秋晴れから遠ざかっていた日々
相変わらず海辺の町の散髪屋さんは続いている。
お得意さんは只一人 気が向いたら店を開ける。
被る帽子から髪の毛が覗きだした もうソロソロかなと思っていたが
案の定散髪依頼が来た。
散髪屋さんは中々店を開けない 此で最後よと言って店を閉めるが
ひと月もすれば又訪ねてくる。
あの約束は何だったのかと渋々店を開けている。
「散髪屋さんに行ってよー。」と毎回頼んでみるが一向に聞き入れない。
右に左に頭を動かされ文句を言われものの10分我慢すれば良いのを客人は知っている。
上手いも下手も帽子を被れば分からない。
不精者の客人に取ってはお抱え散髪屋さんは持って来いなのだ。
何時もの事ながらおとなしく座っている 客人の頭は歳月と共に白くなり
薄らと地肌が見えて来た。
保育園年長時 長男が坊主頭にして以来ついでにと見よう見まねの散髪が始まった。
40年になるだろうか。
飽きもせず海辺の町の散髪屋さんを訪ねてくる一つ下の客人。