ありがとうって伝えたくって

「同軸コリニアアンテナ研究会」でgoogle検索するとHPをご覧いただけます。研究成果がまとめてあります。

新設計の同軸コリニアのテストを行った

2021年01月10日 14時45分42秒 | 同軸コリニアアンテナ

新設計の同軸コリニアの受信テストのレポート。新設計とは・・ダウンチルトとノーマルを組み合わせた特性だ。

使用したのは旧基準で製作してあった8段同軸コリニア、対するは新設計の13段同軸コリニアだ。

2019年に某山頂で比較実験をした際に11段で聞こえる近距離局が16段では聞こえなかった。

目標はこの解消だった。つまり

  • 8段で聞こえる局は全て13段で聞こえる必要がある
  • 更に欲を言えば13段の方がSが強い

(最悪はどちらかで聞こえるのが片方で聞こえないことだ、特殊なアンテナを除けば聞こえない方は即失格レベル

しかしエレメント数が違えば仕方ないが)

[ハンディ機のアンテナコネクタへDC-3GHz対応のリレーを取り付けてアンテナを切り替える]

アンテナを設置し受信中

[左が8段同軸コリニア、右が13段同軸コリニアだ]

さて受信テストだ

取手局が次々に呼ばれるのを聞きながら信号比較を行った。取手局は八木を微妙に動かしなから交信している?またはコンディションの変化かSが動いていた

基本的には13段コリニアの方がSが1-2程度大きかった、また8段で聞こえていた局は全て受信できた。逆に13段で入感する局が8段では聞こえないことがあった。

[1月10日標高30mの谷間]

  8段コリニア 13段コリニア
相手局QTH 取手局 相手局 取手局 相手局
稲城市 52-54✗ 50 54-55 50+
相模原緑区 50-51 50- 52-53 50
三鷹市 51-53✗ 57 53-54 59+
不明 51-52 入感なし 53-54 50-

(上記信号の表記方法

50-   S1だけどギリギリの入感

50+     ノイズはないがSは振らない

✗は時々振れる)

上記の表のように全て段数の多い13段コリニアのSが強くなっている

従来の実験ではこの数字では無かった。双方で強かったり弱かったりだった。この数字を見る限りかなり改善されているようだ。

(上記表だけでなく他の交信でも確認済み)

このアンテナは標高の高い場所でも改善されている。個人的にはMIX(ノーマル・ダウン)タイプ同軸コリニアとよんでいる。

[1月11日埼玉コンテスト]

測定条件:

  • 両アンテナは全方向で受信感度が一番良い状態で設営(基本的には垂直設置)
  • 59+で信号差が不明な局はカウントしていない
  • DJ-G7で受信しSメータと聴感上で比較(DJ-G7はかなり正確なSメータ)
  • 比較するアンテナよりも強い場合、S1強い、S2以上強い
  • 比較するアンテナで聞こえているのに聞こえない場合が「入感なし」

[都心が見下ろせ、富士山全景が眺められる標高140mで埼玉コンテスト局受信結果]

8段ノーマル同軸コリニア   13段ノーマル・ダウン同軸コリニア
入感なし S2以上強い S1強い S及び聴感上も同じ 入感なし S2以上強い S1強い
2 1 3 11 0 6 4
  • 全27局中、16段は37%に当たる10局はSが強かった
  • 13段で受信できる2局は8段では受信不能だった
  • 8段の方が強かった局はなぜか千葉方面、
  • 同じSが41%の11局

やはりこの13段に死角はなくなっているようだ、特に430MHz以上のアンテナでこの手法は有効です

そこでお知らせ

●移動運用中心で同軸コリニアに興味がある方にも良さを知ってもらう

または、研究会のの製作?本当に飛ぶの?と思っている方に1ヶ月程度無償で貸し出します

現在貸出予定のアンテナは430MHz用10段-13段同軸コリニアアンテナです

場合によっては1200MHz10-15段も(1200は手間がかかるので)

希望者は遠慮なく連絡下さい、希望者多数の場合は貸出時期を調整します、詳しくは7k3diwのjarl.comまで

当研究会のHP(←ここをクリック)に製作マニュアルが掲載されています


1.2Gでの同軸コリニア&ビームアンテナのテスト完了

2021年01月09日 18時27分44秒 | 同軸コリニアアンテナ

昨年末から続けていた1.2Gの同軸コリニアのテストが完了した。

1.2Gの山岳移動局に使用して貰いながら仕様・スペックの検討を行った。山岳移動用ダウンチルトと地上移動用の2種類の仕様が確定した。

地上移動用は山岳移動でも活躍出来る。

[左が15段ノーマル同軸コリニア、右が14段ダウンチルト同軸コリニア←12段と思っていたが14段だった]

12段ダウンチルト同軸コリニアは

8エレカーテンビーム12dBi(メーカー製7エレ相当)よりも相手のロケ、方向、アンテナにもよるが最低でも5dBのアドバンテージがあった

また見通し外で海面反射があるロケに対しては8エレよりもS5強くなることが分かった

ビームアンテナはピンポイントでゲインが稼げるが同軸コリニアは、これで360°だ

【8エレカーテン設計図?最適化してゲイン12dBi】

1月2日は厚木市七沢森林公園(標高184m)で1.2Gの8エレカーテンと12段同軸コリニアを切り替えながら受信した

標高が高いと結果は最初から分かっているが・・標高が低いのでちょっと勝手が違うか?

