中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

関帝廟通りの「清風楼」で冷しそば(840円)

2006年09月04日 | 冷やし中華
 発祥の地といえば横浜。当然、中華街のある横浜が、冷やし中華の発祥地だと思うでしょう。でも、これが違うんですよね。昭和12年、仙台で生まれているのです。ということで、来年は冷やし中華誕生70周年なのです。
 さて、人が100人集まれば、冷やし中華に対するこだわりも100通りあると言われています。
 「モヤシを入れるのは邪道だ!」
 「ナルトを入れないでどうする!」
 「叉焼は千切りが正しい」
 「甘酢醤油タレは間違っているぞ」
 「スイカを入れるなんてふざけてる!」等々…
 それが国民的大論争にまで発展し、1975年、ついに全日本冷し中華愛好会が結成されました。初代会長はジャズピアニストの山下洋輔。会が編集・発行した『空飛ぶ冷し中華』は、我々「中華街ランチ探偵団」の聖書となりました。
 「卵、キュウリ、紅ショウガ、ハムにナルト。ナルトは渦が左巻きになるように配置しなければならない。これに強い甘酢のタレをダボダボかける」というのが山下会長のこだわり。完全なる和製中華料理です。
 「全冷中」は4年で解散しましたが、我々はその後継者となるべく日夜食いまくっているのです。

 今回はシウマイや焼き飯で有名な清風楼です。作家の池波正太郎はこの店によく通っていたようで、『むかしの味』(新潮社1984年)という本の中で、こんなことを書いています。
 ≪この店は何を食べても旨いが、私は上等の五目やきそばとネギそばが好きだ。夏の冷やしそばも独特だ≫
 確かに他店とは異なった風貌をしています。容器が皿ではなくドンブリです。ここの焼き飯(並)も、やはり皿ではなくドンブリで出てきますから、何かこだわりがあるのでしょうかね。
 ドンブリを見て、「なんだ、ただの冷しラーメンじゃないか」と片付けてしまっては駄目です。たとえば「接筵」、「大上海」などで出しているのは、「清風楼」と同様に深いドンブリ又は容器に入っていていますが、あれは「冷しラーメン」でしょう。でも、ここのは、やっぱり「冷し中華」です。
 トッピングはクラゲ、キュウリ(千切りではなく半円形切り)、ネギ、チャーシュー(12本)と、全冷中の規定する冷し中華の具材とはかけ離れていますが、山下洋輔会長こだわりの「強い甘酢のタレをダボダボかける」どころか、甘酢のスープがドバドバドバドバドバ…ダボダボダボダボに注がれているので、我々探偵団は、やっぱり、これは「冷し中華」だと認めています。
 麺はコシがあり、けっこう食べ応えがあるかもね。そして、ダボダボ汁なので、普通の冷し中華の食べ方をしていては駄目です。最後に汁が大量に残ってしまいますので、麺を食べながら汁も「ズズズー」っと吸い込みましょう。

 帰りがけ、2階へ上がる階段を見たら、欄干に擬宝珠(ぎぼし)が取り付けられていました。

 それにしても、初夏には「冷し中華はじめました」という貼紙が出るのに、止める時には「今年の冷し中華は終わりました」の表示が出ないのは何故なんでしょうかねえ。

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