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街を歩くのは、想像以上に困難を極めた。地図は用意していたけど、この街は縦に深い。その構造を平面の地図で読み解くのは、僕らには荷が重かったようだ。一例として、道が分からなくなって傍に居たノームに尋ねたときの返事。
「そこのカスミ草の館の横の階段から第五層まで直通で降りて、8と4/3番通りを北へ行って二つ目の角を右に曲がって赤の商店街の突き当たりにある一番星の館から第四層に出て西のカササギ橋を渡ったところの階段を上がれば、ダンスホールまで行けたはず。たぶん」
「……聞くだけで疲れるわ」
こればかりはアダムの意見に諸手を上げて賛成。
さらに、それだけじゃなかった。
「ああ、そこな。この前酔っぱらったトロールのおっさんが踏み抜いちまって、まだ誰も直してねえんだよ」
突然道がなくなる。
「ちょっと前にそっちの家の奴と小競り合いしてな。顔も見たくねえから、壁作っちまった」
突然行き止まりにぶつかる。
と、そもそも地図通りに道がなっておらず、天を仰ぐことが何回か。思わず露天商のお兄さんに愚痴をこぼせば、だから人間はめったに来ないんだ、と言われた。
「文句はここに街をつくりはじめた頃の連中と、ン百年かけて魔改造してきた奴らに言ってくれや。ま、今さらどうこうできるわけねぇだろうがな」
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