カーテン8エレだけどフロントに向けると59+、サイドになると51だったり聞こえなくなったり、ビームを使っているという気持ちよさ、小気味よさがある

ノイズスレスレの局を探すと千葉方面で51で最大。ビームアンテナは非常に楽しい気がする、はまりそうだ!!

で、ダウンチルト同軸コリニアで聞くと千葉局は51、59+局も同じ・・・回す必要もない??

その後もノイズスレスレの局を8エレで探してコリニアに切り替えるが8エレで聞こえる局は、同軸コリニアで聞こえた。

以上で、ノーマル型同軸コリニアとダウンチルト型同軸コリニアの線引きがどこにあるかがはっきりと分かった。

【守谷事件の顛末】

守谷事件とは標高700mの尾根筋で

こちらのリグでは8エレでS2、同軸コリニアでS0(Sが振らない)の信号を受信した。

当然信号の強い8エレ側で送信したが応答なし、まさか?と同軸コリニア側で送信すると応答あり。

しかもこちらは1Wで相手は10Wだ

この話、大きな疑問が2つある

  1. Sの大きいアンテナ側で呼んだら相手に入感なし、Sの小さいアンテナならば応答あり
  2. S0側のアンテナで呼んだがこちらは10dB出力が低いのになんで届いた??

条件:受信限界を-120dBmとして考える、山岳なので都市ノイズはない

1.より言えること

【双方の受信レベル】

受信限界は-120dBだ

【カーテンビーム側で考察】

12dBiのゲインで-108dBmまで上昇させS2となった(-120dBm+12dB=108)←これは理論通り、計算通り、リグのSメータの測定値と一致している

逆に言えばアンテナゲインが無ければ聞こえていないといえる→守谷局10Wの素の電界強度は-120dBmと断定できる

当局が送信すると10dB低いパワーであるが守谷局は-118dBmで届きギリギリS0だが受信できるはず(-130+12=-118)

しかしカーテンビームの送信では受信できなかった

守谷局は住宅地の地上局なのでノイズのために-115dBm以下の聞こえないとひとまず仮定する

(ここまでは普通)

[14段同軸コリニア側で考察]

カーテンビームでの考察より

  1. 守谷局は-120dBmでこちらに届いていた
  2. これが重要だが都市ノイズのために-115dBm以下は聞こえない

との結論に達した。では同軸コリニアで交信できたプロセスを紐解いてみよう

コリニアはS0入感なので受信レベルは-117dBm前後と言える

カーテンビームとのフロントゲイン差は10dBだ(14段でフロントゲインが3dBしかない。同軸コリニアが10dBゲインが低い)←実はこれは正しい

こちらは10dB電力が低いので守谷局には-130dBmで到達、アンテナゲイン3dBをプラスして-127dBmで到達

これでは守谷局と交信できない。あと守谷局との交信には+15dB必要、しかしフロントゲインでは全く説明できない。

14段はダウンチルトタイプだ。ことによると80km先では+15dBのゲインがあったとしか思えない

次回は同じ場所でノーマル同軸コリニアと比較すれば結論が出る。

山岳移動で最近はビームアンテナ(15エレ以下)との比較が多かったが正直比較するまでもなく山岳専用コリニアの

相手にはならなかった。

(何度も書くがノーマル同軸コリニアは15エレスタック並の耳を持つ、ダウンチルトは平野が120°以上見渡せる場所で有効です)

今後は同軸コリニア同士での比較実験を進める予定だ!!

そして結論はダウンチルトの弱点補完のためにノーマルコリニアを使用することとする

(標高2-300mでは??以上では)

もうひとつ結論:

異なるタイプのアンテナはフロントゲインで比較しても意味がない可能性あり

フロントゲインで交信できるならば守谷局と8エレで交信できる?


