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「うわぁ。よくみたらソースや化粧の紅が顔とか腕についてるし、頭は何だこれ……。アカスズメの羽? こんな格好で走ってたかと思うと、ちょっと……」
女の子はまだ腹を抱えて笑っていた。これで彼女も同じ惨状だったなら僕の精神に多少の救いがあっただろうけど、悲しいかな、前を走っていた僕が彼女への被害を全て受け止めていたらしい。彼女はさっぱりときれいな姿のままだった。
「クッ、ハッハ……はー、面白かった。お前たちは案外マヌケな奴なんだな」
「とっとと忘れよ! こんな姿、末代までの恥だ!」
「嫌だね。誰が忘れてやるものか。安心しろ、私が正しく後世まで語り継いでやる」
ニヤニヤと愉しそうな笑いを浮かべる女の子は、復讐などという物騒な言葉とは縁遠そうな普通の、年頃の女の子のように見えた。……言ってる内容はともかく。
「こんなくだらないこと語り継がなくていいって……」
「おい、血が出てるぞ」
タオルで顔を拭っているとそう指摘され、何に引っかけたのか手の甲に血が滲んでいるのに気づいた。
「そら、血止めだ。我が一族は薬に精通しているからな、よく効くぞ」
「……ありがとう。意外と優しいんだね」
「そりゃ、ほぼ初対面の女を頼まれてもいないのに助けて汚れたあげく怪我したなんて、あまりにマヌケすぎて親切心もわく。私にはと違って人情があるぞ」
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