2024/5/2
倫理学を教える大学教授が、二次大戦中にかくまうことのできなかったユダヤ人の女の子と、長い年月を経て再会する話。
世の中には救う側と救われる側の人間がいるという不公平を描いた話でもある。
倫理の講義という舞台装置が効いている。
倫理学では一般的なことなのかもしれないけど、どんな人間にも善の部分はあるという話がおもしろい。性善説、性悪説という言葉には大した意味はない。
命の恩人へのお礼なのに、そのお礼すら素直に受けられない人に対して、「あの人は苦労しすぎたのよ」という言葉が優しい。
再会すべき二人が再開した様子だけを見せる、物語の中のクライマックスの部分だけど切り取ったような話だった。
作中、授業中に生徒からデカローグ二話のエピソードが語られる。
登場人物の多くが、同じマンションの住人たちであるという設定がここでやっと活きていた。
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