2017/9/24
・男社会の縮図のような地方都市で、女性活躍の象徴として市議会議員を勤める「黄川田鈴子」が、自身の偏見と差別思想を垂れ流しながら市長選挙に挑む話。
・観劇三昧で同じ演目を楽しく見ていたけど、重複している役者さんが少ないので、期待半分、不安半分で見に行く。
・前説は作演出の高間響さんによる京都話。注意点の案内というよりは、ゆるい語りで会場の緊張をほぐそうとしている感じ。
・劇場は選挙モード。舞台上だけでなく、鈴子の選挙ポスターがあちこちに貼ってある。
・ポスターとのぼり、壁にかけてある家族写真の鈴子がまったく同じ表情なのがちょっと面白い。たぶん別の写真だと思うけど。
・悪趣味なウォーホルのようで「これからやばいものが見られる」という期待感をあおってくる。
・高尚な芸術作品を鑑賞するというよりは、危険生物を見物するサーカス小屋に入るような気持ち。
・随所にベタベタなギャグを挿入したり、そこまで訓練されているように見えない歌や踊りをあえて入れているのも、題材の硬さをほぐす目的なんだと思う。
・差別と偏見をテーマにして、最低限の正しさを確保しながら、堅い話にならないところがすごい。ちゃんとリラックスして見られる。
・鈴子の危険思想に対して、娘が適切な距離からツッコミを入れて中和している。そのへんの安全管理はかなりしっかりやっている。
・とはいえ、ただの正論マシーンにならないように調整するのはたいへんそう。
・話が進んでいくと、鈴子が不快な思想を垂れ流していくのが、だんだん楽しくなってくる不思議。
・現市長の登場シーン。「みんながイメージする地方都市のガハハ政治家」像の体現の仕方がすごい。
・パンフのスペシャルサンクスが豪華で見ごたえがある。
・歌うなら、うまいかうっとりしているかどちらかにしてほしい。
・地獄で生き抜くためには鬼にならなければならないというラスト。
・それでもこの作品世界内では少しだけ進歩したんだと信じたい。
・あと、ここまで大きなテーマを扱ってちゃんと風呂敷をたたんでいるところがえらい。
・あいかわらずテーマ曲の圧が強い。不意に出る鼻歌として定着しそうだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます