きみの靴の中の砂

戦争のたびに国境線が引き直され...





 ここ半世紀ほど人気の白ワイン醸造用葡萄品種ピノ・ブランから作るドイツ・ワインは、フランスの東北地方・アルザスと国境を接する辺りが産地。そこはかつて普仏戦争のたびに国境線が引き直され、その都度、国語として独仏語が入れ替わった地域で、今も両者が公用語として混在する ——— この国境地帯の白ワインというと、日本では売りさばき易いせいかフランスものは入手できるが、ドイツ製は足で探すと苦労を伴う。

 と言う、その白ワインのテイストはフルーティで辛口、シャルドネ種、あるいはソーヴィニヨン・ブランと比べても酸味が少ないのが特徴。

 ドイツ人が伝統的に肉料理でもこの手の辛口白ワインを好むのは ——— 赤ワインのタンニンの渋味を嫌うせいなのか、肉に含まれる血の味を打ち消すためなのか ——— まあ、まとめて文化の違いと理解しておくのがよさそうだ。私達の『肉料理には赤ワイン』という概念に浸食された口には目新しい。




【The Moon Loungers - I Want To Hold Your hand】

 

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