かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

連携

2008年03月27日 | お医者さんの一言
今週は2度も救急車に乗ることになりそうだ。
明日も患者さんを他の病院へ転院させる。
もともと糖尿病で腎臓機能が徐々に悪くなっていた患者さんが、肺炎をきっかけに腎機能が急に悪くなってしまったからだ。

ウチの病院では透析ができない。
普段診てもらっているクリニックの先生の手も借りて、大学病院などにあたってみたけれど、満床とかで、どこからも断られっぱなし。
数字は日に日に悪くなってくるし、患者さんはふーはー言ってるし、家族はおろおろして、病室を訪れるたびに転院はまだですかと迫られる。

病院の“たらい回し”は日常茶飯事行われていて、ニュースにならない話は実はたくさんある。
今、日本の医療事情はめちゃくちゃだ。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。

どうしたものかと病院リストを眺めながら、医師会の月一回のレントゲン勉強会で会うN先生のことを思い出した。
患者さんの住んでいる地域の総合病院の内科の先生。
透析設備があるかどうかわからなかったけれど、ワタシも患者さんと一緒にアップアップしていたので、とにかく相談にのってもらいたくて今朝電話した。

医者として信頼できるかどうかの判断基準にはいくつかのポイントがある、とワタシは思っている。
外科医の場合、たとえ性格が悪くても、「腕がよければ良し!」もありえるけれど、内科医はそうはいかない。
内科の面白さ、内科医の腕の見せどころは「診断」。正しい治療には正しい診断が必要なのだ。

とはいっても、実際「この先生に診て貰えてよかった」と思える医者は、腕のいい医者でもなく、診断力に長けた医者でもなく、まずはコミュニケーション力が高い医者なのではないかと思う。
会話の成り立たない医者は実に多い。

朝のあわただしい時間ではあったけれど、N先生には電話で充分こちらの事情が伝わり、透析設備もあるN先生の病院へ明日快く転院させてもらえることになった。
ナースステーションで思わず万歳&拍手。

お互いの顔を知っていたこと、直接電話で話をしたこと、今回の連携成功の鍵はこの2点かもしれない。













コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 搬送 | トップ | 前にも話したかしら:タバコ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

お医者さんの一言」カテゴリの最新記事