2024/5/23
・晩年の切紙絵が多いんだろうと思ったら、ごく初期の習作レベルの油絵から展示されていた。
・近い時期に行われた別のマティス展とのすみわけはあるようだけど、本展覧会だけ見ても全体の流れはわかるようになっている。
・最大の見どころは、マティスの集大成である、ヴァンスのロザリオ礼拝堂を完全再現した展示。
・事前に山田五郎さんのYoutube解説、当日は安藤サクラさんの音声ガイドと、迎え撃つ気満々で鑑賞。
・五郎さんの「マティスは同じモチーフを繰り返し描く」という話がいい補助線になった。
・彫刻の『横たわる裸婦像Ⅱ』がのちの『大きな横たわる裸婦』だし(順番は前後するかも)、『アンリエット』の連作も写実→極端なデフォルメ→それらのハイブリットと、繰り返し製作されている。
・日本の漫画を想起させる作品も目に付く。「マドレーヌⅢ」は完全にJOJO(順番は逆)。『ジャネットⅢ』は抽象化を重ねた結果、サザエさんみたいになっていた。
・とにかく、作り直すことにためらいがない。
・似たような時期に作られた『蛇女』と『農奴』のアプローチが全然違う。とにかく作ってみるという感じか。
・展覧会のメインモチーフになっている『ブルーヌード』も下書きのような線が残っている。
・描いた跡を残しているものと、一から描きなおしているものがあるので、単に下書きが残っているわけではなく、それも表現の一部なんだと思う。
・下書き線で対象が脈動しているように見える。
・切紙絵で「色彩が線から解放された」らしいんだけど、デジタル作画があったら使ってたのかな。現代に転生したマティスが出てくる「液タブ大好きマティスくん」みたいなマンガできそう。
・『花と果実』は画像撮影OK 。お客さんのマナーがよく、みんな作品から距離を置いて前を歩かないんだけど、これだけ巨大で装飾もシンプルな作品なので、通行人の存在含めて製作されたのではと思ったりした。
・ロザリオ礼拝堂では、日の光の変化を考慮して、照明を変化させていた。展示の工夫もよい。
・書籍で見ていた聖ドミニクスの線画は単に「味がある」という程度だったが、実際に見るとでかいし太いしで結構な迫力があった。
(新国立美美術館)
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