・琥珀酸Succinic acid こはくさん
自然界に広く分布しており、1550年にドイツの学者アグリコアAgricolaによって 化石樹脂のコハク(ラテン語succinum)を乾留して白色の結晶として得られている。旨みがあるとして認められるようになったのは、1912年東大の高橋によって細菌培養ろ液中に著しい量のコハク酸を認め、それが旨みを持っていることを発見し後にこれが青木によってコハク酸によることを報告した。
清酒、二枚貝(はまぐり、あさり、しじみ)、地衣類、酢に含む有機酸、カルボン酸の一種で微酸性、旨みの成分としてる。無色結晶、融点 185℃、沸点 235℃(無水物になる)、エチ アルコール、アセトン、熱水に可溶な物質。動植物に広く分布、コハク酸ナトリウムの閾値(旨み成分が感じられる最低の濃度)は、0.02%でありグルタミン酸、イノシン酸との相乗効果はないという。
化学合成的に無水マレイン酸Maleic anhydrideの加水分解によるマレイン酸の水素添加により製造できる。添加量が適量を超えるとエグミが感じられ他の味との相違が認められ味を損なう。
アサリは海水では酸素を吸って生きているが、海から引き上げられると、今度は体内のグリコーゲンを分解し、コハク酸という物質を作って生命を維持しようとし時間の経過とともにコハク酸が増えていく。採取直後のアサリはコハク酸が100g中63mgなのに対して、パック詰めは98mgと増えている。コハク酸が増えていくと、苦味が強く美味しさが感じられなくなってしまう。加工食品に添加し醸造品に多く用いられ調味料、医療用に用いエネルギー代謝に関係する成分としても知られる。
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