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本日の五文型クイズ(4)解説編

2009年12月20日 | 本日の五文型クイズ
 五文型分類にあたってはメインの動詞をしっかり把握するのが肝心です。たとえ一文が長くても、主語と中心になる述語動詞が掴めれば一見難解な英文も、もつれた糸がほどけるように理解できることが多いです。①②の英文の主語は一目瞭然ですので述語動詞を赤字で示してみます。
 
What does it mean to live in a free and democratic country like the United States? ①Supreme Court Justice Anthony M. Kennedy wants the teen-agers of America to give this question some serious thought. ②On Monday, Kennedy, one of nine members of the nation's highest court, launched a program he hopes will help students better understand democratic values.

出典TIMEFORKIDS January 28, 2002 Talking About Freedom

 ①はSVO(the teen-agers of America)C(to give this question some serious thought)になっている第五文型です。従来の日本の英文法書では「第五文型ではO=Cになる」という解説がしばしばされてきました。しかしこれは欠陥のある説明で、そうしてしまうと①は五文型で分類不能になってしまいます。①のみならず、
I saw her enter the room.(知覚動詞+目的語+原型動詞)や
I made him study hard.(使役構文)も五文型で分類不能になってしまいます。 her=enterではないし、him=studyではなく、第一文型~第四文型のどれにもあてはまりません。
 「第五文型ではO=Cもしくは、OとCが主語、述語になる」と解説した文法書もあり、そうすれば上述のような分類不能は生じません。さらに一歩進んで「第五文型ではOとCが主語、述語になる」とシンプルに説明した方がわかりやすくなります。なぜならば、O=Cは「主語+述語の関係」に含まれるからです。最近はそのようにしている本も出ていて、私の手元にある英文法書では、シグマベスト「入試英文法問題特講」(西きょうじ著、2004年第一刷発行)が第五文型に関して「この形は基本的にOC部分でひとつの意味のかたまりを形成しており,OC部分に主語+述語の関係があるといってよい」というシンプルな説明に加えて、例文が網羅的に示されていました。
 第一文型~第四文型と第五文型で根本的に異なるのは、第一文型~第四文型は主語が最後まで一貫しているのに対して、OC部分に主語+述語の関係がある第五文型では目的語が第二の主語のような働きをする点です。英語としてはよくある表現でありながらも日本語としては「象は鼻が長い」に似た座りの悪い表現であるため、「第五文型ではO=Cになる」という不完全な解説がまかり通ってきたのかもしれません。
 たしかに第五文型にはWe call this dog Pochi.のようなO=Cになってそのまま日本語に理解して全く違和感のないものもあります。しかしそれだけが第五文型ではなく、「OC部分に主語+述語の関係がある」のが第五文型です。単語の意味だけではなく英文法も英語の発想で理解していくのが英語習得の近道です。前述の、I saw her enter the room.(知覚動詞+目的語+原型動詞)やI made him study hard.(使役構文)は第五文型であることがわかれば第五文型の守備範囲は非常に広くなり、瞬時に理解できるパターンの英文が増えます。見方を変えれば、「第五文型ではO=Cになる」という不完全な解説により少なからぬ分類不能文が出るがゆえに、五文型分類という英文理解の強力な武器があまり普及してこなかったとも言えるでしょう。
 ①の後半、give this question some serious thoughtはいかにも英語的発想のVO'Oです。しかし主語であるSupreme Court Justice Anthony M. Kennedyがそうするわけではありません。全文の中では目的語に位置づけられるthe teen-agers of Americaがそうすることを主語は望むに過ぎず、いわばこれはSVO'O構造の第四文型が組み込まれた第五文型です。
 I saw her enter the room.は、She entered the room.というSVO構造の第三文型が組み込まれた第五文型の例です。
 We call this dog Pochi.は、This dog is Pochi.というSVC構造の第二文型が組み込まれた第五文型の例で、O=Cという解説が通用するのはこのケースだけです。
 そして、I made him study hard.は、He studied hard.(ここでのhardは副詞で五文型分類には無関係の修飾語句)というSV構造の第一文型が組み込まれた第五文型の例です。
 社長が管理職にI want you to make workers work hard.と発言すれば、SVOC構造の第五文型が組み込まれた第五文型です。
 いずれの場合においても第五文型は他の文型と異なって本質的に複文的構造を持っています。日本語の発想とは馴染みにくいものの英語では多用されるため、第五文型がわかるようになると英文の理解度は飛躍的に高まります。たとえば②の後半のhelp students better understand democratic valuesは、studentsが目的語にして第二の主語の役割を果たしているV(help)O(students)C(better understand democratic values)構造です。 
 
 全文としての②はa programと he hopesの間に主格の関係代名詞が省略されている第三文型(SVO)です。目的格の関係代名詞がよく省略されるのは誰でも知っているとはいえ、意外に知られていないのが②のような主格の関係代名詞の省略で、この文におけるhe hopesのような挿入がある場合に起こりえます。
 ここで主格の関係代名詞whichを補って、(which) he hopes will help students better understand democratic valuesと考えれば、(which) he hopes以下はa programを修飾する関係代名詞節、要するに脇役です。挿入のhe hopesも当然脇役です。②はKennedy launched a programが主役になっている第三文型(SVO)です。
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