<塔ノ岳山頂の霧氷>
霧氷・山ネコ・ご常連と一緒の丹沢;塔ノ岳(今年53回目)
(登り一部・下り全行程ご常連に同行)
2011年12月24日(土) 曇・粉雪が舞う
■喉元過ぎれば・・・
塔ノ岳に登っていると,ついついわがままになる.
夏の間は,塔ノ岳山麓をヒルやアブに悩まされながら登らなければ成らない.それに,ちょっとでも無理をすると熱射病になり取り返が付かなくなる.だから,早くヒルやアブの居ない冬にならないかなと思い続けていた.
でも,冬至も過ぎて,寒くて真っ暗な時間に家を出なければならない冬になると,やっぱり夏の方が良かったかなと思うようになる.とにかく,私の真情は,自分でも嫌気がするほど,実に勝手だなと思う.
今朝も,何時ものように3時40分頃起床するが,とにかく寒くて外は真っ暗.例によって,「行く,行かない」を何回も繰り返してから,やっと山用の戦闘服に着替える.そうなると毎度のことなら気分がシャンとするから不思議である.
今日は休日.だから小田急は休日ダイヤ.休日ダイヤなら,小田原での死にそうな駆けっこをしなくても,JRから小田急に乗り換えることができる.これは私にとって何物にも代え難い魅力である.
何時ものように,渋沢で6時48分発大倉行1番バスに乗る.私がバスに乗ると,乗客の何人かが,
「あっ! FHさんだ・・」
と声を上げる.バスの車内を見回すと,沢山のご常連が乗車している.韋駄天のTさん,三角髭のTさん,シュタインさん,Y川さん,SSKさん他多士済々.これにはビックリ.バスは数名の立ち席が出るくらいに混雑している,でも,その30パーセントぐらいはご常連のようである.
■皆で一緒に登山開始
6時58分,バスは大倉に到着する.私もご常連の皆様と一緒に歩きたいので,大特急で身支度を調える.何時もは必ずしているストレッチもせずに,大勢のご常連と一緒に,7時08分にバス停大倉から歩き出す.
途中で,先日の鍋割山を回ったときのことが話題になる.あのとき,帰りのバスの時間が気になり,私が先頭になって林道を早歩きした.あのとき,何時もデレデレ歩きの私が君子豹変して,高速で歩き出した.シュタインさんが,
「”能ある鷹は爪を隠す”ですね・・」
とおっしゃる.私は,即座に,
「(爪ではなく)”ヘソを隠すですよ”」
と混ぜ返す.何で急に”ヘソ”が飛び出したのか,私にも分からない.
■結局,途中から一人旅
歩き出しは随分と速い速度なので,この分だと,所要時間は間違いなく2時間20分台だなと予想する.ところが,登山口を過ぎる辺りから,歩行速度が次第に遅くなり始める.一方,私は,登山に備えて,出発時から,少々薄着になっている.やや遅めの歩行速度なので,ちっとも身体が温かくならない.ご一緒の皆様には申し訳ないとは思ったが,身体が温まるまで,少々速い速度で歩かせて貰おうと思い立つ.そして,観音茶屋を過ぎた辺りから,先に行かせて貰う.
7時45分に見晴茶屋を通過する.大倉を歩き出してから37分経過している.1人で歩いているときよりも,2分ほどビハインドである.
急坂にさし掛かる.坂の上の方まで登山客が数珠つなぎになっている.気温は6℃くらい.目の前に登山者が居ると,ついつい,追い越したくなるが,ぐっと自制しながら,自分の経済速度で登り続ける.今日は路面が良く乾いているので,結構,歩きやすい.そのため,どうしても歩行速度が速くなりがちである.そこをぐっとこらえて,自分の経済速度を保つには,結構,修行が要る,他所様の眼に私がどう写っているか分からないが,私には,どうも負けず嫌いなところがあって,自分のはやる気持ちを抑えるのに,何時も一苦労である.
「お前さんは修行が足りない・・・」
と心の中のもう一人の私が,私を諭す.
■富士山は雲の中
8時14分,駒止茶屋を通過する,気温3℃.今日,大倉からここまでの所要時間は1時間06分.私の標準ラップは,1時間04分なので,今日は少々遅れ気味である.今日はまだ時間が早いのに珍しく小屋が開いている.そういえば,昨日も祝日だったなと改めて思い出す.
すぐに堀山の尾根に入る.霜がコチコチに凍結した路面は凸凹している.
堀山の尾根に入るが,富士山は雲の中.有料の天気予報では晴になっていた筈だが・・・
まあ仕方ないか.
8時30分,堀山の家を通過する.ようやく身体が温まる.このままのペースで歩こうと思えば歩けそうだが,疲れるのがいやなので,若干,歩行速度を落とす.途中,2~3人の若い男性に追い抜かれる.
■萱場平
8時48分,萱場平を通過する.先ほど私を追い抜いていった女性の後ろ姿が見えている.
木道の間で元気だった大きなアザミが枯れているのを眺めながら,来年も元気に芽を出せよとエールを送る.