1.2G同軸コリニア&Lazy-Hビームの最終テスト(結局、非常識な結果となりました)

2021年01月04日 08時43分14秒 | 同軸コリニアアンテナ

すでにメーカー製コリニアとダウンチルトの比較実験も終了しており、同軸コリニアと8エレカーテンビームの比較実験の最終章だ

丹沢の前衛にある標高700mの尾根筋に出かけた。

今回も使用したのは

  • 12段同軸コリニア(ダウンチルトタイプ)←電測結果では4-5dBゲインが低い
  • 8エレカーテンビーム(11.72dBi) ←新しいアンテナ完成時は電測を行い解析値と同等の性能であることを確認している

各アンテナから切替器へ3DFB 1mを接続して条件を同じで測定した

【12段同軸コリニアと8エレカーテンビーム】

前回の記事で同軸コリニアに対し入感がなかったと書いたが同軸切替器の不具合だったようだ。

途中までは動作していたがその後おかしな動きになっていたようで修理をした。この切替器はハンディ機のSMAコネクタに直結するタイプだ。

DC〜3Gまで使用できるリレーを使っている。修理した切替器で2つのアンテナのSを確認してみた

12段同軸コリニア(ダウンチルト)と8エレカーテンビーム比較結果

結果概要を書くならば

  • 10局中9局で同軸コリニアの方がSが1-5強いことが確認できた(平均的には2強い)

相手局も同じ変化であることを確認。但し

  • 1局は同軸コリニアで50(Sメータの降らない51)、カーテンビームで51-52となる(ところが・・・別途書く)

特徴的なレポートを紹介する

  • 茅ヶ崎局 同軸コリニア 59+   カーテンビーム 55

この局はアンテナ実験を聞いて頂いていて詳細にレポートを頂いた。同軸コリニアは基本的にSは変わらず。カーテンビームは向きが変わると弱くなったり、聞こえなくなったりするとのこと

コメント:実は茅ヶ崎との間には山があって見通し外。ダウンチルトコリニアの真価は見通し外で発揮される

  • 他各局

同軸コリニアの方がS2-3強かった。S1しか違わない場合もあった

ほとんどの局は八木が強いに決まっている!との予想だった!

  • 守谷局

この局では不思議な現象が発生した。こちらでの入感状況は

同軸コリニアで50(Sメータの振らない51)、カーテンビームで51-52

相手局からのレポート

同軸コリニアで50(Sメータの振らない51)、カーテンビーム入感なし

これは衝撃的な状況だった。ビームアンテナを向けると強くなったので呼んだら聞こえないというのだ。

ノイズ混じりだけど同軸コリニアならば聞こえるという。

結論(山岳移動かつ私見)

  1. 1.2Gを運用される方は同軸コリニア以外の選択肢はないと考える(勿論、ダウンチルトならばベスト)
  2. フロントゲインが低い同軸コリニアの方が送受とも強いことが判明した

解説

1.の結論の背景、解説

・GPとビームアンテナ間では【守谷局】でのような現象が報告されている事

呼ぶ側がGPの場合、こちらで完全に聞こえてる相手に「呼ばれてるのはわかるのですが・・」と相手には聞こえない経験は私にもある

・仮に10エレ以下のビームのSが同じだとしても同軸コリニアは360°そのSで受信できている

(ビームアンテナ好きの方は言うだろう!それでは混信に弱いだろう!これは好みの問題?1.2Gはほぼ混信なし)

2.の結論の背景、解説

ホームでは見える範囲で反射が発生し主力は直接波だが

山岳移動では見える範囲も広く、かつ高低差も大きい。反射とひとことで言っても非常に複雑だ

ビル反射、地面反射、海面反射、山岳反射

コリニアはゲインが低いが反射波や直接波を合算してSを形成する

結果フロントゲインの高いビームよりもSが大きくなる

ダウンチルト

ダウンチルトタイプはどこでも使用できるわけではないので通常タイプのコリニアで問題ない

(但しダウンチルトタイプは通常タイプよりもS2は強くなる)

ダウンチルトタイプは同軸コリニアを使い慣れている方かつ山岳移動局には評価をお願いし同時に制限事項を伝えて頒布の形をとっている

(現在提供している2局の山岳移動局からも市販のGPよりもS2から3強くなったとのレポートを頂いている。また市販GPでは全く聞こえないハンディ機が52で聞こえたとの報告も頂いた)

以上は山岳移動局&山岳局へ対する強いメッセージであり地上局(標高200m以下)は伝播の主力である直接波に対する設備を考えればよいか?

