いやぁー、今日は「東証のシステムダウン」、
「ジャンボ尾崎が民事再生法申請」と
色んなニュースが飛び込んできました。
かくいう私は、時節柄と職務柄、上場企業の中間決算説明会に行く機会が
増えておりまして、図らずもブログのネタにぶち当たることがあります。
今日はまさにそうでした。
ある大手企業が
2つの異なる事業を交換することになったのですが、
これも興味深い”仕掛け”がしてあるのではないか、というものです。
まず、前提条件
-----------------------------------------------------------------
・A事業:海外化学プラント事業
(巨額投資ながら採算性低く、これまで多額の損失処理を実施)
・B事業:海外パルプ事業(少しはまともな事業)
・大手企業保有のA事業と外部のB事業とを交換。
これに伴ってA事業から追加損失は生じないと以前、会社側は説明
・取得するB事業で年間20億円の最終利益計上予定
--------------------------------------------------------------
次に、会計処理。(資産は双方とも帳簿価格とします)
(借方) (貸方)
B事業に係る資産 1,100億円 / A事業に係る資産 1,000億円
のれん 600億円 / 現金 700億円
この仕訳を見て、私が直感的に立てた仮説は、
「譲渡するA事業には1,000億円も価値が無いのではないか。」
ということです。
もっといえば、実質的な会計処理は、実は次のようなものかも知れません。
(借方) (貸方)
B事業に係る資産 1,100億円 / A事業資産の実質的価値 400億円
/ 現金 700億円
しかし、
A事業資産の実質的な価値が400億円だとしても、
一度、帳簿価格1,000億円から400億円に引き下げないといけない。
しかし、それをやると▲600億円の損失が実現してしまう。
これではマズイ!
そこで、B事業が少しは利益が出ることをいいことに、
「のれん」を計上して辻褄を合わせた、っていう可能性はありますね。
でも、会計にお詳しい方でしたら、
のれんは20年以内に償却だからそのうち償却費用の形で実現するじゃないか、
と思われるでしょう。
しかし、本来ならA事業を譲渡した時に全額損失処理すべき巨額損失を、
20年かけて先送り処理できるんですから、企業側にとってはメンツも立つので
それでいいんでしょう。
しかも、この大手企業は「米国会計基準」を採用しております。
ということは、のれんは減損会計の枠組みで処理、言い換えると
しばらくは償却する可能性は非常に低い、ということになります。
その代わり、B事業が思い通りに収益を上げられなくなった時には、
一気にこの600億円ののれんを償却する、っていうことも十分
考えられるのです。
このように、「のれん」勘定は経営者によって恣意的に使われるおそれ
が大きい反面、その計上金額の妥当性など外部からチェックしずらいのです。
本件は、事業交換に見せかけて、不振事業の損失を「のれん」に加工して
先送りしたのではないか、というのが私の推論です。
(あくまで推理ですので、ご注意下さい)
図星であれば、業績のいいうちに早めに償却しちゃって下さいね。
「ジャンボ尾崎が民事再生法申請」と
色んなニュースが飛び込んできました。
かくいう私は、時節柄と職務柄、上場企業の中間決算説明会に行く機会が
増えておりまして、図らずもブログのネタにぶち当たることがあります。
今日はまさにそうでした。
ある大手企業が
2つの異なる事業を交換することになったのですが、
これも興味深い”仕掛け”がしてあるのではないか、というものです。
まず、前提条件
-----------------------------------------------------------------
・A事業:海外化学プラント事業
(巨額投資ながら採算性低く、これまで多額の損失処理を実施)
・B事業:海外パルプ事業(少しはまともな事業)
・大手企業保有のA事業と外部のB事業とを交換。
これに伴ってA事業から追加損失は生じないと以前、会社側は説明
・取得するB事業で年間20億円の最終利益計上予定
--------------------------------------------------------------
次に、会計処理。(資産は双方とも帳簿価格とします)
(借方) (貸方)
B事業に係る資産 1,100億円 / A事業に係る資産 1,000億円
のれん 600億円 / 現金 700億円
この仕訳を見て、私が直感的に立てた仮説は、
「譲渡するA事業には1,000億円も価値が無いのではないか。」
ということです。
もっといえば、実質的な会計処理は、実は次のようなものかも知れません。
(借方) (貸方)
B事業に係る資産 1,100億円 / A事業資産の実質的価値 400億円
/ 現金 700億円
しかし、
A事業資産の実質的な価値が400億円だとしても、
一度、帳簿価格1,000億円から400億円に引き下げないといけない。
しかし、それをやると▲600億円の損失が実現してしまう。
これではマズイ!
そこで、B事業が少しは利益が出ることをいいことに、
「のれん」を計上して辻褄を合わせた、っていう可能性はありますね。
でも、会計にお詳しい方でしたら、
のれんは20年以内に償却だからそのうち償却費用の形で実現するじゃないか、
と思われるでしょう。
しかし、本来ならA事業を譲渡した時に全額損失処理すべき巨額損失を、
20年かけて先送り処理できるんですから、企業側にとってはメンツも立つので
それでいいんでしょう。
しかも、この大手企業は「米国会計基準」を採用しております。
ということは、のれんは減損会計の枠組みで処理、言い換えると
しばらくは償却する可能性は非常に低い、ということになります。
その代わり、B事業が思い通りに収益を上げられなくなった時には、
一気にこの600億円ののれんを償却する、っていうことも十分
考えられるのです。
このように、「のれん」勘定は経営者によって恣意的に使われるおそれ
が大きい反面、その計上金額の妥当性など外部からチェックしずらいのです。
本件は、事業交換に見せかけて、不振事業の損失を「のれん」に加工して
先送りしたのではないか、というのが私の推論です。
(あくまで推理ですので、ご注意下さい)
図星であれば、業績のいいうちに早めに償却しちゃって下さいね。