、一九九七年五月十一日)

 奇しくもファチマの聖母ご出現八十周年記念のこの年、ブラジル人アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド氏の著書「ファチマの聖母そのメッセージは希望の預言か?悲劇の預言か?」が鹿児島教区「フマネ・ヴィテ』研究会の成相明人師の手によって邦訳されました。

 ファチマの三人の牧童に聖母マリアがお現れになり.人類への大切なメッセージを彼らに託されたという「ファチマの出来事」を一部の人たちは熱狂的に支持していますが.他方極めて冷ややかで懐疑的態度をとり続けている人たちもいます。しかし冷静にこの出来事を見るときその超自然性は否定できないと思います。そのメッセージは人類を救いに招く母マリアの「言語に絶するうめき」とも言える叫びです。御子イエスによって成し遂げられた救いのみ業に協力されたマリアの切実な願いは人類の救いです。でも人々は悪を働き.罪を犯して.自ら破滅の道を走っています。この現実に心を痛めたマリアは回心を呼びかけ.罪人の回心のために祈りと犠牲を捧げるよう求め、教皇が全世界の司教たちと一つになってこの世界を、特にロシアをご自分の汚れない御心に奉献することを要請されたのです。このマリアの要請に教会が完全に答えているとはまだ言えません。

 本書は、簡潔なかつ読みやすい文体でファチマのメッセージを正確に伝えています。多くの人がこれを手にして、母マリアの叫びに耳を傾けることを祈願してやみません。


◆ 著者紹介

 アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド氏は、サンパウロにある聖心大学の経済・会計学部で倫理神学を教えていました。それ以前は、サンパウロ大学科学技術専門学部で土木工学を学んだ後、十五年もの間その方面の仕事に従事していました。

 現在彼はTFP(伝統・家庭・私有財産擁護協会)調査・文書部の責任者です。そこで彼は二十五カ国から送られてくる十三カ国語の四百以上の定期刊行物を分析し、まとめ、分類しています。そこにはその他現代の教義上の問題を専門とする図書室もあります。彼は、特にその告書「イルマ・ルシアの手記に基づくファチマのご出現とメッセージ」(本書)によって、またブラジルで高く評価されている文化雑誌"CATOLICICISMO"の著名な執筆者としても知られています。本書は、一九一七年ポルトガルのコヴァ・ダ・イリアで聖母がルシア、ジャシンタ、フランシスコという三人の幼い羊飼いたちにお与えになった啓示に興味を持つ専門家と一般人の興味をひきつけ続けてきました。

(他にエクアドルの教区長(大司教)、ニューオリンズ教区長(大司教)、コロンビアの教区長(大司教)、シルヴィオ・オッディ枢機卿の賛辞が書いてありますが、省略します。ブラガ司教総代理エドアルド・デ・メッロ・ペイショット出版許可)

★ 一章 ポルトガルの守護の天使の出現

2016-07-09 07:57:00 | ファティマの聖母
アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)

★ 一章 ポルトガルの守護の天使の出現

 聖母のご出現の前にルシア・デ・ジェズス・ドス・サントスと彼女の二人のいとこフランシスコとジャシンタ・マルトはポルトガルの守護の天使、またの名は平和の天使の出現を体験しています。この子たらは皆ファチマの町にあるアルジュストレルというに住んでいました。

◆ 天使の一回目の出現

 その天使は一九一六年の春もしくは夏、ロカ・ド・カベソといわれるアルジユストレルに近いカベソと呼ばれる丘の頂上に近い露頭岩のあるところで出現しました。以下はこの出現についてイルマ・ルシア自身が書いたものです。

「わたしたちがしばらくそこで遊んでいると強い風が吹いてきて木が揺れました。その日は天気が穏やかだったので、わたしたちは何が起こったのだろうと思って目を上げました。すると東の方角に広がっている土地に生えていた木のずっと上の方に、雪よりも白く、太陽の光を反射する水晶よりも光り輝いている透明な若い男の人の形をした光が見え始めました。」

「その方が近づくにつれてわたしたちはお顔を見ることができるようになりました。その方は十四、五歳の美しい若者でした。わたしたちはもう驚いて、ついうっとりしてしまいました。そして、一言も口を利くことができませんでした」