前方を見ると花立山付近に分厚い雲が掛かっている.これから,あの雲の中に入っていく.寒いだろうな,でも,ひょっとしたら,山頂で霧氷が見えるかな・・・と,少し期待する.
■花立山荘
花立山荘が近付く.振り返ると雲が多いものの素晴らしい展望が開けはじめる.後7分坂に到着したところで,海の方を振り返って,何枚かの写真を撮る.そして,後7分坂を経済速度で登り続ける.
心の中では,
「階段1段当たり約0.8秒で登れば,7分で登れるな・・」
と思いながら,自分の歩行ステップを制御してみる.案の定,この坂を約7分で登って,9時08分に花立山荘に到着する.大倉を歩き出してからの所要時間は丁度2時間.このピッタリ感は何となく嬉しい.
(注)正確には,段の数え方にもよるが,後7分坂は318段.7分は420秒.
したがって,
420秒/318段=1.32秒/段
318段/420秒=0.75段/秒
残念ながら,相変わらず富士山は見えない.
花立山荘から花立山までのガレ場がなんともきつい.なまじ花立山の山頂が見えるので,気分的にウンザリしてしまう.ただ,この辺りまで登ると,晴れていれば富士山や南アルプスの眺望に癒されるはずだが,今日は雲が多くてダメ.
■塔ノ岳山頂
9時20分に金冷シを通過する.後は惰性で何となく登る.
今日は韋駄天の皆さんがシュタインさんご一行とお付き合いしているので,私より後に居られる.この辺りで何時もすれ違う韋駄天の皆さんと会えないので,何となく拍子抜けしてしまう.何だか物足りない感じのまま登り続ける.
ふと振り返ると,凄い勢いで登ってくる方が居る.ご常連のカズトヨさんである.山頂直下の木道が終わったところで,カズトヨさんに先を譲ろうとするが,何となくそのままどちらが先と言うこともなく,9時36分に山頂に到着する.
山頂の気温はマイナス3℃.微風だが冷たい風が吹いている.富士山は全く見えないが,儀式通りに辺りの写真を撮らないと,気が収まらないので,寒いのをこらえて写真を撮りまくる.
大倉を歩き出してから山頂までの所要時間は,2時間26分.今の私には速くも遅くもない.
「まあ,こんなところか・・・」
それにしても,つい2年ほど前には,2時間10分台で登れていたのに・・と,思い返すと,やっぱり悔しい思いがする.一方では,遅くなるのは致し方ないことなんだと,自分を無理矢理納得させているのに気がつく.その内に,“元気で登っているだけでも幸せだと思い給え”という天の声が聞こえてくる.
■今日も霧氷が綺麗だ・・・
尊仏山荘の裏手に回ってみる.案の定,今日も霧氷が綺麗である.立ち止まると寒いが,我慢して,霧氷の写真を撮りまくる.まるで“花咲ジジイ”になったような気分である.
「この風景を何時か絵にしてみたいな・・」
と思うが,こんなに寒い所でスケッチをするだけの根性はない.
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.ご常連の皆さんで盛り上がっている.300円也の定番のお茶を所望して,隅っこに座る.
私の隣の席で,
「・・・FHさんって,どなた・・・」
という声が聞こえる.この声に当の私が一番ビックリする.どうやら,私のブログを見て頂いている方だとのこと.有り難いことである.
ご常連のカズトヨさんと,手袋など山の装備の話をしているうちに,シュタインさんご一行が到着する.山荘内は一段と盛り上がってくる.何方からか良く分からないが,色々な食べ物を頂戴する.
その内に年寄りの登山の話になる.私は,
「・・まあ~・・私の場合は省エネ歩行とお金で解決ですよ」
と持論を披露する.
というのは,第1に歩き方を省エネ型に徹底すること(忍者歩きに似てくる).
第2に,水など重たいものは,途中の山小屋で調達するようにして,極力リュックを軽くすること.
以上の2点である.
この2点を徹底しなければ,齢(よわい)ウン十歳になってしまうと,到底,山歩きなどできなくなる.
今日の小屋番には,オーナーのHさんも居られる.それなのにミー君が客席に出て営業している.営業といっても,ストーブの前で居眠りしているだけだが・・
傍らのストーブの前で,ネコのミー君が温和しく座っている.
「オイ,ミーや・・・元気かね・・・」
とネコに話しかける,ネコは無視.それで良い.無視するのがネコ流だ.私はネコの写真を何枚も撮る.
ネコの背中を撫でながら,
「いつまでも元気で居るんだよ・・・」
と言うが,ネコは無表情.その内にぐるりと向きを変えて,ストーブの前で長々と寝そべる.
その内に,一般客も増え出す.何時までも長居をしては商売の邪魔になる.帰りしなに,山荘入り口付近からご常連の写真を撮る.
「ブログに載せちゃいますよ・・・」
■山旅スクール5期のIさんとバッタリ
10時31分,尊仏山荘を後にする.結局,ご常連の内,8名が一緒に下山を開始する.
