耳順庵日記

60歳を超えて、生き馬の目を抜く首都圏の生活にカムバックした。
浦安太郎が見た、都会の意外な側面を綴ってみたい。

沼津の旨い物

2013年09月26日 13時14分56秒 | 思い出
 仕事の都合で、沼津に5年住んだことがある 。

 沼津は静岡県東部で一番大きい街だが、夜8時を過ぎると駅前で
すら閑散としている、静かな町である。

 昔、東海道新幹線を計画するときに、客を東京に取られるのを
嫌がって、結局三島に停車することになったという話があるが、
それほど地味な土地柄である。

 しかし旨いものは多い。海の幸が豊富だが、山の幸も負けて
いない。余り食べ歩きなどしない私だが、かみさんの運転手で、
随分色んな所に行って、旨いものを経験した。

 昔、私のブログに書いたことを中心に、思い出を辿ってみた。




 <蕎麦>は何と言っても信州だ。千曲川のほとりの蕎麦屋で食べた
新蕎麦は忘れられない。しかし、沼津にも有名どころは多かった。

 沼津と三島は、<うなぎ>の隠れた名所である。今はもう、品薄で
高嶺の花だろうが、あの頃は我々庶民でもちょっと頑張れば手を
出すことができた。

 沼津には漁港があって、地元では港湾と言うが、そこに魚市場
がある。多分漁師相手の一杯飯屋から始まったのだろうが、新鮮な
魚を食べられる店が多い。中でもこの<鰯料理>は絶品だった。
小ぢんまりとした地味な構えだが、料理は一流だった。

 しかし何と言っても沼津港の名物は寿司だろう。
 新鮮な魚を使った寿司屋が沢山ある。高級な方では<双葉寿司>
手頃なところでは高島。ここは双葉寿司の系列だから、同じスキミの
軍艦が食べられる。大衆向けの魚がし寿司は、最近では<丸の内>
にも進出してきている。


 伊豆半島脊梁の天城山系は、わさびの名産地である。昔、新幹線で
出張した折には、田丸屋のわさび漬けを買って帰るのが習慣になって
いたが、あれは一般市場向けの大量生産品で、<本場のわさび漬け>
は伊豆に限る。
 時期になると花付きのわさびの葉が市場に並ぶ。これを<三杯酢>
にすると、日本酒が止まらない。わさびの根は高級品だから東京の
デパートでも売っているが、茎や葉は地元でないと手に入らない。
 天城峠越えの道の駅にはなんと<わさびソフト>がある。スリおろした
わさびがソフトクリームに乗っているのだ。
まさに山の幸である。

 あまり知られていない沼津の名物は餃子である。宇都宮とか佐野
とか、最近は浜松も餃子で売り出し中であるが、私は評価しない。
味に特徴がないからである。
 しかし<中央亭>の餃子は違う。焼き餃子ではなくむしろ煮た
ような感じだが、一度食べると又行きたくなる不思議な餃子である。
開店前から行列が途絶えないほど地元では有名だが、何故か
メジャーではない。

 静岡県は、全国一の<メロン王国>である。県中部の駿河湾沿いに
メロン園が多いので、沼津の市場にも安く出回る。箱で買って贈答品
にするのも気が利いている。
 地元では、卵くらいの大きさの間引いた実が出回るが、これがまた
美味い。都会では手に入らない珍味であろう。

 駿河湾の<桜えび>と生しらすは、地元以外ではなかなか味わえ
ない季節の味である。
 富士山が世界遺産になったが<富士川河口の桜えび干場>から
見る富士山も、天下一品だと思う。

 沼津港湾の魚市場には旨い魚を食わすところが多いが、安くて
旨いのは<沼津丸天>だろう。客扱いはぞんざいだが、旨い魚を
腹一杯食えるのが良い。魚好きには堪えられない、沼津である。

 私は外食が嫌いだ。何を食うか選ばなければならないのが
苦痛だからだ。だから、やむを得ず外で食べるときは、迷わなくて
済むよう親子丼かタンメンに決めている。
 沼津市役所の裏に<天丼の幟>が出ていたので、親子丼の仲間
だと思って入ったら、これが美味かった。
やはり、魚が良いと、何でも美味くなるようである。

 まだ、子供たちが小さい頃、レンタカー屋で青いファミリアを
借りて、伊豆半島をドライブした事があった。その時、東伊豆の
海岸の道に、小さな飯屋があって入ったことがある。美味しかった
という記憶を辿って、何度か通るうちにやっと見つけたのが、突き
出した崖の上の道端の<磯辺>という店だ。
 今見るとあの頃に比べて、かなり俗化したような気がした。
やはり30年の時間は世の中を変えるのだろうか。



 沼津にはこの他にも忘れられない味が沢山在った。
寓居の近くのラーメン屋のチャーハン、伊豆七滝(ナナダルと読む)
のトコロテン、稲取海岸の吊るし雛と金目鯛の煮付け、長岡の
温泉饅頭、富士宮やきそば、朝霧高原の鱒料理・・・

      ああ懐かしい!





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