また守谷局との間で何が起こったのかを考え検証するのも楽しいと思います、皆様のコメントをお待ちしています

最後に

あけましておめでとうございます、本年も宜しくおねがいします


1.2Gカーテンビーム第二段

2020年12月20日 22時57分34秒 | 同軸コリニアアンテナ

Laxy-Hからカーテンビームへたどり着いて第一作で実験してきたが、実はビーム方向が若干左へ傾いていた。

原因はLazy-H単体の給電ケーブル長のズレ。そこで給電方法を変更してLazy-Hのスタック形式の給電に変更して第二段を製作してみた。

平行ケーブルなのでスタックの給電方法も柔軟に選択できる。

MMANAでの解析では15dBi程度・・市販の13エレと同等のゲインは持っている。

【1.2G用16エレカーテンビーム】

第二作もヒノキ材で手軽に製作した。帯鋼は専業メーカーへオーダーして手に入れた。厚さ0.6mmで自立出来るタイプとなっている。

グローバルアンテナの配布している帯鋼よりも0.2mm厚いが0.2mmの差でずいぶんコシが違うものだ。

【2作目、カーテンアレイ

【一作目試作、明らかに給電方法が異なる】

最適化後のエレメントサイズ

【前回との修正点】

ラジエータ長は124mmとした、リフレクターは115mmと読み替えて欲しい。

エレメント間隔は115mm、スタック間隔は125mmとなっている。

写真を見て分かるようにLazy-Hアンテナ単体は1mm銅線で接続、スタックケーブルは300ΩTVフィーダーを使った。

また、リフレクターの位置はラジエータ先端と同じ位置に変更してある

 

【受信実験】

午後2時近くになって受信実験を開始。場所は神奈川区の30m程度の高台。大山の南側に富士山が見える場所だ。

偶然にも裾野市移動局と綾瀬局の交信が聞こえてくる。裾野局は標高が少し高いらしい。

また綾瀬局はグランドプレーン。なので裾野局はRS51、綾瀬局はRS50(信号の降らない51を表す)気を抜くとノイズ混じりになる。

綾瀬はひとつ先の高台のブラインドとなっている。

2局の方向は西と西南西の間だ。なのであっても10°しか違わない。しかし片方に向けると片方は聞こえない。

今日は10段コリニアを持ってこなかったが・・結果は予想できる。

やはり某局から報告のあった13エレスタック同等!という気持ちは分かる。

【まとめ】

ダウンチルトの弱点を補完する意味でLazy-Hの検討を始めた。カーテンビームがその解決策になるかは疑問はある。

1.2Gならばサイズも小さく問題はなさそう、430MHzではどうしたものか?


10段コリニアとカーテンビームで比較実験

2020年12月13日 20時41分22秒 | 同軸コリニアアンテナ

先週製作した1.2Gのカーテンビーム試作一号を持ち出して10段同軸コリニアと比較してみた。

RFジェネレータとスペアナによる計測では6-7dB差で10段コリニアで一番強い場所を探すと、ほぼ差が無くなる。

これが先週の結果だった。さてフィールドではどうか?

【最終的な測定風景、10段コリニアの下にカーテンビームを取り付けた】

【測定開始】

都合よく山岳移動局が聞こえてきた。

最初は10段同軸コリニアをポールに上げて(給電点1.8m)水平位置で受信、受信局が聞こえてくるとSが最大になる位置にする。S5-6だ。

次にカーテンビーム(16エレ)をハンディ機に取り付けて同軸の減衰を最小にして受信する。ゲインはカーテンが上なのに最大でもS3にしかならない。

違いは高さしか考えられない。カーテンビームをコリニアの下に取り付けてSが同程度になった。

さすがにビームアンテナ!方向だけ合わせれば上下方向の傾きではSがほぼ変わらない。

同軸コリニアは方向と倒す角度を変えてピタリと合うとSがビームと同程度になる。これは計測時の結果と同じ。

【結論】

カーテンビームはキレてサイドに入ると聞こえなくなる。

同軸コリニアをピタリと合わせるとカーテンビーム(10-13dBi)と変わらなく聞こえる

サイドキレをメリットと見る向きが大勢を占める?私はこの程度の差ならば360°聞こえた方がメリットでありむしろサイドのキレはデメリットに思える

「ハンディ直付」という迷信があるがたった1mの3DFBケーブル(1.2Gでも)で1mアンテナを上げればSが2改善出来る・・ある程度の高さは必要だ。

次は山岳移動で比較をするか!その前にカーテンビーム試作2号機を作るか?

カーテンビームの目的はダウンチルトのデメリットの改善だから・・

 


Lazy-Hの試作品で各アンテナと比較テスト(Lazy-Hビーム製作資料公開)

2020年12月05日 22時26分45秒 | Lazy-H

Lazy-Hアンテナアレイ、理論と解析では非常に良い結果が得られたが本当の所どうなの?を確認してみた。

今回の比較対象のアンテナは1200MHzの下記の3種だ。

上から順に、10段同軸コリニア(もちろん自作60g)14エレループアンテナ(仲間からの寄贈品、500g)←どちらも渾身の一作!