「近くにいらっしゃるとその方は『恐れなくてもいい。わたしは、平和の天使です。わたしと一緒に祈りなさい』とおっしゃいました」

「その方はひざまずいて額が地面につくまで頭を垂れて礼拝なさいました。わたしたちも超自然の霊感に動かされて同じようにしました。そしてその方が言われた言葉をそっくりまねしました。『わたしの神よ、わたしはあなたを信じ、あなたを礼拝し、あなたに希望し、あなたを愛します。あなたを信じず、あなたを礼拝せず、あなたに希望せず、あなたを愛さないものたちをお許し下さい」」

「その方はこの祈りを二回唱えた後、立ち上がってこうおっしゃいました。『こんなに祈るんだよ。イエズス様の聖心とマリア様の御心はあなたたちの祈りの声に耳を傾けていらっしゃるんだから』そして、その姿は見えなくなりました」

「わたしたちを取り巻いていた超自然の雰囲気はとても密度の高いものでした。ですからわたしたちは自分自身の存在さえ気付かないほどでした。その方が去った後も長いことわたしたちは同じ祈りを唱えながら同じ姿勢を続けました。神様がそこにいらっしゃることがよく分かりましたから、わたしたちは、互いに話そうともしませんでした。わたしたちは次の日もまだその同じ雰囲気に包まれていることを感じていました。それでもその雰囲気はだんだん消えてしまいました」

「だれもこの出現について人に話そうなどとは思いませんでした。またその出来事自体が沈黙を要求していたので、互いに沈黙の約束を交わすことさえも思いつきませんでした。それはとても内的な体験でしたから言葉に言い表すことが困難でした。これがわたしたちの印象に一番残った出現であったかもしれません。何しろ初めて体験した出現でしたから」

(回想録2の114、116ページ、4の318、330ページ、デ・マルキ51-52ページ、ウォルシュ39-40ぺージ、ガランバ・デ・オリヴェイラ52-57ぺージ参照)。

◆2、天使の二回目の出現

2016-07-09 07:56:19 | ファティマの聖母

アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)

◆2、天使の二回目の出現

 二回目の出現は一九一八年の夏ルシアの両親の家にあった井戸の上でありました。ちょうどそのとき三人の子供たちはそのそばで遊んでいました。以下は天使が彼らに言ったことをイルマ・ルシアが口述したものです。

「『何をしているの?祈りなさい。たくさん祈りなさい。イエズス様の聖心とマリア様の御心はあなたたちのために慈悲深い計画を準備なさっています。至高の神様にいつも祈りと犠牲を捧げなさい』わたしは『わたしたちはどれだけ犠牲を捧げればいいのでしょうか?』と天使に聞きました」

「『神様が怒っていらっしゃる罪の償いのために、そして罪人の回心のために自分たちにできる償いとして何でも犠制として捧げなさい。そのようにしてあなたたちは自分たちの国に平和をもたらすのです。わたしはその守護の天使ーポルトガルの天使です。特に、主があなたたちに送られるどんな苦しみも我慢強く受け入れ、忍びなさい』そしてその大使の姿は見えなくなりました」

「天使の言葉はわたしたちの魂に刻み込まれ、まるで光がともって、神様がどんな方であるのか、どれほど神様がわたしたちを愛し、わたしたちからも愛されることを望んでおられるか、犠牲にはどれほど価値があって神様から喜ばれるか、そしてその功徳で神様が罪人に回心の恵みを下さるかを理解できたかのようでした」

(回想録2の116ページ、4の320、322ぺージ、デ・マルキ53ページ、ウォルシュ42ぺージ、アイレス・ダ・フォンセカ121-122べージ、ガランバ・デ・オリヴェイラ57-58ページ参照)。

◆3、天使の三回目の出現

2016-07-09 07:55:29 | ファティマの聖母
アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)