韋駄天のTさん,三角髭のTさん,下山登山家のシュタインさんなどそうそうたるメンバーである.さすがに皆さん下山の速度も速い.いつもデレデレと下山している私も,今日はやや本気で下山をしないと,到底追い付かない.下山しながら,
「たまには,サッサと下山するのも気分が良いな・・」
と思い始める.
10時45分,花立山を通過する.あともう少しで花立山荘に到着する頃,登ってくる山旅スクール5期のコテージさんとバッタリ会う.
「やあ,やあ,久しぶり・・・」
お互いに,元気なことを確かめあう.
コテージさんを韋駄天のTさんに紹介する.
■堀山の家でコーヒーブレーク
11時17分,堀山の家に到着する.ご常連の皆さんの後に続いて,私も何となく堀山の家に入る.
私は,ごくごくたまにしか堀山の家には立ち寄らないが,接客をされているNさんが,
「FHさんですね・・・・名古屋のS田さん,元気に戻られましたか・・」
と話しかける.
1回しか会っていないS田さんの名前まで出てくるので,本当にビックリしてしまう.
「S田さんの旦那から,『2月頃,丹沢の霧氷が見たい』という便りがありましたよ・・」
と報告する.
「そのときは,また,是非,いらっしてください・・」
小屋の中に入る.少々薄暗いので,眼が弱い私は馴れるのに少し時間が掛かる.
ストーブの側で,先に下山していたカズトヨさんが,私に,オイデオイデをしている.お誘いに応じて,ストーブの側に座るが熱くてたまらない.すぐにストーブから離れた場所に移動する.
例によって,1杯300円也のコーヒーを所望する.今日1杯目のコーヒーである.小さなシュークリーム2個付きのお値打ち品である.
その内に,先客の女性軍からいろいろな食べ物のご相伴にあずかる.おでん,ミカンなども頂戴する.恐縮.
11時41分,堀山の家の前で集合写真を撮ってから,下山開始.この集合写真,堀山の家のホームページに載るのかな.一体,どなたのカメラで写したんだろう?
茶屋の前に並ぶ.
三角髭のTさんが,
「(顔つきは)私が一番年寄りに見えるでしょう・・・」
と言う.すかさず私が,
「きっと,若さが首から下に廻ったんでしょうね・・・」
“だから歩くのが速い”という意味だったが,それを聞いたどなたかが,
「・・どういう意味!?」
と笑う.なるほど,色々な意味に取れるなと私は心の中で面白く思う.
■駒止茶屋の急坂を下る
私は,急な下りが苦手.駒止茶屋から先の急階段が大の苦手.ここは超ユックリでないと降りられないので,堀山の尾根で少々先に行かせて貰う.
案の定,坂の途中で,皆さんに追い付かれる.
■バス停大倉付近で懇親会
12時48分,無事,大倉に到着する.
下り所要時間は,堀山の家の24分のコーヒーブレークを含めて2時間17分である.さすが下山家シュタインさんが居られるためか,かなり高速である.
バス停大倉近くの飲食店で,30分ほど軽い懇親会を開く.実に楽しい一時を過ごす.
改めて見渡すと,今,ここに集まっておられる方々の中で,×5歳のシュタインさんが一番お若いことになる.これは凄いことだ.世の中には年を取っても強い方が沢山居られるなと改めて感心する.
■今日はクリスマスイブ
大倉発13時37分渋沢行のバスに乗車.途中,小田急電鉄の電車が7分ほど遅延したが,15時半頃,無事,帰宅.
そういえば,今日はクリスマスイブだった.大船駅周辺は,押すな押すなの人出である.これにはビックリした.
帰宅後,例によって,すぐに熱めの風呂に浸かる.
夕食は,2日前から滞在中の孫娘を交えて楽しい食卓である.こういうの実に良いなと思う.
今日も良かった,良かった.
<ラップタイム>
7:08 大倉歩き出し
7:30 観音茶屋
7:45 見晴茶屋
8:14 駒止茶屋(3.0℃)
8:30 堀山の家
9:08 花立山荘
9:20 金冷シ
9:36 塔ノ岳山頂着(-3.0℃)
10:31 〃 発
10:41 金冷シ
10:51 花立山荘
11:17 堀山の家(11:41までコーヒーブレーク)
11:55 駒止茶屋
12:18 見晴茶屋
12:31 観音茶屋
12:48 大倉 着(バス停大倉前の食堂で軽く懇親会)
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:08
塔ノ岳 着 9:36
(所要時間) 2時間26分(2.43h)
水平歩行速度 7.0km/2.43h=2.88km/h
登攀速度 1269m/2.43h=522.2m/h
■下降所要時間(雑談時間を含む)
塔ノ岳 発 10:31
大倉 着 12:48
(所要時間) 2時間17分(2.28h)
水平歩行速度 7.0km/2.28h=3.07km/h
下降速度 1269m/2.28h=556.6m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/e48a7e815df25571c96b4bc658240393
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/c1f42ed01b8d212e47ca1827cffd89ff
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