遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

札幌座『民衆の敵』

2025-02-14 14:03:59 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

札幌座第62回公演「民衆の敵」

2025/2/12

・街の温泉施設の危険性を訴えた学者が、実の兄である町長らの反感を買い、集会で民衆の敵と認定される話。

・作者は『人形の家』で有名なイプセン。

・1882年に書かれた。140年以上前の作品なのに、扱う題材が完全に現役。イプセンがすごいのか、世間が進歩していないのかはよくわからない。

・本作は主に学者だけど、大手マスコミの記者とか、違法建築を目の当たりにした技術者とか、パンデミックを予見する医者とか、いくらでも今の構図に置き換えられる。

・一般的な民衆には、学者とインチキ学者の対立があった場合に、なかなか判別できない。

・そういうときって、学者は油断しているし、インチキ学者は必死だから、逆転現象も起きやすい。

・町長の主張も正直妥当性がわからない。

・この傾向はSNSのある今のほうが先鋭化している。

・民衆の敵を押し付け合う集会の様子は既視感しかない。

・いかにも翻訳劇という重厚なセリフのやり取り。

・登場人物もれなく存在感が強い。声の圧も強い。

・たまに変なポーズしたり、突飛な行動をする人もいるんだけど、コミカルな演技にすら迫力が伴う。

・町長役のクドクドした言い方にイライラさせられる。出てくるたびに、「またお前か!」と思わされる。敵役として理想的。杖と帽子が良く似合っている。演者は笠木誠さん。

・今すぐ健康被害が出ているわけではないようだし、あの兄弟、もう少しずつ妥協しあえば、あれよりはマシな結論出せたんじゃないかなと思ったりする。

・町長は結論ありきで話すから難しいか。

・結局、人事権を握っていると強い。

・温泉の配管モチーフと思われる舞台美術。

・広い空間を使い切っている。高さもある。工場萌え分野の人でも結構満足できそう。

・幕間で見せる、広義で言えばダンスのような人々の動き。脈絡のないダンスの挿入は嫌われがちだけど、具象と抽象の距離感が丁度よく馴染んでいるように見える。

・舞踏と演技のどちらかなら、演技なんだと思う。

・『人形の家』も人間100年くらいじゃ進歩しないんだなと思ったので、他のイプセン作品も気になってきた。

・まずは本作の戯曲にもあってみたい。

コメント
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