◆3、天使の三回目の出現

 三回目の出現は一九一六年の夏の終わりか秋の始めにロカ・ド・カベソでありました。イルマ・ルシアによるとその出現の様子は以下のようなものでした。

 「わたしたちはそこに着くや否やひざまずき、顔を地面につけて天使の祈りを始めました。『わたしの神よ、わたしはあなたを信じ、あなたを礼拝し、あなたに希望し、あなたを愛します…』何回この祈りを唱えた後だったか記憶していませんが、ふと気付くとわたしたちの頭の上の方に今まで経験したことのない光が輝いていました。それでわたしたちは何が起こっているのか見ようとして立ち上がると、左手にカリスを持っている天使が見えました。カリスの上にある御聖体からカリスの中に血がしたたり落ちていたのです。カリスと御聖体を空中に浮かんだままにしておいて、天使はわたしたちの脇にひれ伏し、次の祈りを三回唱えました」

 「至聖三位一体の御父、御子、聖霊、わたしはあなたを心から礼拝し、御子が嫌われる侮辱、無関心の償いのために、地上のすべての聖櫃にいらっしゃるイエズス・キリストの尊い御体、御血、魂、神性をあなたにお捧げいたします。そして至聖なる聖心とマリア様の汚れない御心の功徳を通じてかわいそうな罪人たちに回心の恵みを与えて下さい」

 「その後、天使は立ち上がってカリスと御聖体を再び手にしてわたしには御聖体を下さり、ジャシンタとフランシスコにはカリスに入っていた御伽を飲ませました。天使はそのとき『恩知らずの人間からひどく侮辱されているイエズス・キリストの御体と御血を受けなさい。彼らの罪のために償いをして、あなたたちの神様を慰めて差しヒげなさい』とおっしゃり、また地面にひれ伏して『至聖三位一体の御父』の祈りを三回唱えてから姿を消しました」

 「わたしたちを包んでいた超自然の力に促されてわたしたちも天使がしたとおりにひれ伏して、天使が唱えた祈りを唱えました。神様の存在がひしひしと感じられ、わたしたちは神様に吸い込まれてしまってほとんど無になってしまったかのように感じました。長い問わたしたちには体の感覚さえ無くなってしまったかのようでした。その後の何日間も、わたしたちは、まるであの超自然の存在かわたしたらを動かして下さったからこそ自分たらの体を動かすことができたように感じたものです。わたしたちが感じた平和と幸福は非常なものでした。しかし魂がまったく神に集中していたのでそれはとても内面的なものでした。わたしたちを押しつぶすような体の疲れも非常なものでした」

 「なぜか知りませんが、マリア様のご出現はこれととても違う結果をもたらしました。内面からくる喜びは同じでしたが、体が疲れる代わりにある種の開放的な活発さ.神の臨在の前に無になってしまうと感じる代わりに歓喜、話すことも困難になってしまう代わりに人々と分かち合いたくなるようなある種の熱意を感じたものです。しかし、わたしはこれらの感情にもかかわらず、特にある種の事柄に関しては沈黙を守るようにという霊感を受けました。調査のときわたしは答えを教えて下さる内的霊感を感じました。だからその答えがたとえ本当であっても、わたしがまだ秘密にしておかなければならないことの秘密は保つことできました」(回想録2の118ページ、4の322-326ページ、デ・マルキ54-55ページ、ウォルシュ43-44ページ、アイレス・ダ・フォンセカ122-123ぺージ、ガランバ・デ・オリヴェイラ58-59ページ参照)。

アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年) ◆4、

2016-07-09 07:54:20 | ファティマの聖母

アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)

◆4、

 一九一六年の天使の出現に先だつ一九一五年の四月から十月にかけてその他に三回示現がありました。ルシアの他に三人の羊飼いの女の子一マリア・ローサ・マチアス、テレサ・マチアス、マリア・ジュスティーノが谷間の木の上の空中に何かが浮いているのを見ています。それは「透明にも見える、雪より白い雲のような人間の形でした。・・・日光のせいで少し透明になってしまった雪でできた彫像のようなー人間の形でした」。この描写はイルマ・ルシア自身によるものです。

(回想録2の110、4の316ぺージ、デ・マルキ50-51ぺージ、ウォルシュ27-28ページ、アイレス・ダ・フォンセカ119ぺージ、ガランバ・デ・オリヴェイラ51ぺージ参照)。