真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

シュヴァインフルトをめぐる決断

2011-04-28 | 読書-歴史
朝日ソノラマ文庫版航空戦史シリーズ26『戦略空軍』
著者:トーマス・M・コフィ
訳:手島尚

訳注も適切。
さすが。

原著:DECISION OVER SCHWEINFURT The U.S. 8th Air Force Battle for Daylight Bombing 

World War II: Eighth Air Force Raid on Schweinfurt 

Second Schweinfurt Memorial Association, Inc. (SSMA) 
どうしてsecondなのかと思ったら、10月の第2次攻撃の戦友会ね。

動画多数
WWII: GI Diary B-17 Raid Schweinfurt  

Schweinfurt Mission Part 1/10  
10分割

エーカー将軍の奮闘が本書の軸というか・・・
General Ira Clarence Eaker (April 13, 1896 – August 6, 1987)

夜間爆撃を主張する英国と、昼間精密照準爆撃を主張する米国。
米国内でも、欧州に爆撃機をもっと寄越せという陸軍航空軍と、それよりも・・という海軍。

ワシントンの上司とも上手くやりながら、英国と上手くやって成果を上げないと。
ワシントンの戦いのくだりで、「この種の戦いの武器になるのは、十分な調査、積極的な明るい見通し、説得力のある論点、明確な統計データを持ち、整然とした印象的な表題がつけられている文書である。国際的な支持があれば、一段とハクがつく」という記述がある。

およそ、大きな組織で何事かを進めようとする場合に普遍的にいえそうかもw
それにしても、チャーチルの二枚舌というか、狸親父ぶりはw

大きな組織のヌシのような人物の中には、同様にその言葉を真に受けてはいけない狸親父がいたりするんだろうな。
特定の人物を想定しているわけでないっ!ことは言うまでもないw

上層部はお互いに相手に敬意を表しながらも自説を主張し、相手の先方戦法を貶すが、乗り手たちは、「よくあんな恐ろしいことをするな」と思っていたというのが面白い。
でかいけどやわな飛行機で夜間に単機で列になって行ってくるのと、昼間にがっちり編隊を組んで飛行機雲を引きながらというのと、どっちが恐ろしかったかな。

米国式のほうが恐ろしいような気がする。
いろんなものが見えてしまうし。

自機に向かってくる対空砲火を見るな、自機に向けられる敵機の銃口を見るな、と注意する上官が出てくるが、そんなものを目の当たりにしながら、仲間が一瞬で飛び散って行ったりするのも見て、次は…というのが何度も・・・というのは耐えられないだろう。
25回出撃すれば帰国できるといっても、損害率が4%だと、25回で・・・あ!というわけで。

補充が滞るので、25回が30回に増えてしまったそうで、「25回のうちには未帰還になるので、最後の5回は飛ばなくてすむ」というジョークでも言わないとやってられないわい、というノリ。
では、陰鬱な天気の島国から凍傷になりそうな環境でドイツ爆撃に行くのと、南の島から与圧された快適なキャビンで訳のわからない(ルールの通用しそうにない)日本を攻撃に行くのとでは(B29のことね)、どちらが怖かっただろうか。

じつはこんな本もあるので紹介しておく。
B-29日本爆撃30回の実録 第2次世界大戦で東京大空襲に携わった米軍パイロットの実戦日記

一緒に編隊を組んでいた僚機が、たまたま高射砲の直撃を受けて機首部分が吹っ飛んだ瞬間、などという写真があったのは、この本だっけ?

関連過去エントリ(リンク切れあり)
芳紀18歳、死の女神 

空飛ぶ籠で辛い思いをした若者たちに捧げた~『ブラッカムの爆撃機』 (お食事中の方はちょっと・・・) 


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