そして一番下がヒノキ棒で試作したLazy-H2列スタック(2エレ4列2段スタック、100g)だ。

このメンバーでは同軸コリニアかなり部が悪いか。

Lazy-Hのスタックの解析利得はカタログ風に書けば15.0dBi、RADIXアンテナの13エレの利得13.8dBiを超える。

【解説】

ビームアンテナのエレメント当たりのゲインは2-3エレが最大。その後はエレメントを増やすとエレメント当たりのゲインは低下する。

そこでゲインを考えるならば2-3エレを多数スタックするのが一番良い。しかしスタックケーブルが多数必要になり損失が増える。だからエレメントを増やしてスタック数を減らす。

Lazy-Hはその点も素晴らしい。給電は平行フィーダーで行われるためにスタックコネクタ等不要で損失を少なく出来る?

更に2エレのゲイン増のためにラジエーターを5/8まで長く出来る

【Lazy-Hアレイ製作】

写真を見てわかると思うが「帯鋼」を使って試作し軽量に仕上がった。ラジエータに関してはエレメント径やエレメント長を動かしても殆ど利得やインピーダンスに影響はない。一方、リフレクターはパターンに影響を与える。

(自作する際に0.5mmの精度は必要ないので簡単だ)

組み上げてSWRを計測すると1295MHzでは2.0程度だったのでスタブを付けて1295MHz付近へ調整した。

調整結果は下記の通りで1250.5MHzから1351.5MHzまでSWR2.0以内となった。

ノイズフロア低下にはこれで十分だ。これ以上の帯域は性能を悪化させる。出来たてのアンテナを使用してアンテナ比較だ。

【比較手順】

RFジェネレータから1295MHzのFM波を同一レベルで連続送信する。

3m離れた地点でそれぞれのアンテナで受信し受信レベルを計測する。これを3回繰り返す。

【結果】

同軸コリニア  受信レベル-82dBm、一番強い信号を探せば-75dBmまで上昇するポイントがある

14エレループ  受信レベル-73.5dBm、非常にクリチカルにアンテナの方向と角度を動かす必要がある

Lazy-Hアレイ  受信レベル-74.0dBm、14エレよりはかなりブロード

【結論】

  • Lazy-Hアレイは14エレループと比較しても利得面で遜色がなく、ブロードなパターンでむしろ使いやすいことが判明した。
  • Lazy-Hの単体でも八木の7エレ相当なのでかなり使える。
  • 同軸コリニアは-8dBであることが判明したが、やはり様々な反射波を捉えるせいか同じレベルになるポイントがあった。(アンテナ固定では無理)

Lazy-Hビームの製作資料を公開します。(2エレ2列2段スタック)

ラジエターは1/2λ〜5/8λまでの間で選択して下さい。

ラジエータ⇔リフレクター間隔は5cm前後であれば問題ありません。(10%程度誤差があっても性能に影響がありません)

軽量に制作すればゲインは7-8エレ相当で水平面は広いので、八木やループよりは使いやすい。

左側がラジエータ、右がリフレクターのサイズ、注意点はリフレクターの設置位置のみ】

※銅線の引き回し部分に金属が近づくと性能が低下します。ラジエータ部分は木材かプラスチックで製作する。


Lazy-Hアンテナ・・・?

2020年12月02日 21時37分34秒 | 同軸コリニアユーザレポート

Lazy-Hアンテナ、一度は使いたいと思っていた。元々HF用のアンテナとして紹介されていた。

Lazyとは怠け者、やる気がないだが動きが遅いという意味がぴったりだ。

MMANA等で解析ではラジエータの長さを1-2mm動かしただけではゲインもインピーダンスも変わらない。

試しに40MHz周波数を変化させてみたがゲイン変化は少ない。平行フィーダーで給電を行えばマルチバンドアンテナとして使える!

Lazy-Hに反射器を取り付けると下図のようになる

反射器が短いのはラジエターは5/8λとしてゲインを上げている。その後方中央に反射器を配置した。

この放射パターンはこんな感じだが、不要なサイドローブがあり垂直面も広い。

そこで反射器の位置をもう少しラジエータの端へ移動してみた。

サイドローブも抑制され垂直面も小さくなった。

ブロードサイドアレイ系(同軸コリニアも)のアンテナの面白さのひとつはエレメントの配置で垂直面をコントロール出来ることだ。

上の反射器の着いたLazy-Hをスタックすると・・これは某社がかつて販売し一世を風靡した??アンテナだ。

つまり「カーテンビームアンテナ」となる、2エレの4列2段スタックである。

反射器付きLazy-Hの2列のスタックとも言える。

このカーテンビームは同軸コリニアと同じ特徴を持っている。ノイズに強い。

解析では広帯域だったが・・特定の周波数に共振させると同軸コリニアと同じ程度の帯域幅、つまり狭帯域となる。

【単位はdBi、ゲイン以上にノイズフロアも低い】

このビームパターンはブローバンドアレイのエンドファイアー型という良い所取りとなる。

1.2Gならば非常に製作しやすいコンパクト?高利得なアンテナになりそうだ。

今月中に試作して年末の休みに楽しめるように・・休み前までに製作方法を公開する予定だ。

ダウンチルト型の同軸コリニアの欠点を補うものとして考えてきたが、思わぬ結果に行き着いた。

既に430MHzの試作品は完成している。週末にはテストする予定!


