浜っ子クラブ

岩手県釜石市の将棋ブログ

小山怜央 棋士編入試験合格!

2023-02-17 19:54:18 | イベント
小山怜央(29歳)が13日(月)プロ棋士編入試験第4局に勝利し、3勝1敗で試験に合格しました。
多くの方に応援して頂き、ありがとうございました。

午前中、序盤に注目していたら、驚いたことに▲3四桂(59手目)辺りまで4分の消費、あらかじめ
AIで調べていた手順ですね。大事な対局にとてもこんな短い時間では指せない。予定の観戦会の準備
開始時刻を早める旨、怜央ママ(聖子さん)に急いで連絡して会場の準備を始めた。大盤解説会を
始める前に終わるのではないかという勢いであった。
定刻より30分くらい前にマイク片手に大盤に並べながら、「やっぱり行きました、▲9三銀、寄せの
手筋です。鋭い一着です。怜央なら当然の一手でしょうね。その後は『端玉には端歩』で▲9五歩で
しょうか。」すぐ踏み込んで寄せ切るのかと思っていたら、「▲7九香。用心深いですね…」と
言いかけたところでAIの数値が58%まで下がり、「おー、間違えたか。大丈夫?あれ、龍が捕まるね。
うっかりしたかな?」場内にため息。机に伏せてしまった聖子さんの姿。「聖子さん、大丈夫?まだ
少し優勢です。」とマイクで声を掛けたけれども、肩が落ちて心なしか涙ぐんでいる。勝ってから
涙ぐんで欲しいーとは思ったけれども…、観戦者が増えてきたから、「ここからが応援のやり甲斐の
あるところです。」と言いながら解説するうちに、徐々に盛り返して▲9五歩△同歩▲5一角の好手順
があることに気が付いて、「行けますよ。これで決まります。」と言った途端、俄然会場内の温度が
上がるのが感じられた。こういうときはこちらまで熱気が伝わり、「投了は近いです」と、つい言った
けれども、そこからが長かった。▲6四飛と指して△同金と取れば▲7三角打以下詰むので「良い手
ですねぇー。横山さんなら、ここで投了です。2人とも良い局面を作りますね。さすが怜央はセンス
がいい。▲6四飛ー素晴らしい投了図になりました。」と興奮気味に解説していた。


ところがそのあと、芭蕉が弟子の去来に「謂(い)ひおほせて何かある」と言ったように余韻、余情を
残してこそ味わいがあるものー投了図もそうありたいと、そう言う前にどんどん指し手は進み、それと
ともに解説する僕の感銘も次第に色褪せて行き、分かりやすい局面で終局してしまった。
翌日、不満の意を伝えると怜央から「横山四段は今回の対局で最後まで指そうと決めていたのかもし
れないですね。」と試験官横山四段を思いやるメールが届いたのだった。

*18日(土)午後1時半~将棋教室。新しい顔がふえると思います。楽しい1局を振り返り、また新たな
1歩を踏み出しましょう。
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思い出の1枚  釜石から応援しよう!大盤解説会

2023-02-03 13:38:07 | イベント
震災から1か月後のまだ寒さが残る4月初旬、「棋士8人で釜石に行きたいという話が出ているのですが、いかがでしょうか?」と恐縮した様子で島朗(九段)先生から電話があった。これまでMax3人までは来て頂いたことがあるが、嬉しいというよりは驚き、戸惑った。公民館や体育館など広い場所は仮設住宅が完成するまでの一時避難所として既に使用されていて、プロ棋士の先生8人を迎えられる場所など、とっさに思い浮かぶはずがなかった。「夢のような嬉しいお話なんですが、使えそうな場所がないんです。ちょっと難しいと思います。でもせっかくの機会ですから少し時間を下さい。」と恐縮する島先生に事情を伝えた。
方々探したが思いつかない。大きな施設の倉庫など空けられるところはないかと探すうち、同級生で当時双葉小学校の校長先生だった紺野仁司君から、うちの学校の広い玄関ロビーで良ければ、と救いの手を差し伸べてもらって実現にこぎつけたイベントだった。嬉しいことは重なるもので、釜石南高時代のソフトテニス部の先輩マドンナが受付と写真を担当してくれて感謝、感謝。その中の1枚。


震災後も釜石にひとかたならぬ力添えをしてくれた細川正士県連会長が盤側で見守る。小山兄弟の並ぶ対局が一番人気。当時高校3年の怜央が行方尚史九段と対戦する前、僕に小声で「平手でも大丈夫(失礼でない)ですか?」と聞きにきた。「3面指しだから大丈夫」と。このあと怜央の1局だけが残り…、結果は、怜央の勝ち。後年、東北六県大会で行方先生に会ったとき釜石まで来てくれたお礼の挨拶をすると、「あーっ、あの時は小山君にやられました。いつかリベンジしたいですね。」と悔しさのにじんだ表情をみせた。
その機会が早く訪れるといいですね。

【小山怜央 プロ棋士編入試験・第4局:釜石から応援しよう!大盤解説会】
日時:2月13日(月)
開場 14:00
開始の挨拶 14:30
終わりの挨拶 終局後
場所:中妻公民館
編入試験第4局(横山友紀四段戦)観戦会
将棋を楽しむだけという、いわゆる「観る将」や応援してみたい、その場にいてみたいという方も大歓迎です。
静かな空間ですが、将棋観戦ならではの独特な雰囲気を味わってみてください。
みんなで応援(観戦)しましょう。飛び込み参加も可能です。
問い合わせ=090-9037-1096(土橋)まで。
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