いやぁーっ、まさにM&A祭り真っ盛りってとこですかねー!
日清食品による明星食品のTOBに続いて、
今度はキリンビールがメルシャンをTOBですか・・・・・。
投資銀行ウハウハ、まっ稼げるうち稼いで置かないと・・・・いずれこのM&Aバブルも
どこかで弾けるんでしょうから・・・・・・。
で、本題。
16日の日経企業財務面に「欧米、純利益廃止で合意」という記事がありました。
欧米2大会計基準がいよいよ「包括利益」重視へ踏み出したと。
記事にありますとおり、
包括利益とは、貸借対照表の純資産の変動を利益とみなす決算書の考え方。
即ち、事業で稼いだ利益に加えて、純資産に直入される有価証券の評価損益、
海外子会社の財務諸表の円換算で生じる為替換算調整勘定の変動なども利益の一部を構成する。
この件に関しては、5月16日付の拙稿「認識収益費用計算書って何?」 http://blog.goo.ne.jp/dancing-ufo/e/238e0e4440be3221b131c0cabb5f6d79
にて警告していたところであります。
詳細の確認はできておりませんが、
当時の方向性に従って物事が進んでいるようですね。
となると、次の関心事は、財務諸表の名称。
貸借対照表 → 財政状態計算書
損益計算書 → 認識収益費用計算書
といったものになってしまうのでしょうか。
それはそれとして、現行の純利益が廃止されてしまうと、
日本企業にダメージっていうのが定説。
包括利益が、持ち合い株式の含み損益の変動でブレてしまっては、
経営者もたまったものではない。
また一方で、株式売却益による業績のカサ上げもできなくなるし。
かといって持ち合い株を放出すると、
来年5月から解禁される、外資系企業による三角合併に
格好の玉の提供となってしまう・・・・・・。
企業の買収防衛担当者の方にとって、
新たな悩みのタネが増えるかもしれませんね。
・・・・・となってくると、先日、新日本製鐵が発行した、
買収防衛目的と見られる「ハイブリッド証券」などがブームとなっていくのでしょうか。
(なお、新日鉄の有価証券評価益は3,642億円と上場事業会社中第4位の水準です。)
丁度、16日の日経金融新聞の「複眼独眼」欄でも取り上げておりましたが、
このスキームは概ね次のような感じです。
・ 転換社債(CB)を全額出資の特別目的会社(SPC)に対して発行する。
・ これを購入したSPCが主力取引銀行に優先出資証券を発行する。
・ 連結会計上、親子会社間の債権債務は相殺消去されるため、
CBは消去され、連結子会社が発行した優先出資証券が残る。
・ 連結子会社の資本調達は連結貸借対照表上、少数株主持分となり、
純資産の部に計上。
・ なお、銀行が保有する優先出資証券にはCBへの交換権が付されており、
銀行がCBの事実上の保有者ってところがミソ。
純資産も膨らますこともできるし、株価変動の影響も受けないし。
大したスキームですね。
会計基準も、そしてその基準変更への対抗策も、
いずれも凄まじい勢いで進化を遂げているというのが率直な印象です。
しかし、この優先出資証券=少数株主持分、っていうのはちょっと違和感ありますけどね。
こういう玉虫色の金融商品、監査法人さんがどう取り扱うのか、注目してみますか。
P.S. ・・・・・っていうか、このネタも複数の素材を組み合わせた、ハイブリッド・ネタでした。
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包括利益によって悪しき「持ち合い」がなくなることを祈っております。
よかったら遊びに来てください。