サイコーのお天気♪
風もなく海も穏やかで絶好のコンディション!
今日は江の浦でスクーバダイバー講習。
受講生は高校生の雄太郎くん。
紹介者の前田さんがお供で一緒に潜ってくれました。
1本目が終わって浮上すると、沖合から「誰か来てくださーい!」と言う声が!
水面に2人いて、女性が叫んでいるのが見えます。
レスキュー講習をやってるのかな?と思って周りを見回したのですが、救助者役のダイバーが向かう気配がありません。どうやらホンモノのトラブルです。
浮上した雄太郎君と前田さんに、水面フロートにつかまって待っているように指示して現場へ。
クロールで駆けつけると、アップアップしている男性をかろうじて女性が支えている状態。
男性の顔はかなり青ざめていてかなり切迫した感じですが、受け答えは出来、この時点ではとりあえず生命に別状はなさそうです。
バディの女性に話を聞くと「水中でマスクが外れて浮上してきた」とのこと。
パニックでの急浮上であれば減圧症や肺の過膨張傷害も心配ですが、浮上時の状況はわかりません。
(聞いてるヒマもないですし、とりあえずは陸へ上げる事が急務です)
男性は沈みそうになるのを必死にフィンキックで水面に顔を出している状態です。
あと数分遅かったら力尽きて沈んでしまったかもしれません。
水面でのレスキューはまず浮力確保。
沈みそうな男性を支えながらウエイトベルトを外そうとしたのですが、ベルトがありません。
あれ?もう外したのかな?
でも、ウエイトがないのに沈んでいくというのは........。
最近良く見かけるウエイトシステムを中に入れるタイプのBCです。
となれば、BCの中のウエイトを捨てたいところなのですが、このタイプのBCというのは非常にやっかいで、メーカーによって着脱の仕方がみんな異なっていて、救助者側が知っているタイプでないとどうやって外したら良いのかわからないのです。
これは見慣れないBCで不覚にもわかりませんでした。
要はBCが沈んでしまうワケなので次はBCに給気。
が、給気ボタンを押しても空気が入りません。???
エア切れ?と思ったけど残圧は80残ってます。う~む?
口でふくらませるなんて悠長なことはやってられません。
男性の身体が沈まないように気をつけながらBCを脱がせて(脱がせた瞬間BCがズンと沈みました)一瞬捨てようかと思いましたが、応援に来てくれた他のインストラクターの方がいたので預かってもらい、ふくらませた自分のBCを脱いで男性につかまってもらいとりあえず浮力を確保して曳航可能な状態に。
男性はまだかなり苦しそうでしたが、つかまっている事は出来る様子。
しかしこの男性、かなりの巨漢です。岸までの距離と最後にかつぎ上げる事を考えたら頭がクラクラしそうなところでしたが
この時、江の浦のスタッフが船で助けに来てくれました。
船に引き上げてもらい(大変だった!)事無きを得て、お待たせしていた講習生お二人の元へ。
その後、男性の方もしばらくして元気を取り戻して帰られたそうで、とにかく無事で良かったです。
後で、江の浦のスタッフに聞いたところによると.....。
水中でマスクストラップが切れたので浮上を開始。
この時にはパニックになるような事はなく、落ち着いて浮上を始めたようなのですが、途中から様子がおかしくなり水面に着く頃には過呼吸状態になっていたそうです。
(浮力が確保出来なくて一生懸命フィンキックしているうちに苦しくなってしまったんでしょう)
また、バディ同志でのセルフダイビングで以前にも何度か来られていたそうなのですが、冬の間はお休みで半年ぶりのダイビングだったそうなのですが.....。
今回は無事に助かったので、何事もなく事故報告にも載りませんが、少し到着が遅れていたら命を落としていたかもしれません。
と言うことで、問題点をいくつか考えてみました。
是非、今後のダイビングの参考にしてください。
・セルフダイビングをする方はお互いにバディに何かあった時に適切なアシストが出来るような実力を
身につけておきましょう。
NAUIマスタースクーバ以上。PADIならダイブマスターが同等レベルです。
今回はバディシステムはきちんと守られていて女性の方は一緒に浮上して水面で助けを呼ぶ。という
最低限の対応はしっかりされていたのでそれ自体は良かったと思います。欲を言えば浮力の確保まで。
でも、あの状況ではちょっと厳しいかな?
その前にセルフレスキューです。
ウエイトを捨てる!という簡単な事をとっさの時に必ず出来るように!
・間が空いてしまった久しぶりのダイビングの時はガイドを付けるようにしましょう。
ブランクが空いてしまうというのは、かなり慣れている方でも、多分想像以上にアブナイ事なのです。
・間が空いてしまった時はマスクやフィンのストラップが(干からびて)切れやすい状態になっています。
ヒビや切れがないかどうか入念にチェックしてヤバそうなら取り替えておきましょう。
・BCに給気できなかったのが気になります。
年に一度のオーバーホールを怠りなく。
潜水前の器材のセルフチェック、バディチェックも手を抜かずに、器材がきちんと作動する事を確認しましょう。
・BCにウエイトを入れるタイプの人は、BCに入れるウエイトは全ウエイト量の1/3程度にとどめて万一の時に浮力を確保出来るようにしておきましょう。
ウエイトの捨て方をバディにも知っておいてもらうようにしましょう。
このへんはダイビングショップで購入した場合はイントラの人が教えてくれると思いますが、量販店なんかで買うと「便利ですよ~」位のハナシで売られちゃいますからね。
カタログには「ワンタッチで簡単にリリース出来ます」と書いてありますが、本当にそうなのか、必ず実物を着て確認しましょう。
6~7月はブランク明けのダイバーが活動を開始する時期なのでダイビング事故が多くなります、
万全を期していても事故の起こる可能性があるのがダイビング。
このくらいなら大丈夫。いつも平気だから大丈夫、と思わずに。
僕を含めて、インストラクターのみなさんも、あのBC突っ込み型のウエイトシステム。
色んなメーカーのヤツを研究しておく必要がありそうです。
くれぐれも安全潜水を!
なんまんだぶ....