今、為替レートを見ていると面白いことに気付く。イギリスやニュージーランドなどが日本円でそれぞれ１８０円、９０円近いそうばになっている。そのレートだとイギリスのロンドンの日本料理店で天ぷらそばを食べると６千円くらいするそうである。つまり為替があまりに円安なので本来、千円くらいのものがその６倍になってしまうのである。つまり今の英国ポンドは３０円くらいの価値なのに６倍の価値がある様に見せかけていると言える。その様なカラクリにする理由は、イギリスに日本に売り込む物が作り出せないことである。その昔、明治時代にはイギリスから蒸気機関車を買っていたことがあったが、そのように日本に売る商品がある時代には為替が高すぎることは不都合であったし、海外と貿易競争が激化した時代には余計に為替で競争力を失うと言うことに気をつけていた。しかし今はイギリスには日本に売り込む商品など殆どない状態である。ところが日本から輸入したいものは沢山ありすぎる状態なので輸出には不利で輸入に有利な為替レートの高止まりがイイに決まっているのであろう。ニュージーランドも日本に売り込めるのはキュウイフルーツ、ニンジン、カボチャ程度で牛肉や豚肉ですら日本に輸出するに値するものが作れないでいる。こんなニュージーランドが唯一日本人に売り込めるのは金利の高い預金ぐらいなので、やはり為替レートは高い方が良いのである。
今まで３０年以上も賃金上昇が放置され続けてほとんどの日本人は貧乏になってきてしまった。それが、政府・日銀による円安容認どころか誘導政策によって物価だけが大幅に上昇して庶民の肌感覚の値上がり感は倍以上になっている。それにも拘らず賃金の伸びは一流企業で３%程度で非正規労働者にとっては微々たる上昇にとどまっている。今、最低賃金の見直しが進んでいる状況だが、いまだに、抽象零細企業をダシにして「時給をたった千円にする」という程度でさえ雇用者側がこの負担に耐えられないとか言い訳をして賃金アップにナン癖をつけている。この３０年間日本人の仕事に対する士気がダダ下がりなのは、この低賃金にあったという認識がまるでない様である。日本政府の円安誘導を受けて今の為替レートによるとアメリカでの平均時給が５千円に迫る勢いであると聞いている。アメリカ人の労働に向き合う姿勢を見たことがあるが、日本人の労働に対して５倍の価値があるとはとても思えないが、とにかく日本政府はアメリカ人の労働の価値が５倍程度あるとみているのだろう。
円安で日本人への評価は、アメリカの五分の１程度までに下がって来ている。つまりアメリカの現在の平均時給が５千円に対して、日本人は今検討されている最低賃金１千円を目標としているからである。アメリカ人の働き方を見たことがあるがトテも五倍の働きをしている様には見えなかった。世界的に見ても最近の時給を見てみて東南アジアのシンガポールは勿論のことタイやヴェトナムそしてマレーシアにも及ばないらしい。こんな円安誘導を政府日銀はもう変えることができない様に見える。輸出に頼る製造業や世界中にばら撒かれた政府保有債権そして膨れ上がった変動型の住宅ローン金利などの事を考えるとこのまま超円安政策を継続せざるを得なくなっている泥沼状態。最近、安倍晋三元首相を評価する声が諸外国から聞こえてくるが、この様な超円安政策で日本人の血と涙の努力が殆どタダ同然で海外の低開発国を潤して来たのだから感謝されるのは当たり前なのであろう。今時、優秀な日本の若者がどんなに頑張って仕事してもタイ・ヴェトナム・マレーシアの食堂店員以下にしか評価されていない現実に、虚しささえ覚えてしまうのは当然であろう。この現状を大きく変えられないのなら"現代版の鎖国"への道を選ぶしかないのではないだろうか。国内文化を高め平穏な２６０年あまりをつくりあげた江戸時代に逆戻りする英断を下すときが来たということになる。なんと言っても今年は明治１５６年であって江戸時代に１００年以上足りないからである。
どうも岸田首相の判断がおかしくなっている様である。自身が目論んでいたとされる「この秋」の解散が難しくなっているみたいだ。そもそも支持率が低迷しており、政府の不手際も目立つ昨今、自民離れも起きている状況。こんな時期に打てる手は限られてくるのではないだろうか。関西地区では、右翼政党の日本維新が優勢であるし東北地方農村部の自民離れも久しい。今度の総選挙ではあちらこちらで自民が取りこぼし、連立を組まなければ政権が成り立たない事態にもなりかねない。これと言った人材も見当たらない現状では政権与党は維持できないのではないだろうか。