教育のとびら

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presented by 福島 毅

柏市教育委員会主催「活用型学力を育成するためのワークショップ講座」を担当

2012-08-02 | 研修・セミナー・講演など
2012年8月2日。柏市教育委員会主催の「活用型学力を育成するためのワークショップ講座(中学校教諭研修)」の講師を担当させていただきました。昨年に続いて2回目になります。

この講座のご縁は、かつて千葉県総合教育センターでお世話になった先生が柏市教育委員会に移られ、私も柏市内の勤務になってお会いしたところから始まりました。

教職員に限らず、公務員の研修はワンウエイな講義の形がいまだに多く、受講者の眠気を誘ったり、終わった後に何が残ったのかわからないもの、体験としての定着がない、やらされ感だけ残るといったデメリットが多いように思います。(中には感動的な講義もないわけではないですが、まれです)

私は、次世代を担う子供たちと接する教職員こそ充実した研修がのぞまれるとかねてより考えていました。そして、今、義務教育では特に盛んに言われている活用型学力であるとか、対話を使った授業というものに興味・感心があり、自分の経験を活かしてぜひワークショップ型の研修をしてみたかったのです。

このワークショップ講座は3時間で、構成は以下の通りです。
1.講義:活用型学力とは何か。
 活用型学力がクローズアップされている背景や理由、講座の趣旨についてこちらから資料を配布し、コンピュータでプレゼンテーションします。

2.グループ演習: PISA問題を解いて発表
 次に活用型学力の好例として、過去のPISA読解問題を提示し、解答をグループで考えてもらい、発表していただきます。その後、解答例や解答に至る観点などについて解説します。
 通常のグループワークというと、いろいろな解答が発生し、「みんな違ってみんないい」的な総括で終わってしまう場合がありますが、PISA型学力問題では、模範解答が存在しますし、その解答にあたって必要な能力・スキルというものも明確です。
 生徒の活用型学力を育成するためには、こうしたグループ形式のワークが今後活発になっていくことが予想されますので、しっかりと準備しておきたいところです。

3.講義:活用型学力を育成するための授業設計
 実際に、どういった場面でどのような教材を使い、どう授業設計していったら良いのかという講義を行いました。例えば、課題には観点別(知識理解、表現技能、思考判断、関心意欲態度など)にどう関わっているかを意識すること、題解決の要素を入れること、アウトプット(情報発信)を前提にしたインプット(情報受信・編集)、個人・ペア・グループでのアクティビティのバランスや順序などです。

4.総合演習:教科に即した授業案の作成
 ある教科・科目のある時間を想定した、学習指導案を受講生に考えていただきます。
 まずは個人ベースでワークシートを使って設計 → ペアで授業設計のブラッシュアップ(ここではインタビューや質問を積極的に相手に行うなどの方法により、本人の気づきがなるべく多くなるような方法を使います。) →個人の修正作業

5.全体の振り返り
 今日の研修の気づきを全体で車座になってシェアしました。その後、各自が講座受講のアンケートを書いて終了しました。気づきの時間を長めにとり、リフレクションをすることの重要性を体験してもらいました。これは学校の授業にも言えることで、短い時間でも良いので、今日、自分が何が身について、何が課題になったかをメタ認知する習慣をつける大切さを知っていただきたいと思って行いました。

受講生アンケートには、生徒の動かし方、課題設定の仕方、振り返りの重要性がわかってよかったなどの感想が寄せられました。やはり、こうした受講生主体の研修講座はまだまだ少ないようで、教育委員会の方からも、こうした講座をもっと取り入れていきたいといったコメントをいただきました。

今回、自分もワークショップ講座を持つことで、生徒だけでなく、先生方への研修にも確かな手ごたえを感じられてよかったです。
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