遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

アリ・アッバシ監督『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』

2025-02-10 10:55:10 | 映画を見てきた

2025/2/10

・青年ドナルド・トランプが辣腕弁護士のロイ・コーンとの出会いをきっかけに不動産業界で成功していく話。

・たくさんの人が行き交うなかで微動だにせず、トランプへ視線を向けてくるロイ・コーン。いかにも運命の出会いという感じ。

・こういう強調の仕方、ヒッチコックの『見知らぬ乗客』にもあるらしい。観てないけど。

・最初はオドオドしていたトランプ青年が、彼の三か条の教えにどんどん感化されていく。「攻撃攻撃攻撃」「絶対に非を認めない」「勝利したと主張し続ける」(大意)

・トランプが賢そうに描かれているし、特に批判的な表現も多くないので、結果、一昔前の伝記マンガのような印象。

・一回だけ「自分に都合の悪い科学は信じない」と言い張ったり、女性の扱いはほんと酷いけど、今さら過ぎて、それくらいではイメージダウンになりそうにない。

・表舞台の陰で周囲の人々の表情が曇っているのも「彼にとっての敵役」くらいの位置づけだし。

・優しい映画に影響を受けて実社会でも他者に優しくなる人がいるように、この映画を見て実社会で攻撃的になる人もいると思う。

・実際、この三か条が流行ってるのかと思うほど、似たような方針で行動をする政治家やインフルエンサーは、日本でもすでに多く見かける。

・なので、トランプが成功していく様子を無感情に眺める時間がどうしても多くなってしまう。

・ロイ・コーンの気の毒な顛末にも全然心が動かない。

・気になるのは、彼がどうしてトランプのためにここまで尽くしたのか。単純に好みだったのかな。そんなに浅い理由なんだろうか。

・トランプが今の感じになっているのは、かつて父親から軽んじられていたこと、家賃の取り立てで困窮者との付き合いを経験していることが、悪い方向に影響したように見える。

・彼が大統領になる前に終わるとは聞いていたので、どういう風にまとめるのかなと思っていたけど、納得できるように締めていた。汎用性高そうな構成。

・学びは多く見て損したとは思わないものの、自分の感覚では楽しい映画ではないので時間が長く感じる。終盤に突然直接的な外科手術シーンを入れるのも勘弁してほしい。

・経年変化していく二人を演じた俳優さんの卓越した演技に集中することで、何とか最後まで見ることができた。

・たぶんトランプが再選してなかったら、もう少しいいバランスで見られたと思う。

(2025/2/9 サツゲキ)

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