『大統領とハリウッド 』アメリカ政治と映画の百年 村田晃嗣 著
で引っかかった箇所のメモ。
①ウィリアム・ワイラー監督が大戦中、B17に乗り組んで The Memphis Belle: A Story of a Flying Fortress (1944)を制作、続いてB25にも乗って、騒音で右耳の聴力を失った件で、「彼はやがてより大型のB-25にも搭乗し、その轟音や風圧のために片耳の張力を損ねた。」(p38)との記述は、大小が逆である。
B-17(四発)>B-25(双発)なので。
えーとね、発とは発動機、すなわちエンジンがいくつついてるかということ。
大きい方がうるさい筈と思ったのか、ちょっと確認すればわかる話だが。
引用元の本にそう書いてあった、のだろうか?
William Wyler
Biography
In April of 1945 he permanently lost the hearing in his right ear while filming a bombing mission from a B-25.
トリビアだが、なんでもスピールバーグ監督のお父さんも大戦中、B-25に乗り組んでいた由。
ところが、ワイラー監督失聴の件とともにそのことを語ったTV番組では、映像に出てきたのはB-24だったそうで。←南面堂同様の視聴者たちが「ちげーよ」と指摘しているというw
ま、アメリカでもそんなもんであるという。
Five Came Back (TV Mini-Series)
The Price of Victory (2017)
Goofs
Spielberg tells the viewer that William Wyler lost his hearing flying in a B-25.
②戦闘機がお好き?
~固定翼の作戦機は実際に関わらずなんでも「戦闘機」と表記するのはいい加減にやめてはどうか、の件
世の中には、「軍艦」とでも表記すべきところを全部「戦艦」にしてしまう向きが多数存在することが知られている。
同様に、軍用機を全部「戦闘機」と書いてしまう向きも存在するのかもしれない。素人ならば。
でも、著者は「素人」ではない筈。
その1:ジョージ・H・W・ブッシュ41代大統領が大戦中に海軍の最若手パイロット(高校卒業と同時に志願して入隊)として雷撃機に乗り組んで太平洋戦線で戦い、父島上空で被弾して撃墜され、部下2名は戦死したものの、機長のブッシュは潜水艦に救助された有名な話を紹介する中で、乗機が3人乗りの雷撃機(当日は爆撃任務)だったにもかかわらず、「彼は第二次世界大戦に進んで従軍し、搭乗する戦闘機を日本海軍に撃墜された経験を持つ」との記載(p151)は、素人臭いというか、相変わらずというか。
Lieutenant George H. W. Bush, USNR
41st American President
https://www.history.navy.mil/browse-by-topic/people/presidents/bush.html
George Herbert Walker Bush
12 June 1924 − 30 November 2018
https://www.history.navy.mil/research/histories/biographies-list/bios-b/bush-george-h-w.html
潜水艦が拾うところ
見つけたというより、潜水艦の現着まで僚機が上空で警戒護衛していた、との記述もあったな。
その2:その息子のジョージ・W・ブッシュ43代がイラク戦争の「勝利」アピールのために対潜哨戒機で空母に着艦して演説した(2003/5/1)件を、「彼はサンディエゴ沖の空母エイブラハム・リンカーンに戦闘機で着艦し」と記載している(p186)のは、興ざめというほかない。
「ジェット機」くらいにしておいた方がまだましだったんじゃないか?
その結果、ブッシュ親子の乗機の両方を、「戦闘機」にしてしまう
~国際政治学者として現実的な指摘を国会で行った(そのために学長再任を棒に振った)気骨は立派だ。
が、もし「固定翼の作戦機は全部、戦闘機でいいや」との線引き(?)があるとすれば、不可解千万。
安全保障をも論じる学究として、(学長ポストと引き換えに)せっかく守った信用に自ら傷をつけていると言っては言い過ぎか、そうでもないか…。
④その他微妙に違和感
「ケネディの死からわずか98分後に、しかもダラスからワシントンに戻る機中で、リンドン・ジョンソンは大統領に就任した」との記述(p73)は微妙。
これ、飛行中ではないよ。駐機場内だよ。
それは流石に分かっておる?
出発前に行った儀式が、「戻る機中」にあたるのかどうか。
当該場所に記念の銘板を設置するために、場所の特定をしました、という記事。
ジャッキーを横に立たせて就任宣誓を、というのはジョンソンの要求だったと。
人気のあったケネディの正統な後継者とのイメージを重視したのね。
前後の場面
TRIP TO TEXAS: SWEARING-IN CEREMONY ABOARD AIR FORCE ONE, LYNDON B. JOHNSON (LBJ) AS PRESIDENT
銘板制作業者HPの「当社制作実績」掲載の当該銘板写真Bronze Marker Detailによると、
2:38 エアフォースワン機内で宣誓式(所要28秒)
2:47 アンドリュース空軍基地(ワシントン)に向けて出発
ということなので、「戻る直前の機中」が正確と言えようか。
車輪止めはまだ外してはいなかった筈だが、当該「機」はその直後に出発したので、「戻る機」中は間違いとは言い切れない、と言い張れないこともない、か。
で引っかかった箇所のメモ。
①ウィリアム・ワイラー監督が大戦中、B17に乗り組んで The Memphis Belle: A Story of a Flying Fortress (1944)を制作、続いてB25にも乗って、騒音で右耳の聴力を失った件で、「彼はやがてより大型のB-25にも搭乗し、その轟音や風圧のために片耳の張力を損ねた。」(p38)との記述は、大小が逆である。
B-17(四発)>B-25(双発)なので。
えーとね、発とは発動機、すなわちエンジンがいくつついてるかということ。
大きい方がうるさい筈と思ったのか、ちょっと確認すればわかる話だが。
引用元の本にそう書いてあった、のだろうか?
