友あり遠方より来たるまた楽しからずや

我が家は喪中なので、先日友人知人にその通知を出した。

かつて我が家の隣にあった父の貸倉庫の一部を事務所と駐車場に借りて頂いていたＨさんの奥さんが、父が亡くなっていたと知り今日仏前にお参りに来て下さって、事務所のあった土地に建っている8軒の新しい家を感慨深げに見ておられた。

Ｈさんのお父さんが社長をされていた時代に事務所として入ってこられたのは20年以上前のこと。
今はすでに引退されている社長ご夫婦と、その息子であるＨさんご夫婦、Ｈさんの妹さん、少しの間Ｈさんの弟さんご夫婦も加わり、営業や現場などに出て行かれる男性以外は、女性陣は殆ど1日そちらに集まっていたので、我が家にもにぎやかな話し声、笑い声が時折聞こえていて、家族といえど色々もめ事もあるだろうとは想像しながらも、その仲の良さはうらやましく思っていたものだ。
Ｈさん若夫婦が、まだ結婚して間なしでそれから奥さんに赤ちゃんが出来て・・というような時を経ていつの間にか20年以上過ぎた。その奥さんもすでに40歳後半になったと今日伺った。

あの時生まれた息子さんと娘さんも幼稚園のころからピアノのレッスンを頼まれたり、今はお父さんから引き継いで社長になっているご主人の妹さんも、大人になってからピアノを習いたいと来られたり、いわゆる大家と店子よりもっと親しいお付き合いをさせて頂いていた。

3年ほど前に事務所を別のところに移転されるということになり、父が土地を手放し、そこに8軒の家が建って新しい住人が入られ、その間に父が入院し、亡くなり、いろんなことが急激に様変わりした。
たった3年だが随分遠い昔のような気がする。

その間にＨさんご夫婦二人ともかなり重い病気をされていた。
ご主人は何とか復帰されたが、奥さんは完治しないらしく、この重い病気以外にも、あまり知られていない難病にもなり、8か月ほど入院されたことを、持ち前の明るさでケロっとした口調でしゃべられて、重い病気を持っていることを疑ってしまいそうだ。
彼女とおしゃべりしていると、私の伝えたい真意を素早く理解してくれる痛快さや、その明るい口調に自分も元気づけられるし、この人は重い病気でも進行を食い止める何か強運を持ち合わせているのだと感じさせてくれて、気持ちが晴れ晴れする。

どういう訳か、私のかつての教え子さんのお母さんはこういう方が多い。こんな私でもちょっと落ち込むことがあるが、こういうお母さんが訪ねてきてくれると途端に元気にしてくれるのだ。

主人が10年前に病気になった時、合唱団の先輩がくれた「日めくり」がある。少しヨレヨレになってきているがその中に好きな言葉がある。
『本当の出会いに別れは来ない』