黒斑山:浅間山登頂(15)
(小諸グループ)
2006年10月7日(土)~8日(日)
※http://ameblo.jp/flower-hillもご覧ください。
■蛇骨岳から黒斑山へ
9時55分,強風と霧の中,私達は蛇骨岳山頂を出発する。
進行方向左手は,切り立った断崖になっている。古い火口を周回するコースである。断崖と下の湯ノ平との高度差は,300メートルほどに達する。もし,強風に吹き飛ばされたら,一気に300メートルを落下することになる。天気予報は晴の筈だが,絶え間なく雹混じりの強風が吹き付ける。時々,突風のような烈風が突き飛ばすような勢いで襲ってくる。
稜線沿いの登山道は細かいアップダウンが続く。時にはシャクナゲの間をすり抜ける。強風で吹き落とされた樹氷が絨毯のように敷き詰められている。風によろめきながら樹氷の絨毯をザクザクと進む。シャクナゲ林の中は,幾分風雨が弱まる。吹き曝しの露岩帯に出ると,途端に強風に曝される。こんなことを繰り返しながら,先へ先へと進む。
湯ノ平側の山麓にへばり付くように生えている木々が紅葉している。素晴らしい色である。思わず数枚の写真を撮る。
<黒斑山山麓の紅葉>
10時16分,シャクナゲの間を抜けると,突然,沢山の登山客が屯している山稜に出る。黒斑山の山頂(2417m)に飛び出すように到着する。これまで,ほとんど人には会わなかったが,黒斑山には20人ほどの人が集まっている。寒風が吹き付けるので,殆どの人がしゃがみ込んでいる。辺りは相変わらず霧が立ち込めていて,近くの稜線以外は何も見えない。
<黒斑山山頂>
私達は,天候さえ回復していたら,草すべりから湯ノ平へ降りるつもりでいたが,どうやら天候の回復は望めないようである。兎に角,草すべり下山口があるトーミの頭へ向かう。この辺りから沢山の登山客とすれ違うようになる。三連休のためか,荒天にもかかわらず,車坂峠から黒斑山を目指す登山客が,とても多いようである。
■中コースを下山
10時36分にトーミの頭(2300m)に到着する。せまい山頂が登山客で一杯になっている。このトーミの頭を,眼下の湯ノ平から見上げると,付け根の部分に大きな亀裂が入っているのが見える。従って,何時かは,きっとこのトーミの頭も,崩落するに違いないと,私は信じている。だから,私はトーミの頭には決して近付かないことにしている。
私達は,トーミの頭では休憩を取らずに,そのまま車坂峠へ下山することにする。表コースと中コースの分岐点で,どちらを経由して戻るか迷うが,隊長の弟が中コースで下山することを決める。中コースに入ると,前後に沢山の登山客が連なっている。しかも,これから黒斑山へ向かう登山客が次々に登ってくる。大半の登山客は,平素山道を歩いていないらしくて,一様にストックにしがみつきながら,ヘッピリ腰になって,オッカナビックリと下山している。傍目で見ていても危なっかしくて仕方がない。そんな登山客の後には,数十人の渋滞ができている。私達も特段急ぐ旅ではない。溜め息をつきながらも,同じペースでユックリと下山を続ける。
■山麓で昼食を摂る
その内に,仲間の一人,居酒屋の店長が,
「折角,お弁当を持ってきたんで,どこかで食べていきましょう」
と提案する。高峰高原ホテルへ戻ってから昼食にした方が良いのではないかという意見も出たが,結局は,外で昼食を摂ることにする。
そこで,少しばかり視界が開けた標高2075m付近の広場に座り込む。少々寒いが,外で食べる昼食は格別である。私達が昼食を摂っている間も,下山する登山者が切れ目なく続いている。こんなに沢山の登山客が集まっているのを見るのは,私にとっても,始めての経験である。
弟の話によると,浅間山の火山活動水準がレベル1まで引き下げられて,前掛山まで登れるようになってから,爆発的に登山者が増えたという。
素人の私が,自分のことを棚に上げて言うのはおこがましいが,黒斑山登山者の中で,大半の人達の歩き方が危なっかしく見える。体力もなさそうだし,装備も不十分のように見受けられる。車坂峠から黒斑山へのコースは,確かに平易で,ハイキングレベルの行程には違いないが,あまり山を軽く考えずに,慎重に行動して貰いたいと願うばかりである。
昼食は楽しかった。
さすがに居酒屋の店長である。つぎつぎに一寸した珍味を,一同に配り始める。山の中での美味いものは有り難い。
昼食を終えた私達は,11時26分に,再び下山を開始する。暫く下ると,登山道は林の中のなだらかな散策路になる。沢山の登山客が,前の方から,ず~っとつかえているので,兎に角,ユックリ,ユックリと,眠たくなるような速度で下山を続ける。やがて,右手の林の向こうに駐車場がチラチラと透けて見えるようになる。どうやら駐車場は満車に近い状態のようである。
11時44分,漸く車坂峠に到着する。私の前を歩いていた年輩者のグループが,
「やれ,やれ,やっと,念願の黒斑山に登れましたね・・・ご苦労様でした」
と嬉しそうに挨拶している。峠周辺は沢山の登山客で溢れている。
11時46分,高峰高原ホテルに戻った。ホテル前の駐車場は満車である。
私達は,ホテルのマスター,山岸さんの出迎えを受ける。
(つづく)
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