2018年8月の中華街

８月下旬に見た横浜中華街から、いくつか写真でご紹介しておこう。まずは石川町駅に貼られているポスター。横浜山手中華学校創立１２０周年記念の関連行事が書いてある。 　９月２１日に行われる式典には参加できないが、２２日、２３日には校内で展覧会があるそうだ。入場自由だから行ってみるかな。 　ところで、石川町駅前に建っているのに、なぜ横浜山手中華学校と「山手」を名乗るのか。それは横浜中華街における学校の歴史に大きく関わっているからだ。 　ここで学校史を語っても字数の無駄になるので、中区にある２つの学校のＨＰをリンクしておく。 　横浜山手中華学校 　横濱中華學院 　横浜山手中華学校の歴史にもあるとおり、同校は2010年に駅前の吉浜町に移転してきた。その動きは2007年ころから始まっており、当時、私もブログに関連記事を書いたところである。 　そのとき気になっていたのが「校名」。山手町から吉浜町に移転して、校名から「山手」を消すのか、消さないのか、ということであった。 　結果的に校名変更はせず、「山手」という地名も残った。いろいろ意見はあったと思うが、私はこれで良かったと思っている。 　学校史は書籍やＨＰに載っているとはいえ、校名に山手時代の歴史を背負っているからね。 　施設名に関しては似たような話がある。有名な「山手警察署」だ。この警察は本牧のど真ん中に建っているのに、なぜか「本牧警察署」ではない。 　もともとは居留地の警察として明治10年に山手に開設された。『中区史』によると、代官坂の上にあったようである。 　同書では関係者の証言を、こう伝えている。 　「代官坂を登った所に、もと交番がありまして、その裏、トンネルを出て少し右に上った所に、山手警察署があったんです、震災でつぶれて本牧へ行っちゃったんです、ですからどこへ行っても山手警察署というんですよ」 　震災後、山手警察が移転した場所は本牧町2-376。 　ここをグーグルのストリートビューで眺めてみようか。景色を見る←クリック 　山手警察は震災後、ここに移転したのである。画像を見てお気づきだと思うが、その場所に赤い鳥居のマークが描かれた案内ポールが立っている。これは神社が移転した跡地を示しているのだ。 　この場所はまず警察署が移ってきて、それが出ていったあと今度は神社が移転してきて、さらにそれも出ていったのち、このような姿になっているというわけ。 　これは昭和７年測量（同９年製版）の地図。関東大震災後に山手から移転してきた「山手警察署」が描かれている。中央に「授産所」とあるが、戦後、ここに「山手警察署」が再び移転してくるのである。 　昭和２７年の地図。 　授産所あとに山手警察署が入り、それまで警察がいた場所には、米軍によって本牧十二天を追われた本牧神社が遷座してきている。 　※本牧十二天にあった本牧神社は、実際には接収されておらず、周囲３６０度が接収されたため人々の出入りができなくなって、しかたなくこちらに遷座したという。 　地図の右側に点線で描かれた道路や建物がある。これが本牧の接収地だ。間門の方からここまで、幹線道路に沿って米軍ハウスが建ち並んでいた。 　昭和５０年代になって、やっと本牧の接収解除が始り、「山手警察署」は現在の場所に落ち着いたというわけである。 　開港当時の山手から流れ流れて本牧に辿り着いた「山手警察署」。 　最近、本牧に引っ越してきた人たちは、なぜ「山手」なのか不思議に思っているのではないだろうか。そこで、その謎を解くべく、自分の住む町の歴史を調べる人もいるはずだ。そうして、ここに書いたような過去の経緯が分かってくる。 　この警察署が「本牧」を名乗っていたら、こういった歴史を知らずに過ごしてしまっているかもしれない。 　※いや…別に知らなくてもいい…という人もいるだろうけどね… 　さて、こういった例は他にもたくさんあるぞ。中区内でいえば、 　花咲町にあるのに「本町小学校」。 　本牧十二天にあるのに「北方消防出張所」。 　本牧間門にあるのに「立野高等学校」。　 　などなど…… 　それぞれの歴史を紐解くと、いろいろなことが分かってくる。 　ということで、横浜山手中華学校のことを書いているうちに、出勤時間が来てしまったようだ。 　中華街情報の残りは、また次の記事で書きますね♪ 　 ←素晴らしき横浜中華街にクリックしてね