Lazy-Hアンテナを製作した

2020年11月21日 18時23分10秒 | 同軸コリニアアンテナ

Lazy-H(レジーエッチ)アンテナ・・名前は小難しいが平たく言えばダブルダブレットのスタック、2段(同軸)コリニアのスタックに過ぎない。

水平偏波、垂直偏波のどちらで使用しても低い打ち上げ角が得られるためにDX用としてHFで使われてきた。

同軸コリニアばかりを製作している私が手に出すものではない?

と思ったら大間違い。Lazy-Hアンテナはブロードサイドアレーなんだ。同軸コリニアもブロードサイドアレー

ブロードサイドアレーとは、エレメントの配列面に対し垂直に電波を放射するものだ。色々おもしろいアンテナが作れる。

八木アンテナは、エレメントの配置方向へ電波を放射する!全く異なる性質を持つ。

Lazy-Hの基本は1/2λのエレメントを両サイドに2本配置しスタックケーブルで給電する。これが下記の写真だ。

(スタックケーブルは300Ωのリボンケーブルを使用した)

【製作したLazy-Hアンテナ】

この形状と似ていることから同一または変形アンテナと思われているアンテナがある。

AWXアンテナ、AWHアンテナだ。これとLazy-Hは形状が似ているだけで全く別物だ。

Lazy-Hの放射パターンを見てみよう!

Lazy-H、見かけは八木とも変わらない・・その上最近WEB上にあるAWHとも同じに見える!(これが誤解のもと!)

しかし下記の放射パターン、八木ともAWX等とも全く異なっている。

同軸コリニアのスタック実験と全く同じ放射パターンだ。エレメント配置方向の90度に放射。

一方、AWXもブロードサイドだがエレメント配置方向に放射されている。

またLazy-Hと比べて高い放射が多く・・私好みじゃない?山岳移動用には向かなそうだ。

ところでLazy-H?何に使うのか?

「東京UHF参戦」

23日は天気も良さそうなので3年ぶりに「東京UHF」に参加しようと思っている。

今回はダウンチルトアンテナテストを主目的として山岳移動5Wで参加する予定だ。

ダウンチルトには大きな弱点がある。地上の山を超えて電波を飛ばせないことだ。

ダウンチルトのポールの下側にLazy-Hを取り付けて尾根筋方向に電波を飛ばす魂胆だ!

上手くいくのやら?また・・寒さで凍えて作戦通りに進展しないかも。

今年は各所のブログでは歴代都外上位局が勢揃い?するようでアンテナテストの場合じゃない??

QROの誘惑には負けそうだが・・・


1.2Gの同軸コリニア製作について

2020年11月16日 22時26分32秒 | 同軸コリニアアンテナ

私もつい最近まで1.2Gの同軸コリニアの再現性を疑問に思っていた。

しかし1/2λエレメント長をマニュアルのサイズの0.5mm、0.25mm以内に誤差を抑えると再現性がかなり確保出来ることに気づいた。

それでも20段ともなると上記誤差を確保するにはエレメントを30本切り出す必要がある。この誤差ならばスタブだけで共振を調整できる。

【同軸コリニア1.2Gの段数について】

・20段以上のキレと利得は魅力だが少なくとも2-3度傾けてローテータで回す必要あり。でなければ手で傾けて信号方向に合わせる?

・通常使用ならば10段以下が使いやすい。それでも交信先に応じ若干傾けるのは変わらない

・8段程度が使いやすいが利得がダウンするのは気になる

・今回はダウンチルトで12段を使ったが若干切れすぎ?(直下の地域が弱くなる?)ダウンチルトこれ以下で十分。

(長七郎山 1579mでは8段程度のダウンチルトで良かったか?)

【製作での補足】

・1/2λエレメントの誤差は最大で0.5mm、位相整合部は39mmまたは38mm

(10本カットして0.5mm以内のエレメントが半分作れれば良しとする)

・マニュアルのエレメント長は仕上がりサイズ(78mm)でカットサイズではない

・エレメント間は少し余裕を作ってショートしないようにはんだ付けする

・最近使っているスタブ=リボンケーブルで調整しても結構クリチカル

・段間にボンド、自己融着を付けて上から熱収縮

(一旦、段間のテープ等も取り付けずに1290MHz付近に共振するかを確認しておく。OKならばテープや熱収縮を取り付けて調整し直す)

以上に気をつければ16段〜20段もリターンロス-20dBが可能

少しは参考になったでしょうか?


