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会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

すかいらーくのMBOによる非上場化に思う

2006-06-08 | 事業再生・M&A
いやぁー、今朝の日経朝刊、驚きました。
すかいらーくが非上場化ですかぁ。
随分と取材等でお世話になったお会社なので。感慨ひとしおです。
まずは日経記事。そのあとコメント。
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すかいらーく、MBO実施を正式発表
 東京証券取引所に上場する、すかいらーくは8日、経営陣による企業買収
(MBO)を実施し、株式を非公開にすると発表した。
全株式の取得を目指し、買収総額は国内のMBOでは過去最高の約2718億円を
見込む。昨年のワールドの経営陣による買収(2080億円)を上回り、
国内で最大のMBOとなる。
同社はファミリーレストラン中心の事業構造を抜本的に見直す方針。
株価にとらわれず機動的に事業再編を進めるため、株式非公開に踏み切る

同日、東京都内で記者会見した横川竟会長は「赤字もありうる大胆な改革を、
5万人を超える株主の賛同を得ながら実現するのは現実的に難しい」と、
株式非公開にする理由を説明した。
主力のファミリーレストランで顧客離れが進んでおり、
店舗の統廃合や専門店などへの大胆な業態転換に取り組む方針だ。
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(コメント)

おそらく会計・ビジネス系ブロガーの方々が詳細な解説などされると思いますので、
私は独自のへそまがり視点から、本質を外したコメントを少々。


①すかいらーくのこれまでの中期経営計画に、正直、私は首を傾げていました。
 この中計は、H17年12月期を初年度とする5ヵ年計画なのですが、H21年12月期の
 グループ売上高1兆円が目標。
 うち4,500億円をアライアンス及びM&Aで達成するっていう内容です。

 語弊があるかもしれませんが、この手の中期計画には気をつけてくださいね。
 自ら掲げた売上目標に自縄自縛となって、M&Aなどの力技で売上を勝ち取って
 いく。しかし、その行為は売上拡大に繋がっても、果たして株主価値向上に
 つながるのだろうか?と。

 実は、ユニクロ(社名:ファーストリテリング)も確か売上1兆円とかを
 M&Aなどで・・・・といっていたので気になっています。

 ですので、会社側がこの点に気づき、戦略を抜本修正するということでしたら、
 今回のMBOは意味のあることかと思います。

 しかし、この「中計」もそうですけど、はじめにM&A(あるいはMBO)
 ありきの行動でなければいいなと。
 何かの論稿で見たのですが(すいません思い出せません)、
 「地図のない旅」にでなければいいなと。
 投資銀行など「旅行代理店」が「いま、旅行がブームですよ」と薦められるまま
 「旅」に出てしまう・・・・・。これは私の考え過ぎでしょうから忘れて下さい。

なおご参考までに、ワールドのMBOをご担当されたGCA・佐山展生氏は以前、
 「MBO型の非公開成立の主要件」として6つ挙げておりました。
  今回も合致しているのでしょうか、ご判断は皆様に委ねます。
    
    a)経営陣の質の高さ
    b)事業の安定性と成長力
    c)財務体質の健全性
    d)出資者・融資団のスキームに対する理解
    e)従業員のサポート
    f)妥当な株価と買収プレミアム


②野村プリンシパルの資料によると、「MEBO」(E=従業員)。
 従業員も出資に参加させる予定だと。

 これを見たとき、数年前に当社のマネジメントにある質問をしたことを思い
 出しました。
 「従業員にのれん分けするってことはお考えになりませんか?」と。

 成熟業界の中の成熟業態であること、人件費・物件費などコスト削減の見地、
 従業員の危機感醸成の観点から、「のれん分け」ということを考えていないか
 確かめたかったからです。もちろん、その時の答えは「NO」でした。
 
 しかし、今回、従業員による出資も募るようですから、これは一種の
 「のれん分け」みたいなものですね。
 ただ、どうなんでしょうか従業員の皆さんからしますと、
 一体どんな大ナタが振られるのか、不安の方が大きいかもしれませんけどね。


③最後は大きく脱線します。
 今回のニュースを聞いて落胆されたファンドマネジャー、アナリストの方は
 かなり多いのではないでしょうか?

 何故って?

 現在もやっているのかどうかはわかりませんが、
 すかいらーくの決算説明会では、お土産としてお食事券(確か2千円分)が
 もらえたのです。
 
 それ目当ての方も含め、説明会はいつも大盛況でしたから。

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2 コメント

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M&Aありき? (なべや)
2006-06-09 10:29:43
M&A志向と今般のMBOとを関連付けて考えた場合、

クマさんの懸念は当たっているかも。



新会社法では対価として交付する株式数が株式総数の

20%以下であれば簡易合併が認められています。

株主総会に諮らず、取締役会の決議のみで吸収合併

を行なう事ができます。

逆に言えば、全株式の20%を超えるような大掛かり

な株式交換を行なおうとした場合、株主総会の特別

決議を経なければ実施できない。

MBO成立後であれば、この特別決議は問題なく可決

されるでしょう。



てことは、邪推ですが、もしかしたらMBOの次に

業界仰天の大型再編話しが持ち上がってくるかも

しれませんね。どことだろ?



それにしても早稲田の人って、Tシャツ着たまま?

しかも背中から・・・

奥が深すぎてノーマルな私には絵的想像ができません。

アブなくまさんはOKなのでしょうか?
返信する
なるほど (dancing-ufo)
2006-06-10 00:05:17


なかなか深い読みですね。



ただ、どうなでしょうかねぇ。

せっかくMBOで非上場化した後で

果たして株式交換によってまた「少数株主」

(=買収先企業の株主)を作るのかなぁ。

そこが少し気になりましたけどね。



いつもコメントありがとうさん。

ということで・・・



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