Aちゃんがお母さんに抱っこされて来室したのは、平成5年。
今から20年前の12月で、・・来月、3歳の誕生日を迎えるとのこと。
色白のお顔がほんのりピンク色にそまって、
まるで「愛らしい天使の子」のような女の子でした。
けがれのない、無垢な微笑みを浮かべた愛らしい女の子が・・、
まさか、脳萎縮 障害児 だとは・!・・・!
-------------(脳障害児には、天使のような愛らしい子がいるそうです)
Aちゃんは、昨年(2歳)までは、ふつうの女の子でした。
「ママ、ママ」とママの後を追い、ママに甘え、ママとお話する、
ごく普通の、かわいい女の子だったそうです。
沖縄で行われた結婚式に、Aちゃんは両親と出席し、
体調を崩し、風邪を引いて、高熱を出し、
その熱はAちゃんの脳を襲い、脳炎を来たし、
Aちゃんの脳は、萎縮してしまったのだそうです。
(高熱は人体のタンパク組織(脳を含む)を変性させ、結果硬縮します)
今のAちゃんは、お話もできません。
口から音を発するだけ。
お母さんの声も、声ではなく音として認識しているようでした。
Miz は 整体師の立場から、Aちゃんを、観察、考察しました。
(=立場上、医師の視点とは異なりますが、ご了承下さい)
例えば、こんなことに注目しました。
1まず、首の角度。~~首がコックンと前のめり状態になっている。
2両足で立っていられない。ハイハイできない。
3体軸が2軸性ではなく、1軸性になっている。
(2軸性は左右の分岐が顕著で、1軸性は左右が確立せず回旋性の動きが顕著になります。詳しい説明は省きます)
体の右と左の関係に、特に注目しました。
4左手がダランとしている。
5体の動きが、右志向。~~右方へ、右方へと行こうとする。
6左側からの音声には反応しない。右側からの音声には反応する。
7左右の眼の焦点が合わない。両眼が右方に動く(=右視野)
8左の耳付近は冷たく、触ると嫌がる。 右の耳付近は温か。
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AちゃんはMiz 整体室に、月に2度、1年間通いました。
通常の整体は、失われかけた体の機能を取り戻す作業を行いますが、
Aちゃんの場合は、すでに消失した機能を、新たに構築する作業で、
人体機能の芯の部分に触れるチャンスと発見に満ちていました。
例えば、Aちゃんは1年後には
1お母さんが、左側から呼びかける声に反応するようになり、
2右回りしか出来なかったのに、左回りも出来るようになり、
3ダランとしていた左手も使って、オモチャを持つようなったり、
という改善が見られました。
幾ばくかの改善は見られたものの、
せっかく歩き出しても、大きな音がするとパタンと倒れたり、
普通の3歳児なら苦もなく出来るさまざまな動作を、Aちゃんはこなすことは出来ません。
普通の女の子とは、はるかに遠いAちゃんでした。
平成6年の12月末のこと、
Aちゃんのご両親がMiz 整体室にいらっしゃいました。
「いろいろ二人で相談した結果、、、」と切り出しました。
「Aちゃんを施設に預かっていただくことにして、
赤ちゃんを、もう一人作るという決断をしました」
というご報告でした。
ご両親は、とことん話し合ったのだと思います。
預かってくださる施設が見つかったことにも、感謝していました。
「そうねぇ・・・。それがいいかも、ねぇ」
一瞬、Aちゃんは、両親に見捨てられたの、と思いました。
いや、そうではない。
Aちゃんは、一般世間より施設という環境で育ったほうが幸せだろうと、両親は一生けん命、考えたのだと思います。
Aちゃんと同じ施設にK君もいて、その関係で、
お母さん同士は今も交流があるそうですが、お尋ねしたら、
Aちゃんは、施設でお元気で過ごしているそうです。
年の頃は・・・ 22歳になるかなぁ。
どんな乙女になっているでしょうね。
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