テレワークになかなか移行できにくい、その阻害要因の2番目は、
「仕事のスタイルがテレワークに適合しているか」
別の申し上げ方をするなら
「普段からパソコンのデータを基本にしているか」
もっと具体的に申し上げるなら、
「連絡はメール、通知は掲示板、データファイルはPDF、チームや会社で共有する資料はサーバーにアップロード、というやり方をしているか否か」
が普通になっているか、ということです。
これが、本気にやろうとするとなかなか難しいのです。
割り切ってしまえばどれも簡単なことばかりなのですが、日本人、なかなか割り切るということができにくい人が多い。
筆者が携わったテレワーク推進のプロジェクトでも、社内、部署内外から
結構な抵抗がありました。
これまで慣れ親しんだやり方は、誰でも変えたくないものです。
「変えたくない」というよりも、
変えるための手間や時間を割いているほどヒマじゃない!
というのが本音だったと思います。
気持ちはわからないでもないですが、
変更のための変更ではない、このやり方に変えることによって、
何々がこう変わる、こういう良いことがある、などなど
主旨(また出てきました)を繰り返し繰り返し説いて回る必要がありました。
テレワークを本気で進めようとするなら
このハードルは何としても超えなければなりません。
(1)連絡はメールが基本になっているか
今更、釈迦に説法であることは重々承知で敢えて申し上げますが、
メールの良いところは、大変強引な面に限って言うと
1)相手の都合を気にせずに送り付けることができる
2)送ることで既成事実ができる
3)送ったことで「伝えた」という記録が残る
4)Cc、Bccを使用することで、送付先(要件を伝えたい先)以外に、
「この人にこういうことを伝えたからね!」
というのを、Cc、Bccの送付先、及びTo(要件の送付先)にも知らしめる
ことができる。
加えて、メールのマナーとして、
「メールアドレスを持っていて、公開しているなら、
『メールは読んでいない』というのは許されない」
という掟があります。
場合によってはある意味、諸刃の剣ともいえるツールでもあるわけですが、
これを基本にすることによって、業務連絡の効率が上がることは言うまでも
ありません。
(2)通知は掲示板
伝達の効率という面では、メール以上に劇的に向上できるのが、
掲示板を電子データで行う、ということです。
紙媒体で掲示しようとすると、回覧板ということになるでしょうか。
筆者も若かりしころそうでしたが、「見てる暇がない」という理由で、
結構な数の回覧板をデスクに溜めてしまい、
先輩に怒られたことが何度もあります。
それは、情報の伝達自体が阻害されるだけでなく、重要な情報を止めて
しまう行為に他ならなかったわけですが、いくつもいくつもの回覧板が
次々に回ってくると、実際のところ見ているヒマはない、という状況も
あったのは、当時理解してもらいたかったところでもありました。
お話が逸れましたが、
そもそも紙媒体の効率の悪さであるのは事実ですので、通知も電子データ
で行わない手はありません。
掲示板用のアプリなども数多くありますが、通達文や回覧などをPDFにして
関係者にメールで配信するだけで簡単に実現が可能です。
(3)データファイルはPDF
紙には紙の良さがもちろんあります。
紙に書かれていることは、視覚として脳に入ってきますので、
記憶に残りやすい、ということもあります。
メールや電子データは、どれも似たような体裁ですが、
紙だと、ぼんやりしたイメージでもあとから思い出しやすいことも
あります。
が、やはり紙は紙。近くにいる人しか活用も閲覧もできない媒体には
違いありません。
データファイルがPDFとか画像ファイルなど、パソコンでやりとりできる
形態になっているか、が重要なポイントになります。
(4)共有ファイルはサーバー利用
(2)(3)に関連したお話ですが、紙媒体がデータ化されていたとしても
都度メール添付で送り付けられた日には、しまいにメールもアタマも
パンクしてしまいます。
そもそも情報には、その時だけ必要なものと、保管して必要な時だけ
使いたいものがあって、それは管理や運用上も区別されなければ
紙媒体の代わりにデータの山ができて、あまり状況は変わらないことに
なります。
商品資料や、取扱説明書などは、必要な時に見たいもの、であって
そういう類の資料は、サーバーに保管され必要な人がいつでも閲覧
できる環境が作られている必要があります。
上記、その気になればどれも簡単なことばかり、
移行してしまえば当たり前になってしまって、抵抗していた人たちも
「なぜ反対したのかな」と思えるものばかりなのですが、
移行を実施するのに、ヘタなプロジェクト体制を組むと、
半年や1年はあっという間に過ぎてしまいます。
この記事をお読みいただいている方々は、多分
あまり時間をかけたくない方々であろうと憶測しますので、
この環境変更、資料移行を行うのに、簡単な方法をご紹介します。
筆者がプロジェクトに関与した時に、
実践して効果を上げたこと、でもあります。
1.ある時期以降、パソコンのローカルハードディスクへの保存を禁止。
会社に関係あるデータは、すべて共有サーバーへ保存すること。
2.現在ローカルハードディスクに入っているデータは、ある時期までに
共有サーバーへ移行すること
さらに、データ移行が進んでくると、様々な申請や報告なども電子的に
行われるように、間違いなくなっていきます。
以下は、ある会社で実施して奏功した方法です。
3.交通費の申請は、電子申請以外受け付けない
ここであまり細かいお話になってしまうとわかりにくくなりますので、
このあたりにしますが、
色々な決め事が出てきたときに、それを経営者の皆様が
「トップダウン」で指示すること、です。
本当は、ボトムアップで社員が考えて進めた方が浸透が早いですし、
社員のモチベーションも間違いなく上がるのですが、
何しろ時間がかけられないというご事情があると思いますので
ここは「トップダウン」で参りたいところです。
阻害要因のその3について、次のエントリーで記載したいと思います。