2025/2/7
・アメリカ在住でいとこ同士のデヴィットとベンジーが、ポーランドにあるかつての祖母の家を訪ねる話。
・ざっくり言うと、堅物の人間と奔放な人間が同じ時間を過ごすことで影響を与え合うかもしれないという、よくある話ではある。
・祖母がホロコーストのサバイバーで、二人はアウシュビッツの収容所をめぐるツアーにも参加する。
・ベンジーが奔放担当。とにかく自分に正直。その奔放さで、他のツアー参加者との距離を軽々と縮めていく。
・一見、細かいところは全然ダメだが、本質をとらえるタイプのように見える。
・ただ、それにしても雑なところが多すぎるし、たくさん失敗して傷ついて、このバランスに落ち着いたんだろうなという感じがする。
・実際、隣にいたら楽しいけど、面倒を見ろと言われたらとてもイヤ。
・その面倒を見る役が同行するデヴィット。そして、ツアーガイドの人。
・記念写真のところ、「敬意に欠けるのでは」と心配する気持ちはとても共感できる。
・ガイドの人がベンジーの指摘で機嫌を損ねている。
・彼の言うことはそこまで変なことではないし、むしろ貴重なご意見の範囲だけど、そういう言い方をしなくても…という葛藤しながら対応している様子。
・アウシュビッツのガイドだから、事務的であっていいはずはないし、そんなことは百も承知だろうけど、それでも言われないと気付けないこともあるようだ。
・ルワンダから来た青年。傾聴の姿勢が好き。
・デヴィットとベンジーはよく口論になるし、よく険悪な感じにもなる。
・この危うい関係性が作品の緊張感を保っている。
・決定的に決裂すれば、話のクライマックスにはなるんだけど、そういう話の作り方はしていない。
・最後、デヴィットの突飛に見える行動も、人付き合いの苦手な彼なりに、相手のことをよく見て感じて最善だと思った結果なんだと思う。
・若干、芯を外している感じもほほえましい。
・ベンジーは変わっていないという感じもするけど、大丈夫だと言わせることができたのはこの旅の成果だと思う。
・話の大枠は想像の範囲内でも、二人や他者との関係性、言葉や行動、情報の出し入れで、十分成立している。脚本と俳優の腕を感じる作品だった。
(2025/2/7 札幌シネマフロンティア)