徒然日誌(旧:1日1コラ)

1日1枚画像を作成して投稿するつもりのブログ、改め、一日一つの雑学を報告するつもりのブログ。

朝の月、世界と舞台の隙間にて 7

2020-04-28 19:54:34 | 小説






 本文詳細↓



 「そうなったときが、この楽園の終焉ね。八百年前と同じ、いいえ、きっとそれ以上の恐怖と混乱がこの島を襲うことでしょう。それに気がついているのは、はたしてどれほどか……」
 彼女の昔話は、不吉な未来の予想で締めくくられた。
 僕は、ずっと夢心地でそれを聞いていた。信じられなくても、真剣に聞こうと思っていたはずなのに。それこそ、僕がお芝居を見ている気分だった。
 「あなたは……? それじゃ、あなたはなんなんですか? 世界を越えて僕の前に現れて、世界の秘密を教えてくれるなんて、あなたは悪魔なんですか? でも、この《世界》では、悪魔と天使は別の種族だ」
 やっとの思いで開いた口から出てきたのは、そんな言葉だった。自分でも笑えるぐらい、結局僕の行き着くところは変わらなかった。
 「そうね、君の言う通り。悪魔と天使は違う生き物で、私は悪魔じゃない。でも、私を天使と呼ぶのも実は正しくない。本物の天使というのはね、竜(ドラゴン)と同じくこの世界のどこかにいる最も古く、最も神秘的な種族なの。
 私たちは仮初めの天使。かつてこの大地に存在した、私たちを神聖視していた変わり者の集団が天使の名を借りてつけただけ。私たちを崇拝してるなんて、おおっぴらにはできなかったから、しかたなくそうした。
 だって私たちは――この《世界》で天使と呼ばれる存在は、ブロッケンのことだもの」
 「………………は」


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