耳順庵日記

60歳を超えて、生き馬の目を抜く首都圏の生活にカムバックした。
浦安太郎が見た、都会の意外な側面を綴ってみたい。

蓼食う虫も好き好き

2020年08月25日 12時52分53秒 | この頃思うこと

 ここで言う蓼とはヤナギタデのことで、水辺や

湿地に生える一年生の野草である。葉は柳のように

細長く、枝先に小花を密生した花穂をつける。

茎や葉に辛味があり、この葉を好んで食べる蓼虫

(タデムシ)と呼ばれる何種類かの虫だけしか

食わない。

 人にはそれぞれ好みがあり、一度好きになったり

慣れてしまえば、悪い部分も気にならなくなると

いう意味で、蓼虫忘辛という言葉も有る。

 茎や葉に含まれるタデオールという辛味成分が、

味覚神経の末端を刺激して食欲を増し、消化を

助けるとして、日本では平安時代から薬味として

親しまれ、魚の生臭みを消し、川魚にいる虫などを

殺菌すると考えられた、と言う。

 タデ(蓼)の独特の香りと辛味が、鮎の内臓の

苦みや独特の香りと相性が良く、ヤナギに似た葉を

塩焼きに添えたり、蓼酢を掛けたりして、楽しまれた。

 蓼酢(タデス)はタデ(蓼)の若芽を細かく刻み、

酢と出汁を合わせ、アユやニジマスに添えることが多い。

 更に、ヤナギタデの新芽を摘んだものが紅蓼で、

刺身のツマ等によく使われる。

 

いわば、蓼のスプラウトであろうか。これも新鮮な

うちはピリッと辛く、刺激が有って旨い。

 

 野原によくあるアカマンマは、蓼に似ているが

辛みが無く、イヌタデという。子供のままごとで、

お赤飯になるのがこのアカマンマだ。食べて害は

ないが、役に立たないという意味でイヌ(否ヌ)

と言う名が付いている。犬には迷惑な名前だ。

 

 酒々井に、蕎麦の畑に囲まれた美味い蕎麦屋が

ある。初夏に行くと、蕎麦の花盛りで、真っ白な

蕎麦の花を見ながら食べる田舎蕎麦は絶品だ。

しかし、畑の中をよく見ると、赤い花も混じって

いる。アカマンマだ。

 蕎麦を収穫する時に、このアカマンマをどう

処分するのか、私は知らない。

 

   畑に在り誰が喜ぶあかまんま 蛙蝉

 

 


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