阻害要因の3つ目、実は多分これが一番難関かもしれません。
人事的な用語で申し上げれば、
勤怠管理と労務管理、業務管理、という内容です。
システム的なお話ではなくアナログなお話ですし、
人事のご担当者からすれば何をいまさら当たり前のことを、
と一笑に付されるかもしれません。
ただこれが、ことテレワークに関係するとなると、結構ニュアンスが変わって
くるのです。
筆者が携わったプロジェクトにおいて、実は一番のネックはこれ、
でした。
労務管理、勤怠管理、業務管理などなど、これらを突き詰めると
会社は社員を信用していますか?
社員は会社を信頼していますか?
ということになると思います。
テレワークに慣れていない社員はこのように言います。
「会社にいないと集中できない」
経営側の方々は心配されます。
「テレワークでも真面目に仕事をしてもらえるのかな」
つまり双方、お互いに、見ている見られている状態に慣れてしまっており、
それが「管理」だと思っています。
本来、仕事というのは「成果」如何です。
しっかり「成果」が出るかどうかを「管理」すべきであり、
日常、見ている見られている状態は、これすなわち「経過」であり、
「成果」ではありません。
「経過」では「評価」はできないのです。
確かにひと昔、ふた昔ほど前は、
「まあ〇〇はあまり仕事できないけど、がんばってるから
いい評価つけといてやろうや」
というのは上司のある意味美学として存在していたのは事実です。
が、「がんばっている」というのは「経過」であり、「成果」ではありません。
いまはそういう時代ではなく、「評価」されるのはあくまで「成果」で
あります。
「経過」はそれを補うものであるはずです。
これまで「実働」を「手ごたえ」として日常を過ごしてこられた方々にとっては
テレワークは実に「手ごたえ」のない業務状態に思えることでしょう。
これで業務が本当に動くんだろうか。
社員はちゃんと成果を出してくれるんだろうか。
大いなる不安要素であると思います。
でも、本当にテレワークの導入を進めるのであれば、
社員を信用するしかありません。
実は逆の話もあります。
筆者が携わったプロジェクトで一番のネックだったと申し上げましたが、
それは、信用、信頼とは逆の状況を回避すること、でした。
社員は、会社が思っているよりずっと真面目だった、のです。
従って、管理されて制限をかけられないと、
逆にやり過ぎてしまうことが見受けられました。
仕事が終わったのが23時24時当たり前、が毎日のように続く社員が多く、
もしそのままの状態が続けば、
過労死してしまうかもしれない、ことが懸念されていました。
その状態を制限するためのシステム準備に半年をかけ、
ようやく本格稼働できたのでした。
余談になってしまいましたが、
あながち社員はさぼろうと思っているわけではないかも、という例で
申し上げました。
テレワークを進めようとするとこのように
労務管理をどうするかについても考え、
そのためのシステムも導入しなければなりませんが、
これも本格的に進めようとすると、半年や1年はあっという間に経過
してしまいます。
すぐにでもテレワークを導入されたい場合は、
システムはあと回しにして、
業務管理、労務管理の課題をどのようにお考えになるかを、
まずは検討いただきたいと思います。
具体的には、
1)成果主義が導入できるか
と書きますと大げさな感じを受けますし、最悪の場合
「成果目標制度を導入するぞ!」
という選択を(して失敗)する企業さんも少なくないので、
もう少々補足させていただきますと、
「仕事は『経過』ではなく『成果』で評価する!」
ことを経営者として宣言できるか否か
2)基本的に社員を信用できるか
1)が宣言されれば、社員はそれに向かって自主的に動くはずです。
「テレワークだから集中できない」とか、基本さぼっている社員は、
「成果が出せない」ことになり、
「良い評価を得られない」ことになりますので、
「集中できない」なんてことを言っている余裕などなくなるはずです。
ですので、詰まるところ、「社員を信用できるか」否か、
ということに尽きるのですが、それについてはいかがでしょうか。
以上、阻害要因を3つ記載させていただきました。
【1】紙媒体からの脱却
資料は会社にある状態から、誰でもどこからでも閲覧出来るように
すること
【2】仕事のスタイル
基本的な業務をパソコン主体に置き換えること
【3】社員を信頼する
会社の意図を理解し、社員として業務を遂行することで、
会社に貢献してくれるに違いない、と信じること
本シリーズの冒頭で申し上げましたように、
コロナ騒ぎで、当たり前の話にように言われるテレワークの実施について
まだ実践に至っておられない企業様に、簡単に進められるテレワークについて
記載しております。
都知事の主旨と同様、この記事の主旨は、
社員の命を守るため、
社員の家族を守るため、
さらに、会社の業務を停滞させずに事業を継続するため、
にテレワークをご検討されませんか、という内容となっています。
そのために超えなければならないハードルとして
上記3つ記載いたしましたがいかがでしょうか。
もしそのうちの一つでも無理だなーというものがあれば、
大変僭越な申し上げ方となり恐縮ですが、
テレワークのご導入は断念された方が良いかもしれません。
最低限のハードルとしてご紹介しておりますので、
無理、となると遅かれ早かれどこに無理が出てくるとも思われます。
ここまでお読みいただいて、このくらいなら大丈夫そうかなと
お感じいただける方は、次からのエントリーをご覧ください。
次からは、「3日で始めるテレワーク」というシリーズで、この続きを
書いて参りたいと思います。
多いみたいですねぇ、、、
ウチの社員は会社を信頼してくれているんだろうか、、、
筆者は雇われ側でしたが、経営トップとも接することが多かったので、
トップはトップなりに悩み(孤独感)があることも聞きました。
社員側もある意味疎外感なども味わっている面もあって、
そこにはやはり人間同士のコミュニケーションを深めることが一番の解決策なんですが、
現在のコロナ禍で人間同士が離され、
益々コミュニケーションは希薄になってしまうことが強く懸念されます。
テレワークはその状況をますます強化してしまうわけで、
筆者としてもそこはジレンマで悩ましいですし、
自己矛盾している面もあるのですが、、、