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「それもそうですよね。……ところで、この街で銀髪碧眼の綺麗な女性を見たことはありませんか?」
「いんや、ねえなー。そんな目立つ見た目なら絶対忘れねえと思うんだよ。ほら、ここって暗くて茶色みたいな奴多いから」
「そうですか……。あなたに真なる天地の恵みがありますように」
「まー、そんな気落とすなよー。真なる天地の恵みがあるように」
ひらひらと手を振ってくれたお兄さんは、さっそく道行く人に声をかけていた。
そんなこんなで、気がつけば既に辺りは暗く、夕暮れの時間が始まっていた。だというのに、僕たちはまだ目的の宿に辿り着いてなかった。
「どうするのだ。地面の下に住む連中は、夜のほうがより活動的になるものだ。妙な絡まれ方をされては面倒なだけぞ」
能天気なアダムさえ、ずいぶん思考が荒んできていた。
「というか、これだけの苦労をしてもまだ着かんとは、もはや我らに対してケンカを売っているようなものではないか? 宿代をタダにしてもらうぐらいでないと、割にあわんわ!」
とにかく急ごうと、足早に蛟の二番通りというところを歩いていると、突然足下に穴が空いた。幸い、そのままどんどん板を破って下へ落ちていくということはなく、下の層に体を叩き付けて止まった。
「うわっ⁉」
「ぎゃおぅ⁉」
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