教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

これからの合意形成ワークショップ報告(1/3)

2014-01-02 | マインド、メソッド、ツールなど
昨年末に、合意形成ワークショップを開催しました。
3回に分けて報告させていただきます。

”これからの合意形成ワークショップ”
主催:福島 毅

日時:2013年12月30日 午前の部(10時~13時)  午後の部(14時~17時)
 ※午後の部は午前の部の結果を踏まえての続編

参加者:午前の部 10名   午後の部 8名

開催場所:どんぐり地球センター(柏駅東口徒歩4分)

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◆アジェンダ
 企画意図説明(福島)
 チェックイン(全員)
 対話のルール確認(全員)
 日本人のマインドセット・今日本に起きていることは何か?
 合意形成のための準備
 昼食休憩
 簡単な合意形成の方法(日常生活、家族間、会社内の場合)
 複雑な合意形成・新しい民主主義
(日本社会全般、多様多数のステイクホルダーの場合)
 チェックアウト(全員)
 ◆方法
 メインテーマを掲げながらの、サークル対話方式。
 個々の発言をファシリテーターが電子黒板にまとめつつ(写真)、
 サブテーマがあがってきた場合は、参加者に承認を経て話題を移す。
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☆1 開催趣旨(イベント案内より)
合意形成は、集団で生活する人間にとって避けては通れないものです。小さい単位では家族や友人から大きな単位では国家間に至るまで、自分の主張と相手の主張からどう結論をつけていくのか? 合意形成というと妥協案という色がありますが、そうではなくて、合意をとらなくてはならない人が納得できる第3の案を紡ぎだす創造的な場をどうつくるかが焦点です。

そしていま、民主主義も大きな転換点にさしかかっています。
すべての人がネットにつながるデバイス(スマホ、携帯、タブレット等)を持ち歩ける時代だというのに、国民の意志とは離れた決定が国家で行われるということもおきつつあります。

高度通信情報社会において、コミュニケーションのそもそもについて考え、新しい合意形成とは何かということをあらためて考え、フレームづくりをしたいと思います。

☆2 結論
 ①合意形成とは(定義)
  ・未来のアクションに至る前の判断を決定する際のプロセス
  ・合意形成は常に暫定的なもの
(未来の予測不能な事態出現で、変わることを前提とする)
  
  ・
②合意形成に必要な要素や基盤となるものや準備 
・起きている事実をよく観察することおよびそれが共有される環境にあること
・意思決定・合意形成に至る手続きの明確化・可視化
・公正さとは何かという議論が行われること。特に手続き的な公正さが担保sれていること
・合意は変わることを前提とする。ただし変わる場合は、その要因や根拠を明らかにすること。その都度の手続きプロセスも明確にされていること。
・信頼できるパートナー、およびステイクホルダー相互信頼関係の構築
・個人の主観を正直に言える環境(あるいは場)、言いたくても言えない人の意見を拾う環境があること
・上記の基盤整備に加え、マインドをつくるためのトレーニングの場も必要。
・合意形成後の個人の行動の自由が担保されている(決定集団からはずれること、それによる不利益・差別などを強要されないことなど)
・人はそもそもお互いに迷惑をかける存在。迷惑かけるもお互いさまの精神
・個人の倫理観およびそれを持つにいたる教育の充実が必要。
・最終的に頼られるのは倫理観の部分が大きい。

 ③合意形成ポイント
ケース1:おおよその合意点が見えている場合(比率にして7:3とか8:2等)
・上記の準備のもと、対話を重ねて合意形成されたとしても全員の完全一致ということは原理的に不可能。ならばどうするか?
          ↓
原案が提示されてくる過程(まだ最終決定は行われていない)において、おおかたの原案や合意点が見えてきたときに、少数派または反対意見を持つ人々に対して“積極的な対案提示”を行っておく。しかも個々のニーズを拾い、ケアがされているという状態でのものでありたい。

  例)311復興後の街。高台移転が大方の原案として収束しつつあるとする。
高台移転をのぞまないひと(他地域への移住希望の人にはその自由や経済的支援を保証するといった選択案を提示すること。またコミュニティを離れることによる差別や不利益がないような手立てを提示すること。)
 
ケース2:大きく2分する状況で、決定が迫られている場合(比率 5:5)
・対話を重ねてもなお、結論が大きく2分されてしまう場合。
しかも決定までのタイムリミットが迫っており、いたずらに議論を先延ばしすることはどちらの案の採択をしたとしても、決めないことが双方の不利益を拡大してしまうことが明確な状況下にあるというとき。
         ↓
まずは、利害関係のない第三者により事実の状況把握をさらに丁寧に正確に行うこと。
これにより新たな未発見の事実が加わり、5:5⇒8:2などにシフトすることがあるかもしれない。
さらに、「時間を延長して考える」という手段。自分たちだけの問題ととらえずに、何代も後の世代までの影響を考慮した決定は何かを探る。

  例)諫早湾の水門を開けるか閉めるか(どちらを選択してもどちらかの決定に対して半分くらいの被害がおよぶ)
利害関係のないグループによる環境調査や予測をさらに追加で行う。(客観性や新規情報の追加という意味では、それまでの調査してきた機関とは異なるところがよいかもしれない) そして特に、人間のライフサイクルで言えばセブンジェネレーションの考え方のように、数世代くらい先の環境予測を科学的な手法にもとづき双方の案でシミュレーションしてみる。それらの結果を踏まえて、トレードオフについて討論する。

※セブンジェネレーション・・・7世代先の子供たちのことを考えて、今を生きよ!」というインディアンの教え


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