スチールタンクとアルミタンク
一部の方には大変好評だった「サルわか講座」
前回は「適正ウエイト量~浮力」についてご案内しました。
↑前回見てない人は見てね↑
今回は「適正ウエイト量Part2~タンクによるウエイトの違い」についてお話ししましょう。
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アルミタンクとスチールタンクでは浮力が違います。
「浮力」というのは前回説明したとおり「その物体がおしのけた量(その物体の体積分)の水の重さ」。
その物体がデカけりゃデカいほど「浮力」は大きいということになります。
上の写真を見て下さい。
左がスチールタンク。右がアルミタンク。
アルミタンクの方が明らかにデカいので浮力がありそうです。
なんでアルミタンクの方がデカいのかというと、アルミは軽い素材ではあるのですが、スチールと較べると強度が劣るため、肉厚にする必要があるわけです。
だからと言って太くしてしまうと背負いにくくなってしまうので長くすることで中の圧力が広範囲に分散できるようにしてあります。
で、デカければ浮力も大きくなるのですが、その物体にも重さというものがあるので、その重量と浮力とのかねあいで「水中での重さ」が決まります。
「陸上での重量」ー「浮力」=「水中重量」です。
要はこの「水中重量」というのが大事なわけですね♪
タンクには「W=タンク自体の重量」と「V=タンクの内容積」が刻印されています。
V 10.3がvolume=内容積 W 14.2がWeight=重量
手元にあるタンクを見てみると
アルミタンクが10.3リットルで14.2kg。スチールタンクが10.1リットルで12.3kgでした。
内容積はほとんど同じでもアルミタンクの方が肉厚なので図体がデカくなります。
重さだけ見るとアルミタンクの方が沈みそうなんですが、図体がデカい分「浮力」も大きいので相殺した結果アルミの方が「水中重力」が軽いということになるのでした。めでたしめでたし
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前置きが長くなりましたが、以上の結果「水中ではスチールタンクよりアルミタンクの方が軽い」ということになってしまったので、その分、ウエイトを増やさないとイケナイのです。
こんなことは経験のあるダイバーの方なら先刻ご承知の事なのですが、今までずっと同じタンクでしか潜った事のない方は意外と知らなかったりして「この間は3kgで沈めたのに全然潜降できなーい!」とか「今日はヤケにスムーズに潜降できるわ。私って天才? 」ってなことが起こったりします。
では、どのくらい変えればイイのか?というと
単純に潜降時のことを考えると「スチールタンクの時+2kg位」という感じでしょうか?
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でも、事はそんなに単純でもなくて、前回お話ししたようにタンクの中の空気にも重さがあります。
200barの空気が充填されていたとすると10リットルタンクの場合、中の空気の重さが約2.5kg。
空気が減ってくるとタンクの総重量も減ってきます。
アルミタンクもスチールタンクも満タン時には沈みます。
スチールタンクはエアーがなくなっても沈んだままですが、アルミタンクはエアーが少なくなってくると(タンク自体が)水に浮きます。
ダイビングの後半(大体、残圧が70bar位からかな?)にはタンクによって身体が持ち上げられるような格好になってくるのです。
で、そのことも考え合わせると「+2kgでは心もとないので+3kg位あった方が良いかな?」という感じです。(スチールタンク時のウエイト量がもともとちょっと重めだったりする人もいるので、2kgで大丈夫な人もいれば、3kgないと足りないという人もいます)
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ある方から教えてもらいましたが、タンクによって身体が持ち上げられて姿勢が崩れるのを防ぐためにタンク自体にタンク用のウエイトを付ける方もいます。この「タンクウエイト」はなかなかのスグレモノなので、ちょっと面倒ですがやる価値はありますよ 是非お試しください。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。お役に立ちましたでしょうか?
次回は(いつかわかんないけど)「スーツによるウエイト量の違い」のお話です。
ではまた
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◆関連記事
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その物体がデカけりゃデカいほど「浮力」は大きいということになります。
上の写真を見て下さい。
左がスチールタンク。右がアルミタンク。
アルミタンクの方が明らかにデカいので浮力がありそうです。
なんでアルミタンクの方がデカいのかというと、アルミは軽い素材ではあるのですが、スチールと較べると強度が劣るため、肉厚にする必要があるわけです。
だからと言って太くしてしまうと背負いにくくなってしまうので長くすることで中の圧力が広範囲に分散できるようにしてあります。
で、デカければ浮力も大きくなるのですが、その物体にも重さというものがあるので、その重量と浮力とのかねあいで「水中での重さ」が決まります。
「陸上での重量」ー「浮力」=「水中重量」です。
要はこの「水中重量」というのが大事なわけですね♪
タンクには「W=タンク自体の重量」と「V=タンクの内容積」が刻印されています。
V 10.3がvolume=内容積 W 14.2がWeight=重量
手元にあるタンクを見てみると
アルミタンクが10.3リットルで14.2kg。スチールタンクが10.1リットルで12.3kgでした。
内容積はほとんど同じでもアルミタンクの方が肉厚なので図体がデカくなります。
重さだけ見るとアルミタンクの方が沈みそうなんですが、図体がデカい分「浮力」も大きいので相殺した結果アルミの方が「水中重力」が軽いということになるのでした。めでたしめでたし
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前置きが長くなりましたが、以上の結果「水中ではスチールタンクよりアルミタンクの方が軽い」ということになってしまったので、その分、ウエイトを増やさないとイケナイのです。
こんなことは経験のあるダイバーの方なら先刻ご承知の事なのですが、今までずっと同じタンクでしか潜った事のない方は意外と知らなかったりして「この間は3kgで沈めたのに全然潜降できなーい!」とか「今日はヤケにスムーズに潜降できるわ。私って天才? 」ってなことが起こったりします。
では、どのくらい変えればイイのか?というと
単純に潜降時のことを考えると「スチールタンクの時+2kg位」という感じでしょうか?
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でも、事はそんなに単純でもなくて、前回お話ししたようにタンクの中の空気にも重さがあります。
200barの空気が充填されていたとすると10リットルタンクの場合、中の空気の重さが約2.5kg。
空気が減ってくるとタンクの総重量も減ってきます。
アルミタンクもスチールタンクも満タン時には沈みます。
スチールタンクはエアーがなくなっても沈んだままですが、アルミタンクはエアーが少なくなってくると(タンク自体が)水に浮きます。
ダイビングの後半(大体、残圧が70bar位からかな?)にはタンクによって身体が持ち上げられるような格好になってくるのです。
で、そのことも考え合わせると「+2kgでは心もとないので+3kg位あった方が良いかな?」という感じです。(スチールタンク時のウエイト量がもともとちょっと重めだったりする人もいるので、2kgで大丈夫な人もいれば、3kgないと足りないという人もいます)
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ある方から教えてもらいましたが、タンクによって身体が持ち上げられて姿勢が崩れるのを防ぐためにタンク自体にタンク用のウエイトを付ける方もいます。この「タンクウエイト」はなかなかのスグレモノなので、ちょっと面倒ですがやる価値はありますよ 是非お試しください。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。お役に立ちましたでしょうか?
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ではまた
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