アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

中国で大ヒット『中国合イ火人』のアイディア元は『きっと、うまくいく』

2013-06-06 | インド映画+中国映画

現在中国で大ヒットしている映画は、3人の大学同級生の成功物語『中国合イ火人』。陳可辛(ピーター・チャン)が監督するこの作品、英語題名は「American Dreams in China」と言います。香港の公開作をここでチェックして存在は知っていたのですが、昨日マダム・チャンのブログでさらに詳しい内容とヒット状況がわかり、「やっぱりな~」と納得しました。

 

何しろ主演が、黄暁明(ホアン・シャオミン)に、『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』の[登+おおざと]超(ダン・チャオ)、そして『レッドクリフ Part2』で蹴鞠をしていたイ冬大為(トン・ダーウェイ)というのですから、モロ私の好み。さらに予告編を見ると、黄暁明がダサダサのメガネ大学生を演じていて、こりゃー面白そうだわ~と期待感は高まる一方。また、ピーター・チャン監督が久々に現代ものを撮ったというのも注目に値する出来事です。最後には下の写真のように皆さんカッコよくなるみたいですが、1980年代初めの大学生姿は思わず目を疑ってしまう化けっぷりです。

中国での興行収入は、5月17日の封切り後10日間で3億元を突破、とこの日本語記事でも伝えられています。中国語の記事では、「5億元も見えてきた」としているものもあり、もっとこの3人の姿が見たくて、予告編以外にもいろいろYouTubeで検索してみました。するとある紹介番組が見つかったのですが、...何と5分ぐらいの所で突然「Aal Izz Well」の歌が! さらに監督インタビューではピーター・チャン監督が「我拍這個戯的起点是《三sha》(僕がこの映画を撮る元になったのは『三バカ』なんだよ)」と発言。『三バカ』つまり『きっと、うまくいく』ですね。これに影響されて撮った結果の大ヒット。「Aal Izz Well」の呪文はここでも効いたみたいです。

僕たち、似てるかな~?

『きっと、うまくいく』の日本での大ヒットには、「スティーブン・スピルバーグ監督が、ブラピが、ビル・ゲイツが」といった欧米世界の有名人を使ったパブが大いに貢献しているようですが、香港映画ファンとしては、「あの、ピーター・チャン監督が!」と声を大にして叫びたい気分です。『ウィンター・ソング』 (2005)で『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』のファラー・カーン監督を舞踊監督に起用したピーター・チャン監督、普段からインド映画もよく見ているのでしょう。

『中国合イ火人』、日本でも公開されるといいですね~。とりあえず、縁起のいい<したまちコメディ映画祭in台東>での上映などいかがでしょうか?

 


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3 コメント

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コメント返しありがとうございます (中国映画を見続けて)
2013-06-09 07:25:30
「きっと、うまくいく」は中国でも上映されていたと記憶しています。
確か上映スクリーンも多かったので、たくさんの人たちが中国でも見ていたのではないか。と思います。
(私は中国映画しか見ないので見ておりません・・・)
DVDも販売店で売っているのを見たこともあります。
※でも、たぶん、ネットで無料配信を見たほうが早いと思いますが・・・

で、昨今の中国映画はおもしろくない作品が非常に多いです。
私は年数回日本に帰り、その時に日本映画を見ますが、
まあ、確率的に3本見れば2本は普通に良い作品(見たい作品をセレクトして)ですが、
こちらでは、セレクトしても3本に1本しか見るに値する
作品はありません(面白い作品はもっと少ない)。
10年くらい前までならこんなことなかったのに。です。

たぶん、金儲けのため映画を作る人たちが多くなって
しかも、スポンサーがあれこれ口を出すから
自己満足な作品ばかり多くなっているような気がします。

知り合いの知り合いにテレビドラマ製作者がいますが、
まあ、テレビ業界も金儲けに走っており、
映画業界もそのような状況になっているのではないでしょうか。

くだらない映画の上映があまりにも多いのが本当に嫌ですね。
過去2年ほどとにかく見よう!って
中国映画だけで年間70本ほど見てましたが、あまりにも
くだらない映画が多く、時間がもったいなくなって、いまはセレクトして見てますが、
今度は見る前にセレクトするのに手間がかかります。

ただ、業界人のひとって、業界で飯を食っているので
悪口は言えないし、辛らつなことも書けないし
大変だと思います(私も自身の業界で好き勝手かけません)。

あ、でも、中国合火人は作品としては完成度高いし
最後まで時計気にすることなく見れました。
作品としては良い作品だと思います。
(私的には中華的なおごりが見とれる印象を持って
そのあたりが気にいってませんが。笑)

2回もどうも失礼しました。
返信する
「中国映画を見続けて」様 (cinetama)
2013-06-08 11:59:43
長文のコメント、ありがとうございました。

そうですねー、やっぱり「マダムさん」と書いて下さっている「マダム・チャン」のブログに寄せていただいた方が生きるコメントかも、と思ってしまいました。でも、よけい見たくなったので、今夏香港に行った時VCDが出ていないかチェックしてみます。

『きっと、うまくいく』は中国版DVDも出ているかと思いますので、よかったら見比べてみて下さいね~。私は香港版の『作死不離三兄弟』のDVDを持っています。

『飛越老人院』は昨年の東京国際映画祭で、『老人ホームを飛びだして』という題で上映されました。
http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=79
さすが張揚(チャン・ヤン)監督らしく、心暖まる映画になっていましたね。呉天明監督が達者な演技を見せてくれて、私も大満足でしたが、残念ながら配給はつかなかったようで、日本では公開されていません。

また面白い中国映画がありましたら、ぜひコメントをお寄せ下さい。とはいえあまり中国映画は取り上げてなくて、コメントもお寄せになりにくいかも知れませんね....。ゴメンナサイ。
返信する
この映画見ました (中国映画を見続けて)
2013-06-07 23:07:56
はじめまして。
中国に住んでいて、割と中国映画を見ているものです。
私はマダムさんと違う見解故?
こちらに見た感想を書かせて頂きます(それもどうも失礼な話ですみません)。

上映時間は110分程度で、最後まであきることなく見れました。
映画の完成度は高いと思います。私はおもしろく感じました。

ただ、この映画をまた見たいか?日本人は見たがるか?
というと、私はNOと思います。

それは、この映画は昔を懐かしむ。的な要素は強くって、
私も1990年代に中国に仕事の関係で滞在していたことがあり、
その頃と全く変わってしまった現代中国と比較して
それを懐かしむことで楽しめたからです。
(若い人たちは知らない昔の中国を楽しめる?)

また、なんで?と思ったのは、
映画の冒頭の時と、最後のところで同じ場面がでてきますが、
経緯はあるにせよ、結果、無断で相手のものを使用してもめている場面、
通常、こうゆう場面で中国の方々は自分が間違っていてもそれを認めず、
なんとか自分に有利に事を進めようとします。

それが中国の文化というか、常識であり、
その考えを持って海外とも付き合うことを一般的に見てきており、
そのような現実とは、全く異なる描き方で、主人公たちが
実に潔く非を認め、話を進めようとするのは非常に違和感がありました。

つまり、この映画は中国のことを知ってる人々には
非常におもしろく感じますが、そうでない場合は
どうなんでしょう?と感じるのではないか。と思いました。

私が見た作品の中でお勧めなのは、
飛越老人院という、老人たちがおちゃめに活躍する作品とかです。

どうも失礼致しました。

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