耳順庵日記

60歳を超えて、生き馬の目を抜く首都圏の生活にカムバックした。
浦安太郎が見た、都会の意外な側面を綴ってみたい。

医薬分業

2016年08月01日 10時29分19秒 | この頃思うこと
 薬局が病院から分離されて、何年だろう。

 以前は、医者が処方箋を書いたら、院内の薬局で
薬を出してくれた。
 薬剤師がいくつかの薬剤を混ぜ合わせ、場合に
よっては乳鉢ですりおろして、薬方紙に包んだ。
膏薬は練り合わせて、アルミの缶に詰めてくれた。
この作業を調剤と言った。

 それが今は、処方箋を院外の薬局に持って行って、
薬剤師から薬を買わなければならない。
どこの薬局でも、良いことになっている筈だが、
だいたい主だった病院の直ぐ近くに薬局があるし、
ほとんどの患者はそこに行くから、医薬分業は
有名無実になっている。

 行き付けの薬局・薬剤師が、投薬歴を把握出来る
ように、という主旨だろうが、一手間余計にかけて、
時間と費用を増やしているだけのように思う。
経営は別でも、多分提携しているんだろう。
 それだけ潤う組織になっているのかな。


 薬剤師の仕事も変わった。調薬・調剤はしない。
 カプセルに入って10個ずつパックされた薬品を、
在庫棚から取り出して袋に入れるのが薬剤師の仕事に
なっている。
 患者に渡すときに、医者の診察内容を知らないもの
だから、今日はどうされましたか?とか何とか、
訳の分からない事を言う。
 掛かり付け薬局の積もりなのだろうが、意味が
あるだろうか。
 複数の処方の重複や、競合のチェックは出来る
だろうが、それ以上の意味があるとは思えない。
最近はジェネリック薬品を推奨することになって
いるようだが、今のところ有名無実のようである、


 事務処理も極めて煩雑になっている。
 薬の説明書、飲み方の説明書、それらを入れる袋、
[おくすり手帳]に貼るシール等の書類も沢山呉れる。
[おくすり手帳]を持参しないともう1冊出される。
その殆どは直ぐゴミ箱行きだ。黙って薬を出すだけで
良いから、安くしろ、と言いたい。

 しゃくだから先日、新浦安駅前の眼医者の処方箋を、
順天堂の近くの薬局に持って行ったら、慌てて在庫を
調べますって右往左往してた。


 そもそも医師の処方は、普遍性があるとは思えない。
医師の好みがあるし、医局の方針もあるだろうし、何より
業界とのなれ合いも大きい。
 処方する医師が所属する医療機関なら、医師の傾向に
合わせて薬品の在庫を、用意出来る。
 病院から独立した薬局は、あらゆる処方箋に対応を
求められる。町の小さな眼科医や歯医者の隣の小さな
薬局でも、大病院の患者の処方箋を断ることは出来ない。
相互に融通する工夫はするだろうが、必然的に在庫が
増え、無駄が多くなる。

 仕事のために担当部署を増やし、そこの仕事を確保する
ために新しい仕組みを作る。
 日本のお役所のやり方の典型のように思える。


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