William Wyler
Biography
In April of 1945 he permanently lost the hearing in his right ear while filming a bombing mission from a B-25.
トリビアだが、なんでもスピールバーグ監督のお父さんも大戦中、B-25に乗り組んでいた由。
ところが、ワイラー監督失聴の件とともにそのことを語ったTV番組では、映像に出てきたのはB-24だったそうで。←南面堂同様の視聴者たちが「ちげーよ」と指摘しているというw
ま、アメリカでもそんなもんであるという。
Five Came Back (TV Mini-Series)
The Price of Victory (2017)
Goofs
Spielberg tells the viewer that William Wyler lost his hearing flying in a B-25.
②戦闘機がお好き?
~固定翼の作戦機は実際に関わらずなんでも「戦闘機」と表記するのはいい加減にやめてはどうか、の件
世の中には、「軍艦」とでも表記すべきところを全部「戦艦」にしてしまう向きが多数存在することが知られている。
同様に、軍用機を全部「戦闘機」と書いてしまう向きも存在するのかもしれない。素人ならば。
でも、著者は「素人」ではない筈。
その1:ジョージ・H・W・ブッシュ41代大統領が大戦中に海軍の最若手パイロット(高校卒業と同時に志願して入隊)として雷撃機に乗り組んで太平洋戦線で戦い、父島上空で被弾して撃墜され、部下2名は戦死したものの、機長のブッシュは潜水艦に救助された有名な話を紹介する中で、乗機が3人乗りの雷撃機(当日は爆撃任務)だったにもかかわらず、「彼は第二次世界大戦に進んで従軍し、搭乗する戦闘機を日本海軍に撃墜された経験を持つ」との記載(p151)は、素人臭いというか、相変わらずというか。
Lieutenant George H. W. Bush, USNR
41st American President
https://www.history.navy.mil/browse-by-topic/people/presidents/bush.html
George Herbert Walker Bush
12 June 1924 − 30 November 2018
https://www.history.navy.mil/research/histories/biographies-list/bios-b/bush-george-h-w.html
潜水艦が拾うところ
見つけたというより、潜水艦の現着まで僚機が上空で警戒護衛していた、との記述もあったな。
その2:その息子のジョージ・W・ブッシュ43代がイラク戦争の「勝利」アピールのために対潜哨戒機で空母に着艦して演説した(2003/5/1)件を、「彼はサンディエゴ沖の空母エイブラハム・リンカーンに戦闘機で着艦し」と記載している(p186)のは、興ざめというほかない。
「ジェット機」くらいにしておいた方がまだましだったんじゃないか?
その結果、ブッシュ親子の乗機の両方を、「戦闘機」にしてしまう
~国際政治学者として現実的な指摘を国会で行った(そのために学長再任を棒に振った)気骨は立派だ。
が、もし「固定翼の作戦機は全部、戦闘機でいいや」との線引き(?)があるとすれば、不可解千万。
安全保障をも論じる学究として、(学長ポストと引き換えに)せっかく守った信用に自ら傷をつけていると言っては言い過ぎか、そうでもないか…。
④その他微妙に違和感
「ケネディの死からわずか98分後に、しかもダラスからワシントンに戻る機中で、リンドン・ジョンソンは大統領に就任した」との記述(p73)は微妙。
これ、飛行中ではないよ。駐機場内だよ。
それは流石に分かっておる?
出発前に行った儀式が、「戻る機中」にあたるのかどうか。
当該場所に記念の銘板を設置するために、場所の特定をしました、という記事。
ジャッキーを横に立たせて就任宣誓を、というのはジョンソンの要求だったと。
人気のあったケネディの正統な後継者とのイメージを重視したのね。
前後の場面
TRIP TO TEXAS: SWEARING-IN CEREMONY ABOARD AIR FORCE ONE, LYNDON B. JOHNSON (LBJ) AS PRESIDENT
銘板制作業者HPの「当社制作実績」掲載の当該銘板写真Bronze Marker Detailによると、
2:38 エアフォースワン機内で宣誓式(所要28秒)
2:47 アンドリュース空軍基地(ワシントン)に向けて出発
ということなので、「戻る直前の機中」が正確と言えようか。
車輪止めはまだ外してはいなかった筈だが、当該「機」はその直後に出発したので、「戻る機」中は間違いとは言い切れない、と言い張れないこともない、か。