赤城 長七郎山で移動運用?

2020年11月15日 21時00分53秒 | 同軸コリニアアンテナ

今日は久しぶりに遠出をして赤城山へ向かう。前橋に到着した頃は駅前で気温9度。山は氷点下か?

鳥居峠(標高1400m)へ到着したのは10時過ぎ、ベンチでアンテナを設営して1.2Gを聞いてみると地上の交信が聞こえてきた。

陽が差してくるとそれほど寒くはなかった。鳥居峠で1時間ほど運用して思ったよりも温かいので長七郎山へ向かうことにした。

最初は広い登山道を歩き尾根に出てからは比較的細い尾根道となる。尾根を歩いている時は近くの山しか見えなかった。

しかし山頂は幻想的な景色が広がっていた。

【雲海?】

【関東平野を眺める、山の左端が大山、写真中央部に富士山、奥多摩、眼下に前橋市内が見える】

今日は1.2Gの12段ダウンチルトタイプの同軸コリニアと12段通常同軸コリニアを持ってきた。

しかし標高1579mの山頂では12段通常タイプは出番なし。

  • ダウンチルトの効果は恐ろしい150km離れた横須賀武山移動局(アンテナSRH999)が59-59だったのは驚いた。
  • 12段ダウンチルトのせいか?むしろ直下の群馬局の方が弱い感。
  • 千葉富里局はアンテナを群馬方向へ向けると全く聞こえなくなり・・栃木方向に戻したとの事
  • 本ブログの読者としばしラグチューモードになった。(正確にRSを表すと50-50だった←正確か?つっこみくる?)

その方はJE2SDE局による神津島移動(430MHz)が筑波山方向からが一番強かったので不思議に思って調べ「同軸コリニア」にたどり着いたらしい。

1.2Gの同軸コリニアは製作が難しい!とのお話だったので「加工精度は0.5mm以内」等の話をさせて頂いた。

私も最初は何十本かカットして長さが規定値になっているものだけで使ったりした。

久々の1000mを超える山岳移動だったが、冬季にもかかわらず暖かく神秘的な景色の中で運用出来た。

交信頂いたみなさま、交信に至らなかった方も含め、ありがとうございました


1.2Gのダウンチルト完成

2020年11月08日 19時33分48秒 | 同軸コリニアアンテナ

今週は1.2G同軸コリニア、ダウンチルトタイプの総仕上げで14段のダウンチルトを製作した。

昨年の苦労もあって最近は通常コリニアと同等の時間で制作できる。

まずは手軽なVNAのN1201SAでダウンチルトの仮調整を行った。▽が共振点付近が1297.5MHz、十分な特性だ。

最終的にはminiVNAで測定、調整の仕上げを行う。

下の写真の左が通常の14段同軸コリニア、右がダウンチルト14段同軸コリニアだ。見かけは何も変わらない!

調整方法が違うだけ?

昨日7日はアルバイト先へ詰めていたため今日は山でアンテナのテストが出来ない!来週か?

今日は高台にある公園に出かけてふたつのアンテナを一応調べてみた。

下がその様子、同じ段数なのでサイズは変わらない。なのに聞こえ方は全く違った。

【左が通常の同軸コリニア、右がダウンチルトタイプ】

違法局?の交信が聞こえてきた。なぜかダウンチルト側で強く入感する。この場所は見るからにダウンチルトは全く使えない地形だ。

1295.2〜4付近で通常交信が入感していて通常コリニアで55と59だ。

ダウンチルトに切り替えると・・・うーん相当弱くなった。ダウンチルトとして機能をしているようだ。

来週は山岳移動して実験が出来るかな?

偶然にも?

先日1.2Gのダウンチルトを提供させて頂いたJJ1BBY局の関八州見晴台移動が入感していた。

20段同軸コリニア、GP-21、9段ダウンチルトでの比較実験していた。

こちらの通常タイプ14段同軸コリニアを傾けて受信すると50(20段同軸コリニア)、51〜52(GP-21)、55(9段ダウンチルト)の結果だった。

山から同様の実験を行ったことはあったが、自分の製作したアンテナの実験に参加したのは初めてだった。

アンテナを垂直にしたまま動かさない実験であればこの結果は妥当だ。

詳しくは連絡を頂けるだろう。恐るべしダウンチルト??


1.2Gダウンチルトアンテナ、すごいぞ

2020年11月03日 21時18分18秒 | 同軸コリニアアンテナ

今日も1.2Gの同軸コリニアの実験だ!

