知識は永遠の輝き

学問全般について語ります

未知なる連合王国(UnKnown Uinted Kingdom)

2023-05-06 07:42:36 | 歴史
 前回の記事の通り、大陸の両端に位置する日本とイギリスとは互いに似た点もあるのですが違いもあり、現時点での違いの一つは西では英国とアイルランドの2国があり、さらに英国も4つの国の連合体となっていることです。少なくともサッカーやラグビーなどスポーツの世界では。これはまさに歴史のなせる技で、そのため英国は多様な呼称を持ちます。

 まず、単にUnited Kingdomという英語が現在の英国を指します。
 いや単に連合王国(United Kingdom(曖昧さ回避))なら世界中に他にもあるよね。
 ということで正式そうなUnited Kingdom of Great Britain and Irelandはと言えば、1922年に現在のエール共和国(アイルランド共和国)(Republic of Ireland (Poblacht na hÉireann))が独立するまでの名称で、1927年に正式には"United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland"と名称を変えたのでした。これが正式なのでUnited Kingdomというのは人名の短縮形みたいなものなんですね。とはいえ英語では短縮形も正式名という扱いをされるということですからUnited Kingdomも正式な国名ということでしょう。

 さてグレートブリテン及びアイルランド連合王国の成立は、1801年のグレートブリテン王国とアイルランド王国の合同なのですが、それ以前でもアイルランド王国(Kingdom of Ireland)という国は事実上はグレートブリテン王国の支配下にあったようです。

 グレートブリテン王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland [UK])は1707年にイングランド王国(England)とスコットランド王国(Scotland)とが合同して成立しました。この合同という独特の言葉は「議会がひとつになること」を意味するようで、それまで王様は同じだったけれども議会は別だったのがひとつになったということです。

 議会と言っても現在のような民衆の代表というものではなく、貴族、教会、都市、をそれぞれ代表する者の集まりで、つまりは上流階級者の声を代弁する機関です。始まりは1215年の大憲章/マグナ=カルタ(Magna Carta)からです。
  1) 世界史用語解説 授業と学習のヒント:イギリスの議会制度
  2) 世界史用語解説 授業と学習のヒント:大憲章/マグナ=カルタ

 つまりは、臣下たちが結束して王に物言えるということが議会という制度としてできてしまったために、一つの国にまとめることができなくなったと言えるでしょう。そのことが世界に先駆けて民主主義と地方自治を発展させることにもつながったのでしょうが。
 連合王国ができてゆく過程も、中心的なイングランドが周辺を従えていったという流れではなく、紆余曲折の歴史のようです
  3) スコットランドの歴史
  4) ウェールズ

 かくてイギリスという現在の国家を略号で表そうとすれば、England からEG,EN、Great Britain からGB、United Kingdom からUK、となるのでしょうが、実際にはGBとなっています。さらに3文字のコードもあり、これはGBRです。
  5) ISO 3166-1(国名コードの標準)

 UKはウクライナ(Ukraine)だから、と思ったらウクライナはUAでした。逆にウクライナが連合王国と勘違いされないようにUKを避けてUAとした可能性はありますね。ISOコードが決められたのは1974年からと結構最近のことなので、その辺はよく考えて決められたのでしょう。ちなみに3文字だとUKRで紛らわしさは消えます。

 紛らわしい国名の筆頭と言えば何と言ってもオーストラリア(Australia)とオーストリア(Austria)でしょう。2文字コードはAUATですが、「どちらがどちらだ?」というのは良いクイズ問題になりますね。それじゃあ困るんだけど(^_^)

 なお純地理的には、British Isles(ブリテン諸島、イギリス諸島)の中に、Great Britain [GB](グレートブリテン島)とIreland(アイルランド島)とがあるということになります。

 ということで、『テメレア戦記』の時代はちょうど1800年直後で、アメリカ独立戦争の影響でアイルランドの分離独立機運が高まっていた時代でもありました。それは物語の今後に影響するかも知れませんね。
  6-1) ビバ!ドラゴンズ『テメレア戦記(Temeraire)』より(2022/10/20)
  6-2) 生ける空中戦艦『テメレア戦記(Temeraire)』より(2022/11/13)
  6-3) 竜が変える歴史:『テメレア戦記(Temeraire)』より(2022/11/26)
  6-4) 価値観の変化:『テメレア戦記(Temeraire)』より(2022/12/30)
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大陸の反対の端 | トップ | 侵略にも三分の理 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

歴史」カテゴリの最新記事