二千五百年ほど前の中国でのことです。偉大な哲学者で教育者でもあった孔子には、数えきれないほどたくさんの教え子がいました。教え子の多くは直接教えを受けるために、はるばる遠くから孔子の住む魯(ろ)の国にやって来ました。陳亢(ちんこう)もその中のひとりでした。
陳亢は陳の国の出身でした。まだ若く、孔子のもとに来て間もなかったので、孔子から直接教えを受けたことはありませんでした。
考えすぎる性格の陳亢は、自分が魯の国の出身ではないから孔子にかまってもらえないのだと思いました。孔子はどの教え子に対しても同じように接していたことでしょう。しかし陳亢は自分が大切にされていないと思い込んでしまったのです。
ある日、陳亢は孔子の息子の伯魚(はくぎょ)に「お父様からなにか特別な教えを受けていらっしゃるのでしょう?」とたずねてみました。
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