標高140mの実験地では1.2Gの20段はいうに及ばず10段でも近くの山岳移動局には上向きに傾け、遠くの山岳移動局や地上局では下向きにする必要があった。

いずれにせよ下から飛んでくる電波が多い!ならばダウンチルトで解決できる?

とダウンチルトアンテナを製作しいつもの実験地へ向かった。もちろん比較のため通常の10段同軸コリニアも持ってきた。

【9段ダウンチルト同軸コリニア】

まずは不法局と思われる交信を受信。ダウンチルトでは傾けることなく入感する。通常コリニアでは傾けなければ弱い。

次は伊東市局だった。最初は大山反射で51、ダウンチルトは山岳反射には弱い。

次に房総半島向けに変わると59+となる。次はアンテナをどこへ向けたのか?55くらいに落ちる。

相手局が50(RS51)で聞こえる。

通常タイプ10段ではやはり傾けないと相手局は聞こえてこない!

結論:1.2Gのダウンチルトはかなり有効なようだ。

あとは16段程度でどうなるか(もっと良くなる?悪くなる?)を見極めたい!

430MHzで確率したダウンチルトタイプを1200MHzへ展開出来た。

※ダウンチルトは平坦な場所では使用できません。


2020年開催の関東UHFの賞状が届きました

2020年10月25日 08時24分35秒 | コンテスト

毎年「関東UHFコンテスト」の表彰はハムフェアの会場で行われていた。

しかし今年はハムフェアが中止となり「関東UHFコンテスト」の賞状と副賞が先週送付されてきた。

今大会は430MHzと1200MHz部門電信電話・電信の入賞局の半数近くが同軸コリニア1本で優勝、入賞していた・・

当研究会にとって記念すべき大会だっただけにハムフェアの中止は痛かった。

で梱包を開いてみると、賞状と盾(これは例年通り)、今回は特別にUSBメモリも入っていた。

私は初めての2位入賞でこれまで手にしたことのない「銀」の盾を手に入れることが出来た。

銀だけは狙って取れるわけでないから・・・

これも交信頂いた皆様のお陰です。来年、また頑張れるかな?


全市全郡の移動を中止

2020年10月10日 06時50分40秒 | コンテスト

昨年に引き続き、今年もコンテスト初日の移動日が台風となり・・今回は144MHzで島から参加!という計画が実現できなかった。

今回は一ヶ月前から準備を始めて万全の体制だっただけに残念。事前に発送する予定の機材が眼前に山積み。

荷物発送直前に台風発生のニュースがあり発送を見合わせ最後の最後まで諦めずに梱包を解いてなかったが・・船も欠航で万事休す。

予約してあった船も欠航でキャンセル料なし?!(嬉しくない!)

本当にコンテストは面白い!伝搬実験には最高の場だ。通常のQSOでは弱い局はほぼ出番がないが、コンテストでは弱い局をどれだけ拾うか(同軸コリニアの出番だ)で順位が入れ変わる

最近は伝搬解析結果をもとに移動地を選択しそこで最適なアンテナや新設計のアンテナで臨んでいる。勿論、使用するアンテナは同軸コリニアだけだ。

島に出かける時は普段使わない16段や20段そして指向性を持つ「同軸コリニアの位相給電」タイプも(またはこの記事)投入する!!

残念!


自分のアンテナを製作

2020年10月04日 21時03分28秒 | 同軸コリニアアンテナ

最近の1.2G運用ではアンテナについて更に考えさせられる。

高利得のスタックアンテナも使ってみたいが・・望遠レンズのようなもの

最近では軸モードヘリカルも製作する寸前まで来たが・・結局エンドファイアー型アンテナだから・・(作るぞと意気込んだが)

同軸コリニアを知ってからは、自分の使用するアンテナはブロードサイドアレイを志向しているようだ。

1.2Gで20段を使いにくいと言いながら0.5°の角度差でS1〜S9に変化する信号を受信するのが逆にたまらない。

高利得アンテナ冥利につきる??

本日は自分の2mのアンテナが無いことに気づいた。で早速7段を製作した。流石にこの2ヶ月2mの製作依頼が多かったせいで1回で調整が終了した。

下記の測定レンジは143.5MHz〜146.5MHzとなっている。中心周波数は144.8MHzとなり問題なし。

SWR2.0以下は2MHzちょっとだ。6段の場合はもっと広くなる。

帯域は広ければ良いものではない。ノイズの混入量は帯域幅に比例している。6段より8段、8段よりも12段と帯域幅が減少するとノイズフロアが低くなることが確認されている。

最近は同軸コリニアの7段にハマっている?8段ではキレすぎ、6段ではノイズ性能のメリットが少ない。

なので7段なのだ。あと段数が少ないと移動で給電点を上げられる!!