土日の上映が終わり、仕事をしながらの平日TIFF鑑賞になりました。今日は2本です。
『備えあれば』 (不怕賊■記/No Lier, No Cry)
2010年/中国/カラー/90分
監督:許伝海(シュー・チュアンハイ)
主演:呉剛(ウー・ガン)、應采兒(チェリー・イン)
ゴビ砂漠の荒野で、金鉱掘りに励む男と、その妻と息子が暮らす一軒家。そこに女3人組やら映画撮影隊やら、さらに地質学者とその妻などが現れ、金鉱を手に入れようと大勢の欲が入り乱れる、というのがストーリー。TIFFのカタログにも、「荒野に立つ一軒家を舞台にした映画といえば、(中略)チャン・イーモウの近作『女と銃と荒野の麺屋』 (09)などが想起されるが」とあり、まさにこの映画、『女と銃と荒野の麺屋』の双子作品かと思うようなオープニングで始まります。
ところが仕事の疲れからか、開始30分ぐらいで意識が遠のき沈没。ラストシーンの直前で目が覚めたのですが、「ああ、肝心の所を見逃した!」と特に後悔もしなかったような....。こういう騒がしい風刺映画がお好きな方にはウケるかも、という作品でした。
2本目は、<フィリピン最前線~シネマラヤの熱い風>特集の1本。この特集で上映された『浄化槽の貴婦人』がとても好評で、見逃して残念!と思っていたため、それに代わる作品としてしっかり鑑賞しました。
『クリスマス・イブ』 (Bisperas/Trespassers)
2011/フィリピン/カラー/86分/タガログ語
監督:ジェフリー・ジェトゥリアン
主演:ティルソ・クルーズⅢ世、ラケール・ビラビセンシオ
原題の「Bisperas」は「イブ」のことだそうです。クリスマス・イブに町内の人々がキリスト生誕劇を行うシーンがまず映し出され、ベツレヘムの町でナザレから来た大工のヨセフと妻マリアが宿を探すシーンが再現されていきます。教会までの道がベツレヘムの通りになり、町内の金持ちの家が彼らの宿泊を断るベツレヘムの宿屋やお屋敷に変身。そして教会まで練り歩いたあと、教会内に作られた馬小屋でキリストが誕生する、という仕掛けです。ヨセフやマリアに扮した人と、金持ちの家人のやり取りが歌で行われるなど、まるでサルスエラ(スペインから伝わったフィリピン式オペレッタ)のよう。興味深いシーンでした。
ところがそれはイントロで、練り歩きとイブのミサのあとアギナルド一家が帰宅してみると、家の中はメチャクチャ状態。留守中に泥棒が入ったのです。泥棒の出現によって、仲がよさそうに見えた一家にピシピシとヒビが入っていきます。一家のメンバーは、両親、アメリカから幼い娘を連れて里帰りしている長女、行動的な次女、長男なのですが、皆がそれぞれ、いら立っては本音を吐き出していきます。
ドグマ95的手法(手持ちカメラ、照明効果なし、など)で撮られた画面は、その暗さと音声の悪さでちょっと見づらい点も。でも、登場人物の動かし方などはベテランらしい手慣れ感があって、最後まで物語を楽しめました。
【本日の拾い物】
今日は"運"を拾いました~。TIFF事務局へ行くエレベーターに乗ったら、何と杉野希妃さんと乗り合わせたのです! 以前一度お目にかかったことがあったので、ご挨拶してロビーで写真を撮らせていただきました。映画でも魅力的ですが、実際の杉野さんもとってもおきれいです。
今回の<アジアの風>では、「女優=プロデューサー杉野希妃~アジア・インディーズのミューズ」という特集が組まれています。主演作では、マレーシアのリム・カーワイ監督による『マジック&ロス』や、日本映画『歓待』、私が初めて杉野さんの演技に接した韓国のオムニバス映画『まぶしい一日』 (2006)等5本が上映され、関連作品としてヤスミン・アフマド監督の『タレンタイム』 (2009)の上映もあるという豊富な内容です。残念ながら『マジック&ロス』は見逃してしまったのですが、11月5日から池袋シネマ・ロサで公開され、その後12月初旬より大阪シネ・ヌーヴォでも公開されるとのことなので、私も含めて見逃した皆さんはぜひそちらへどうぞ。
共演は、韓国映画『息もできない』 (2008)の主演コンビキム・コッピ嬢とヤン・イクチュン監督。こんな素敵なパンフレットもできています(送って下さった京都大学の山本博之先生、ありがとうございました)。充実の内容ですので、劇場でお求めになるのをお忘れなく。
今回のTIFFを契機にして、杉野希妃ファンがますます増えそうですね~。早く杉野希妃さんに会いたーい、とおっしゃる方は、27日(木)に上映される『大阪のうさぎたち』@TOHOシネマズで舞台挨拶とQ&Aがある予定ですので、そちらへどうぞ。