「みずうみの入江にて」
みずうみの入江に
そっと佇む鳥たち
鳥は入江の先を
ずっと見ていた
静かにこの景色に
溶け込んで佇んでいた
君たちは何を見ているのかい
波はなく山影を落とし
風は止まり
ただただ時は止まり
一枚の絵画のようにだ
鳥たちは何も答えず
私は彼らの後ろ姿を
見ていた
鳥たちは絵のなかで
また生き続けている
「城と天の間のこと」
両翼を伸ばす城
手を雲上の空へと
差し出したかの様に
広げている
空を突き抜けてメッセージを
投げているのか しかし
私は見ていないのだ
そう 私は何も見ていないのだ
ここに居て 何かが
広がる様を 本当は
見えていないのだ
でも 感触があるんだ
私の頭上を暖かく優しく
広く大きくそして
この世で最も寛大なる存在が
今正にやり取りしているのか
「光とひかり」
光は何処から来るんだろう
いつも普通に朝起きて
光が普通に射し込んで
いつもそうであるかのように
何も疑問も持っていない
だから「光が何処から」って思わない
それはあのお天道様が
いつも照らしてくれるんだけど
そう言ってしまえばそれで終る
でも、あの暖かさ 優しさ 力強さ
ただ それだけじゃないと思うんだ
そう 光は私のこの額に当たるまでに
いくつものみんなのひかりも
一緒に集まって
やって来てくれてると
思うんだ