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だけどじーんと骨の髄まで痺れるような痛みに身動きが取れず、しばらくうずくまっていた。すると、誰かが隣に膝をつく気配がした。
「大丈夫ですか? 生きてますか?」
女の子の声だった。
「ええ、どうにか……。あと、そのあたりに三十センチぐらいの小人転がっていませんか……?」
「小人ですか……?」
声の主はアダムを探すために立ち上がってくれた。すぐに、少し離れたところから僕にしたのと同じ質問をする声がした。
「大丈夫ですか? 生きてますか?」
「おお、これはかたじけない。光射すようなそなたは、まさに天の助け。実はずっとこの街を彷徨い続けていて、参っていたのだ。どうかそなたの手で……」
「あ、元気そうですね。じゃあ捨ててください今すぐ」
「何を言うか! この美しい娘が我に深い情けをかけているからといって、惨めな嫉妬はするでないぞ」
無事を喜ぶよりも、恥ずかしいから黙ってくれとまず思った。そうしているうちに痛みも治まって、体を起こすことができた。
「蛟(みずち)の通りは水はけが良くなくて、道がすぐに腐ってしまうんです。谷周りは砂礫ばかりですが、少し行くと緑豊かな広い森があります。なので主な建材として木が利用されているんですが、一方でこういうこともよくあって……。大きな怪我がなくてなによりです」
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